変圧器12【電験3種 機械】理想変圧器の基本関係(磁束・電圧・電流)とは?平成20年 A問題7 完全解説

電験3種 機械科目 変圧器 平成20年度 A問題7 理想変圧器の3つの関係!磁束と電圧と電流

電験3種(第三種電気主任技術者試験)の機械科目において、「理想変圧器の基本関係」は変圧器分野の出発点となる重要テーマです。本記事では、平成20年度 A問題7の穴埋め問題を、はじめての方でも確実に解けるように丁寧に解説します。

問われるのは最大磁束の式 \( \Phi_m = \dfrac{\sqrt{2}V_1}{2\pi f N_1} \) と、巻数比による電圧・電流の変換。E=4.44fNΦ の「4.44」の正体(\( 2\pi/\sqrt{2} \))まで理解できる良問です。

目次

平成20年度 機械科目 A問題7:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう(平成20年度は公式PDFが公開されていないため、問題文は再構成です)。

電験3種 機械科目 平成20年度 A問題7 問題文(理想変圧器の穴埋め)
平成20年度 機械科目 A問題7 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成20年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題7

電験3種 機械科目 【変圧器】 平成20年度 A問題7

図のような理想変圧器において、一次巻線の巻数を \( N_1 = 2550 \)、二次巻線の巻数を \( N_2 = 85 \) とし、一次側に周波数 \( f \) [Hz]、6 300 V の正弦波電圧を加える。このとき一次電圧は、(ア) が 6 300 V の正弦波電圧であり、鉄心内の最大磁束は \( \Phi_m = \) (イ) \( \times \dfrac{V_1}{f N_1} \) [Wb] と表される。

二次側に誘起される電圧は (ウ) [V] である。また、二次側に 7 Ωの抵抗負荷を接続したとき、一次側に流れる電流は (エ) [A]、二次側に流れる電流は (オ) [A] となる。

理想変圧器の回路図(N1=2550、N2=85、V1=6300V、負荷7Ω)
問題図:理想変圧器と抵抗負荷
(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)
(1)実効値\( \sqrt{2}/(2\pi) \)210301.0
(2)最大値\( 2\pi/\sqrt{2} \)1051.00.25
(3)実効値\( \sqrt{2}/(2\pi) \)2101.030
(4)最大値\( 1/(2\pi) \)1051530
(5)実効値\( 2\pi/\sqrt{2} \)1051.00.25

出題のポイント:理想変圧器の3つの関係

理想変圧器では、電圧・電流・巻数の間にきわめて単純な関係が成り立ちます損失も漏れ磁束も励磁電流もないと考えるので、比例と反比例だけで話が済みます

関係本問の値
電圧\( V_1/V_2=N_1/N_2 \)6 300 V → 210 V(1/30)
電流\( I_1/I_2=N_2/N_1 \)1.0 A ← 30 A(1/30)
電力\( V_1I_1=V_2I_2 \)6 300×1.0=210×30=6 300 W

巻数比 N1/N2=2 550/85=30——きれいに30倍です。電圧は1/30、電流は30倍という関係で、電力は変わりません

理想変圧器の回路図(N1=2550、N2=85、V1=6300V、負荷7Ω)
問題図:理想変圧器と抵抗負荷
(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)
(1)実効値\( \sqrt{2}/(2\pi) \)210301.0
(2)最大値\( 2\pi/\sqrt{2} \)1051.00.25
(3)実効値\( \sqrt{2}/(2\pi) \)2101.030
(4)最大値\( 1/(2\pi) \)1051530
(5)実効値\( 2\pi/\sqrt{2} \)1051.00.25
理想変圧器の誘導起電力Eイコール4.44fNファイ、電圧比、電流比と、巻数2550対85、一次6300ボルト、負荷7オームから解く順序
最大磁束の係数を決めた後は、電圧比→オームの法則→電流比の順に進めます。

(ア)6 300 V は実効値

交流電圧を「○○ V」と表すとき、断りがなければ実効値です。家庭のコンセントが100 V というのも実効値——最大値は141 Vになります。

選択肢には「最大値」もありますが、電気の世界で電圧を言うときは実効値が既定値——最大値を指すときは必ず「最大値」と明記されるのが約束です。

☝️ ひっかけの作り方:(ア)で「最大値」を選ぶと、(イ)の係数も変わってきます2つの空欄が連動している——実効値を前提にすれば(イ)は √2/(2π)、最大値を前提にすれば別の形になります。選択肢を見ると、実効値と √2/(2π) が組になっていることが確認できます。

