電験3種(第三種電気主任技術者試験)の機械科目において、「百分率インピーダンス降下と電圧変動率」はB問題の定番テーマです。本記事では、平成23年度 B問題15を、はじめての方でも確実に解けるようにステップ別に解説します。
流れは一本道です。一次換算(a²倍)→ 実用式で p・q → (a) は \( z=\sqrt{p^2+q^2} \)、(b) は \( \varepsilon = p\cos\theta + q\sin\theta \)。変圧器10(平成26年A問題8)とほぼ同じ道具立てで解けます。
平成23年度 機械科目 B問題15:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 機械科目 【変圧器】 平成23年度 B問題15
次の定数をもつ定格一次電圧 2 000 V、定格二次電圧 100 V、定格二次電流 1 000 A の単相変圧器について、(a)及び(b)の問に答えよ。ただし、励磁アドミタンスは無視するものとする。
一次巻線抵抗 \( r_1 = 0.2 \) Ω、一次漏れリアクタンス \( x_1 = 0.6 \) Ω、二次巻線抵抗 \( r_2 = 0.0005 \) Ω、二次漏れリアクタンス \( x_2 = 0.0015 \) Ω
(a) この変圧器の百分率インピーダンス降下 [%] の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1) 2.00 (2) 3.16 (3) 4.00 (4) 33.2 (5) 664(b) この変圧器の二次側に力率 0.8(遅れ)の定格負荷を接続して運転しているときの電圧変動率 [%] の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1) 2.60 (2) 3.00 (3) 27.3 (4) 31.5 (5) 521
出題のポイント:一次換算からp・qを作りzとεへ進む

巻数比は a=2000/100=20 です。二次側の抵抗・リアクタンスを一次側へ換算するときは a²=400 を掛け、r=0.2+400×0.0005=0.4 Ω、x=0.6+400×0.0015=1.2 Ω とします。定格容量 S=100 kVA、一次電圧 V₁=2 kV から、百分率抵抗降下 p=1.0 %、百分率リアクタンス降下 q=3.0 % が得られます。
ポイント解説:zは大きさ、εは力率成分

百分率降下の実用式は \( p = \dfrac{S r}{10 V^2} \)(S は kV・A、V は kV)。今回は一次側に換算するので V には一次定格電圧 2 kV を使います。電圧変動率は近似式 \( \varepsilon = p\cos\theta + q\sin\theta \) です。
問題の解説:(a)百分率インピーダンス降下と(b)電圧変動率

ステップ1:二次側を一次側に換算する(a=20)
$$a = \frac{V_{1n}}{V_{2n}} = \frac{2000}{100} = 20 \quad (a^2 = 400)$$
$$r = r_1 + a^2 r_2 = 0.2 + 400 \times 0.0005 = 0.4 \text{ [Ω]}$$
$$x = x_1 + a^2 x_2 = 0.6 + 400 \times 0.0015 = 1.2 \text{ [Ω]}$$
ステップ2:実用式で p・q を求める
定格容量 \( S_n = V_{2n} I_{2n} = 100 \times 1000 = 100 \) kV・A、\( V_{1n} = 2 \) kV。
$$p = \frac{S_n r}{10 V_{1n}^2} = \frac{100 \times 0.4}{10 \times 2^2} = 1.0 \text{ [%]}, \quad q = \frac{100 \times 1.2}{10 \times 2^2} = 3.0 \text{ [%]}$$
ステップ3:z=√(p²+q²)
$$z = \sqrt{p^2 + q^2} = \sqrt{1^2 + 3^2} = \sqrt{10} \approx 3.16 \text{ [%]}$$
よって(a)の正解は (2) 3.16 % です。
(b)の解説:電圧変動率
力率 0.8(遅れ)なので \( \cos\theta = 0.8, \sin\theta = 0.6 \)。近似式に代入します。
$$\varepsilon = p\cos\theta + q\sin\theta = 1.0 \times 0.8 + 3.0 \times 0.6 = 2.6 \text{ [%]}$$
よって(b)の正解は (1) 2.60 % です。
計算結果の妥当性チェック
ε は必ず z(3.16 %)以下になります(ε=z となるのは力率角がインピーダンス角と一致するとき)。2.6 %<3.16 % ✓。また 27.3 や 521 のような大きな選択肢は、単位変換ミス(V や kV の取り違え)で出てくる値です。
ポイント解説:確実に得点するために
1. どちら側に換算しても答えは同じ
今回は一次側換算(V=2 kV)で解きましたが、二次側換算(r₂側へ÷a²、V=0.1 kV)でも p・q は同じ値になります。%(単位法)は基準を揃えれば側によらない——これが百分率の便利さです。
2. z と ε の関係
z は p・q の「大きさ」(直角三角形の斜辺)、ε は力率方向への「射影」。だから常に \( \varepsilon \le z \) です。この関係を知っていると検算に使えます。
3. 類題との使い分け
p・q・ε を正面から計算する【機械】平成26年度A問題8、ε から逆算する【機械】平成24年度A問題7と、本問(z を追加)で電圧変動率パターンは完成します。
%3兄弟は「p・q・z=√(p²+q²)」、εは「p コス q サイン」。一次換算→実用式→三平方、の一本道。
①実用式の V をボルトのまま入れる(2 kV・0.1 kV に直す)。②(a)で p+q=4.0 %(選択肢(3)のワナ、正しくは√(p²+q²))。③二次側の r₂・x₂ を換算せずにそのまま足す。
まとめ:z と ε の解法の流れ
| 手順 | 公式 | 今回の値 |
|---|---|---|
| ① 一次換算 | \( r = r_1 + a^2 r_2 \)、\( x = x_1 + a^2 x_2 \) | 0.4 Ω/1.2 Ω |
| ② 実用式 | \( p, q = S r(x)/(10V^2) \) | 1.0 %/3.0 % |
| ③ (a) | \( z = \sqrt{p^2+q^2} \) | 3.16 % →(2) |
| ④ (b) | \( \varepsilon = p\cos\theta + q\sin\theta \) | 2.60 % →(1) |

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