パワエレ30【電験3種 機械】平滑コンデンサ付き単相ダイオードブリッジ整流回路の動作!平成25年 A問題9 完全解説

電験3種 機械科目 パワーエレクトロニクス 平成25年度 A問題9 平滑コンデンサで直流に近づく!動作を追う

今回は平成25年度 機械科目 A問題9を解説します。平滑コンデンサをもつ単相ダイオードブリッジ整流回路の動作(直流側は電圧源、交流側から見た性質、交流電流の波形)を問う空欄補充問題です。

直流負荷側からみれば、大容量の平滑コンデンサにより電圧変動が小さいため直流の電圧源として動作します。一方、交流電源は電源インピーダンスが負荷インピーダンスより十分小さいため交流の電圧源として扱います。整流回路への充電電流はパルス状に流れます。

目次

平成25年度 機械科目 A問題9:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 機械科目 パワーエレクトロニクス 平成25年度 A問題9 問題文
平成25年度 機械科目 A問題9 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成25年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題9

電験3種 機械科目 【パワーエレクトロニクス】 平成25年度 A問題9

 次の文章は,下図に示すような平滑コンデンサをもつ単相ダイオードブリッジ整流回路に関する記述である。

 図の回路において,平滑コンデンサの電流iCは,交流電流isを整流した電流と負荷に供給する電流idとの差となり,電圧vdは(ア)波形となる。この平滑コンデンサをもつ整流回路は,負荷側からみると直流の(イ)として動作する。

 交流電源は,負荷インピーダンスに比べ電源インピーダンスが非常に小さいことが一般的であるので,通常の用途では交流の(ウ)として扱われる。この回路の交流電流isは,正負の(エ)波形となる。これに対して,図には示していないが,リアクトルを交流電源と整流回路との間に挿入するなどして,波形を改善することが多い。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)脈動する電圧源電圧源パルス状の
(2)正負に反転する電流源電圧源パルス状の
(3)脈動する電圧源電圧源ほぼ方形波の
(4)正負に反転する電圧源電流源パルス状の
(5)正負に反転する電流源電流源ほぼ方形波の
図 平滑コンデンサをもつ単相ダイオードブリッジ整流回路
図 平滑コンデンサをもつ単相ダイオードブリッジ整流回路

出題のポイント:コンデンサがあるから「電圧源」

平滑コンデンサ付きの整流回路は、負荷から見ると電圧源のように振る舞いますコンデンサが電圧を保とうとするからです——負荷電流が変わっても、出力電圧はあまり変わりません

電圧源として振る舞う電流源として振る舞う
何が入っているかコンデンサ(電圧を保つ)リアクトル(電流を保つ)
負荷が変わると電圧はほぼ一定、電流が変わる電流はほぼ一定、電圧が変わる
呼び名電圧形(コンデンサインプット形)電流形(チョークインプット形)

コンデンサは電圧を、リアクトルは電流を保とうとする——この双対の関係が、そのまま「電圧源か電流源か」を決めます本問はコンデンサなので(イ)は電圧源です。

図 平滑コンデンサをもつ単相ダイオードブリッジ整流回路
図 平滑コンデンサをもつ単相ダイオードブリッジ整流回路
平滑コンデンサ付き整流回路で直流側と交流側を電圧源とみなし交流電流がパルス状となる整理
直流側と交流側で電圧源とみなす理由は異なります。

(ア)出力電圧は脈動する

コンデンサは電圧を保とうとしますが、完全に一定にはできませんダイオードが導通していない間、負荷へ電流を供給して少しずつ放電する——その分だけ電圧が下がります

そして次のピークで再び充電される——この繰り返しで、電圧は小さく上下しますこれが脈動(リプル)です。

ただし「正負に反転する」ことはありません整流回路の出力ですから、常に一方向(正)——脈動しながらも正の値を保ちますだから(ア)は「脈動する」が正しく、「正負に反転する」は誤りです。

☝️ ひっかけの作り方:「正負に反転する」を選ぶ肢が3つあります。整流の目的は「一方向にすること」ですから、出力が正負に振れたら整流していないことになります——この1点だけで(2)(4)(5)が落ちます

(ウ)交流電源は電圧源として扱う

問題文が「負荷インピーダンスに比べ電源インピーダンスが非常に小さい」と述べています内部インピーダンスが小さい電源=理想的な電圧源——これは理論科目で学ぶ定義そのものです。

