電験3種(第三種電気主任技術者試験)の機械科目において、「変圧器の電圧変動率」は実用式を使いこなせるかが問われる頻出テーマです。本記事では、平成26年度 A問題8「百分率抵抗降下 p・百分率リアクタンス降下 q・電圧変動率 ε」を、はじめての方でも確実に解けるように丁寧に解説します。
使う式は2つだけ。実用式 \( p = \dfrac{S r}{10 V^2} \)(S は kV・A、V は kV)と、近似式 \( \varepsilon = p\cos\theta + q\sin\theta \)。単位系さえ守れば、そのまま%が出てきます。
平成26年度 機械科目 A問題8:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 機械科目 【変圧器】 平成26年度 A問題8
次の文章は、単相変圧器の電圧変動に関する記述である。
単相変圧器において、一次抵抗及び一次漏れリアクタンスが励磁回路のインピーダンスに比べて十分小さいとして二次側に移した、二次側換算の簡易等価回路は図のようになる。\( r_{21} = 1.0 \times 10^{-3} \) Ω、\( x_{21} = 3.0 \times 10^{-3} \) Ω、定格二次電圧 \( V_{2n} = 100 \) V、定格二次電流 \( I_{2n} = 1 \) kA とする。
負荷の力率が遅れ 80 % のとき、百分率抵抗降下 p、百分率リアクタンス降下 q 及び電圧変動率 ε のそれぞれの値 [%] の組合せとして、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。なお、本問では簡単のため用いられる近似式を用いて解答すること。
| p [%] | q [%] | ε [%] | |
| (1) | 3.0 | 1.0 | 3.0 |
| (2) | 3.0 | 1.0 | 2.4 |
| (3) | 1.0 | 3.0 | 3.1 |
| (4) | 1.0 | 2.6 | 3.0 |
| (5) | 1.0 | 3.0 | 2.6 |
出題のポイント:定格容量からp・q・εを順に求める

まず定格二次電圧100 Vと定格二次電流1 kAから定格容量100 kV・Aを求めます。百分率抵抗降下pと百分率リアクタンス降下qを計算し、遅れ力率0.8ではcosθ=0.8、sinθ=0.6として両者の寄与を加えます。
ポイント解説:単位と遅れ・進みの符号を確認

百分率降下は「定格電流を流したときの電圧降下が定格電圧の何%か」。実用式 \( p = Sr/(10V^2) \) は、S を kV・A、V を kV で入れると直接%が出る便利な形です。
問題の解説:p=1.0 %、q=3.0 %、ε=2.6 %

ステップ1:定格容量 S を求める
$$S = V_{2n} I_{2n} = 100 \times 1000 = 100 \times 10^3 \text{ [V・A]} = 100 \text{ [kV・A]}$$
ステップ2:実用式で p と q を求める
V₂ₙ=100 V=0.1 kV に注意して代入します。
$$p = \frac{S \cdot r_{21}}{10 V_{2n}^2} = \frac{100 \times 1.0 \times 10^{-3}}{10 \times 0.1^2} = 1.0 \text{ [%]}$$
$$q = \frac{S \cdot x_{21}}{10 V_{2n}^2} = \frac{100 \times 3.0 \times 10^{-3}}{10 \times 0.1^2} = 3.0 \text{ [%]}$$
ステップ3:近似式で ε を求める
力率 0.8(遅れ)なので \( \cos\theta = 0.8, \sin\theta = 0.6 \)。遅れ力率は符号+です。
$$\varepsilon = p\cos\theta + q\sin\theta = 1.0 \times 0.8 + 3.0 \times 0.6 = 0.8 + 1.8 = 2.6 \text{ [%]}$$
よって p=1.0、q=3.0、ε=2.6 となり、正解は (5) です。
計算結果の妥当性チェック
r₂₁:x₂₁=1:3 なので p:q も1:3となり、p=1.0、q=3.0と整合します。さらに遅れ力率では抵抗分の寄与0.8 %とリアクタンス分の寄与1.8 %を加え、ε=2.6 %となります。
ポイント解説:確実に得点するために
1. 実用式の単位系(S は kV・A、V は kV)
\( p = Sr/(10V^2) \) の「10」は単位系込みの係数です。V₂ₙ=100 V を 0.1 kV に直すのを忘れると桁が大きくずれます。
2. 定義から確かめる別解
定義どおりでも解けます:\( p = \dfrac{I_{2n} r_{21}}{V_{2n}} \times 100 = \dfrac{1000 \times 0.001}{100} \times 100 = 1.0 \) %。実用式と一致することを一度手で確かめておくと、式を忘れても復元できます。
3. 近似式の符号(遅れ+・進み−)
\( \varepsilon = p\cos\theta + q\sin\theta \) は遅れ力率のとき。進み力率では \( -q\sin\theta \) になります。逆算型の応用は【機械】平成24年度A問題7で練習できます。
実用式は「エス・アール割る、じゅう・ぶい・じじょう」p=Sr/(10V²)(S:kV・A、V:kV)。εは「p コス q サイン」で遅れは+。
①V をボルトのまま実用式に入れて桁が崩壊(0.1 kV に直す)。②p と q を逆に対応させる(r→p、x→q)。③ε で cos と sin を逆に掛ける(ε=3.1 %=選択肢(3)のワナ)。
まとめ:p・q・ε の解法の流れ
| 手順 | 公式 | 今回の値 |
|---|---|---|
| ① 定格容量 | \( S = V_{2n} I_{2n} \) | 100 kV・A |
| ② 百分率抵抗降下 | \( p = Sr/(10V^2) \) | 1.0 % |
| ③ 百分率リアクタンス降下 | \( q = Sx/(10V^2) \) | 3.0 % |
| ④ 電圧変動率 | \( \varepsilon = p\cos\theta + q\sin\theta \) | 2.6 % →(5) |
実用式と近似式は変圧器計算の基本装備です。近似式から逆算する【機械】平成24年度A問題7、等価回路の正攻法【機械】平成30年度B問題15とセットで固めましょう。

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