(イ)最大磁束の式を導く

誘導起電力の式 E=4.44fNΦm を、Φm について解くだけです。ただし本問は 4.44 という数値ではなく、記号のままの形で答えさせています

誘導起電力と最大磁束

\( V_1=4.44fN_1\varPhi_m=\sqrt{2}\,\pi fN_1\varPhi_m \)

4.44=√2π——これを覚えていれば係数が導けます

\( \varPhi_m=\dfrac{V_1}{\sqrt{2}\,\pi fN_1} \)
変形
Φm について解く
\( \phantom{\varPhi_m}=\dfrac{1}{\sqrt{2}\,\pi}\cdot\dfrac{V_1}{fN_1} \)
整理
係数を前に出す
\( \dfrac{1}{\sqrt{2}\,\pi}=\dfrac{\sqrt{2}}{2\pi} \)
有理化
分母の √2 を払う

1/(√2π) と √2/(2π) は同じ値です(約0.225)。選択肢は有理化した形で書かれているので、変形しないと一致に気づけません——分母の √2 を払う操作を思い出せるかがポイントです。

(ウ)(エ)(オ)電圧と電流を求める

\( V_2=V_1\times\dfrac{N_2}{N_1}=6\,300\times\dfrac{85}{2\,550} \)
二次電圧
巻数比で割る
\( \phantom{V_2}=\dfrac{6\,300}{30}=210\ [\mathrm{V}] \)
(ウ)
きれいに210 V
\( I_2=\dfrac{V_2}{R}=\dfrac{210}{7}=30\ [\mathrm{A}] \)
(オ)二次電流
オームの法則。抵抗負荷7 Ω
\( I_1=I_2\times\dfrac{N_2}{N_1}=\dfrac{30}{30}=1.0\ [\mathrm{A}] \)
(エ)一次電流
電流は巻数に反比例
平成20年度機械A問題7の空欄解答、ア実効値、イ平方根2割る2パイ、ウ210ボルト、エ1.0アンペア、オ30アンペア、正解3
空欄は順に、実効値、√2/(2π)、210 V、1.0 A、30 A。正解は(3)です。
答え(ア)実効値 (イ)√2/(2π) (ウ)210 (エ)1.0 (オ)30——正解は (3)です。

⚠️ よくある間違い
(1) は(エ)と(オ)が入れ替わっています(30 と1.0)。問われているのは「一次側に流れる電流」が先、「二次側」が後——順序を取り違えると、正しく計算していても失点します。
一次側は高電圧・小電流、二次側は低電圧・大電流——降圧変圧器ならこの関係ですから、「一次が1.0 A、二次が30 A」で間違いありません

電力が保存されていることを確かめる

\( P_1=V_1I_1=6\,300\times1.0=6\,300\ [\mathrm{W}] \)
一次側
入力
\( P_2=V_2I_2=210\times30=6\,300\ [\mathrm{W}] \)
二次側
出力
\( P_2=I_2^{2}R=30^{2}\times7=6\,300\ [\mathrm{W}] \)
負荷側
抵抗での消費

3通りの計算がすべて6 300 W で一致——理想変圧器では損失がないので、当然そうなりますこの検算をすれば、(エ)(オ)の取り違えにも気づけます

もし(エ)を30 A としてしまえば、一次側の電力が 6 300×30=189 kW——二次側の6.3 kW と30倍も食い違います「電力が合わない」という一点で、誤りが検出できるのです。

一次側から見た負荷インピーダンスも確かめておきましょう\( 7\times30^{2}=6\,300\ \Omega \)——実際 6 300 V ÷ 1.0 A=6 300 Ωで一致します。インピーダンスが a2 倍になるという換算則が、ここでも確認できます

⏱️ 本番での進め方
① 巻数比=2 550/85=30。電圧は1/30、電流は30倍。
②(イ)は 4.44=√2π から Φm=V/(√2πfN)。有理化して √2/(2π)。
③(ウ)210 V、(オ)210/7=30 A、(エ)30/30=1.0 A。
④ 電力6 300 W が一次・二次で一致するか検算する。

💡 覚え方
「電圧は巻数に比例、電流は反比例、電力は不変」——理想変圧器はこの3つだけそして「4.44=√2π」——係数を記号で問われても導けます

誘導起電力の最大値から実効値4.44を導き、二次電圧210ボルト、二次電流30アンペア、一次電流1.0アンペアと電力保存6300ワットを確認する図
4.44=2π/√2 です。最後に一次・二次電力がともに6300 Wとなることを確認できます。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次