理想電圧源理想電流源
内部インピーダンス0無限大
電流が変わると電圧は変わらない電圧が変わる
実際の商用電源これに近い

商用電源は内部インピーダンスがきわめて小さいので、ほぼ理想電圧源として扱えます——だから(ウ)は電圧源です。

(エ)交流電流はパルス状

コンデンサはピーク値近くまで充電されています電源電圧の絶対値がそれを上回る、ごく短い期間だけダイオードが導通——だから電流はパルス状になります。

正の半サイクルで正のパルス、負の半サイクルで負のパルス——「正負のパルス状」波形です。方形波にはなりません——方形波になるのはチョークインプット形(リアクトルが入る場合)です。

平成25年度機械A問題9の脈動する、電圧源、電圧源、パルス状の空欄解答
正しい組合せは選択肢(1)です。
答え(ア)脈動する (イ)電圧源 (ウ)電圧源 (エ)パルス状の——正解は (1)です。

リアクトルを入れると何が変わるのか

問題文の最後に「リアクトルを交流電源と整流回路との間に挿入するなどして、波形を改善する」とありますなぜリアクトルで波形が良くなるのでしょうか

リアクトルは電流を急に変えられない——だから電流の立ち上がりが鈍り、パルスの幅が広がります細く鋭いパルスが、なだらかで幅の広い波形に変わるのです。

リアクトルなしACリアクトルあり
電流波形細く鋭いパルス幅の広いなだらかな波形
ピーク電流大きい小さくなる
高調波多い減る
力率悪い(0.6前後)改善する(0.8前後)
出力電圧高い(ピーク値近く)やや下がる

波形が改善する代わりに、出力電圧はやや下がります——リアクトルでの電圧降下があるからです。ここにもトレードオフがあります。

より積極的な対策が力率改善回路(PFC)で、電流波形を強制的に正弦波に近づける——力率0.99 以上も可能です。高調波規制が厳しくなるなかで、標準的な装備になりつつあります

⏱️ 本番での進め方
①「正負に反転する」は整流の出力としてあり得ない。3肢が落ちる。
② コンデンサ=電圧を保つ=電圧源。リアクトルなら電流源。
③ 内部インピーダンスが小さい電源=電圧源。
④ コンデンサインプット形の電流はパルス状。方形波はチョークインプット形。

💡 覚え方
「コンデンサは電圧源、リアクトルは電流源」——保とうとする量が、そのまま電源の種類になりますそして「整流出力は脈動しても正負には振れない」——この2点で4つの空欄が決まります

直流負荷側と交流電源側を電圧源とみなす理由およびパルス状交流電流の説明
交流側は電源インピーダンスが十分小さいため電圧源とみなします。

電圧形と電流形 — インバータにも同じ区別がある

本問で出てきた「電圧源として動作する」という考え方は、インバータの分類にもそのまま使われます直流側に何が入っているかで、電圧形か電流形かが決まるのです。

電圧形インバータ電流形インバータ
直流側の素子大容量コンデンサ大容量リアクトル
直流側で一定なもの電圧電流
出力波形電圧が方形波(電流は負荷しだい)電流が方形波(電圧は負荷しだい)
逆並列ダイオード必要不要(デバイスに逆阻止能力が要る)
主な用途一般的な可変速駆動、太陽光パワコン大容量電動機の駆動

現在のインバータはほとんどが電圧形です。コンデンサはリアクトルより小型・軽量・安価で、IGBTと逆並列ダイオードの組合せがそのまま使える——だから電圧形が主流になりました

本問の整流回路は、まさにこの電圧形インバータの入口にあたります。交流を整流してコンデンサで平滑し、安定した直流電圧を作る——そこからインバータが交流を作り出すという流れです。

「交流 → 整流器 → コンデンサ → インバータ → 交流」——この構成を間接形(インダイレクト)交流変換と呼びます。周波数も電圧も自由に変えられるので、電動機の可変速駆動には欠かせない構成です。

本問が扱っているのは、その最初の段です。「負荷側からみると直流の電圧源として動作する」という記述は、その先につながるインバータから見た姿を述べている——そう読めると、問題文の意図が立体的に見えてきます

まとめ

(ア)脈動する
(イ)電圧源
(ウ)電圧源
(エ)パルス状の
答え(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・平滑コンデンサ付き整流器の電流波形:【機械】平成29年度A問題11
・入力電流波形から回路を特定する:【機械】平成19年度A問題9

📚 次に解くべき関連問題
【機械】平成26年度A問題10(パワエレ29)
【機械】平成19年度A問題9(パワエレ31)
【機械】平成27年度A問題11(パワエレ46)
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