今回は平成19年度 機械科目 A問題9を解説します。入力交流電圧波形vsに対して図のような入力電流波形isとなる電力変換回路を、5つの回路図から選ぶ問題です。
isは電源から流出する電流ですが、電流が0になる期間が存在しない(半波整流ではあり得ない)ことと、vsとisに位相差がある(ダイオードではなくサイリスタである)ことの2点から回路を絞り込みます。
平成19年度 機械科目 A問題9:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成19年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題9
電験3種 機械科目 【パワーエレクトロニクス】 平成19年度 A問題9
入力交流電圧波形vsに対し,図のような入力電流波形isとなる電力変換回路として,正しいのは次のうちどれか。ただし,交流電源のインピーダンスは無視できるものとし,電力変換回路における平滑リアクトルは十分に大きなインダクタンスを持っているものとする。
回路候補(1)〜(5)は、下の問題図を参照してください。

出題のポイント:2つの観点で順に絞り込む
波形から回路を特定する問題は、判定しやすい観点から順に当てはめるのが定石です。本問なら「電流が0になる期間があるか」と「電圧と電流に位相差があるか」の2つ——この2段階で1つに絞れます。
| 確認する点 | そこから分かること |
| 電流が0になる期間があるか | ある=半波整流/ない=全波整流 |
| 電圧と電流に位相差があるか | ある=サイリスタ(位相制御)/ない=ダイオード |
| 出力が正負どちらにも現れるか | 両方=交流出力(位相制御)/片側のみ=整流 |
| 波形が方形波かパルス状か | 方形波=直流側にリアクトル/パルス状=直流側にコンデンサ |
1つ目の観点で半波か全波かが決まり、2つ目でダイオードかサイリスタかが決まる——2×2の組合せのうち、どこに当てはまるかを探す作業になります。


① 電流が0になる期間があるか
半波整流では、電源電流が流れない期間が必ずできます。片方の半サイクルしか使わないのですから、もう片方は電流が0になります。
全波整流なら、正負どちらの半サイクルでも電流が流れます。平滑リアクトルが十分大きいという条件があるので、直流側の電流は一定——それが交流側では正負の方形波として現れます。
| 回路 | 電源電流の波形 | 0になる期間 |
| 半波整流 | 片側の半サイクルだけ | ある(半周期分) |
| 全波整流(リアクトル平滑) | 正負の方形波 | ない |
問題の波形には0になる期間がない——だから半波整流の候補はすべて除外できます。この1点で3つの選択肢が落ちるのですから、まずここを確認すべきです。
② 電圧と電流に位相差があるか
ダイオードは電圧の極性だけで導通が決まります。電源電圧が正になった瞬間から電流が流れ始める——だから電流波形は電圧と同じタイミングで切り替わります。
サイリスタなら、点弧のタイミングを遅らせられます。電圧が正になってもすぐには流れず、制御角αだけ遅れてから流れ出す——電流波形が電圧より遅れるのです。
問題の波形には位相差がある——だからダイオードではなくサイリスタだと判定できます。


平滑リアクトルが大きいとなぜ方形波になるのか
問題文の「平滑リアクトルは十分に大きなインダクタンスを持っている」という条件が、波形の形を決めています。
リアクトルは電流を一定に保とうとします。インダクタンスが十分大きければ、直流側の電流はほぼ完全に一定——リプルのない直流になります。
その一定の電流が、ブリッジによって半サイクルごとに向きを切り替えられる——交流側から見れば、正負の方形波になるわけです。
| 直流側の素子 | 直流電流 | 交流側の電流波形 |
| 大きなリアクトル | ほぼ一定 | 方形波(正負に切り替わる) |
| 大きなコンデンサ | 電圧が一定、電流は断続 | パルス状 |
コンデンサ平滑なら電流はパルス状になります。本問がリアクトル平滑だと明記しているのは、方形波であることを保証するため——条件文が波形の形を決めているのです。
⏱️ 本番での進め方
① まず「電流が0になる期間があるか」。あれば半波、なければ全波。
② 次に「電圧と電流に位相差があるか」。あればサイリスタ、なければダイオード。
③ この2段階で5肢が1つに絞れる。全部の回路図を細かく読む必要はない。
④ リアクトル平滑なら方形波、コンデンサ平滑ならパルス状。
💡 覚え方
「0の期間で半波か全波、位相差でダイオードかサイリスタ」——2つの観点で2×2の表が埋まります。波形問題は、判定しやすい特徴から順に消していくのが鉄則です。


方形波の電流にはどんな高調波が含まれるか
本問の電源電流は方形波でした。正弦波ではないということは、高調波を含んでいるということ——どんな成分が含まれているのかを見ておきましょう。
| 次数 | 基本波に対する大きさ | 備考 |
| 基本波 | 100 % | \( 4I_d/\pi\fallingdotseq 1.27I_d \) |
| 第3次 | 33 % | 三相ではΔ結線内で循環できる |
| 第5次 | 20 % | — |
| 第7次 | 14 % | — |
| 偶数次 | 0 | 正負対称な波形には含まれない |
方形波の実効値は Id そのものですが、基本波の実効値は 0.9Id です。その比が総合力率に効いてきます——ひずみ率が力率を下げるのです。
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基本波実効値÷全体の実効値
ひずみ力率×基本波力率(変位力率)
制御角αを大きくすると、基本波力率 cos α も下がります。α=60°なら総合力率は 0.9×0.5=0.45——出力を絞るほど力率が悪化するのがサイリスタ整流器の弱点です。
コンデンサ平滑の整流回路ならさらに悪く、総合力率は0.6前後。だから力率改善回路(PFC)が必要になります——波形のひずみが、そのまま系統への負担になるのです。
まとめ
| isが0の期間なし | 全波整流回路(4)(5)に絞る |
| 位相差あり | サイリスタ回路 |
| 答え | (5) |
▼あわせて解きたい関連問題
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