今回は平成22年度 機械科目 A問題14を解説します。入力信号A,B及びC、出力信号Xの真理値表を満たす論理回路を、5つの回路図の中から選ぶ問題です。
真理値表からX=Ā・C̄+A・B̄という論理式をまず導き、次に各選択肢の回路図が実際にどんな論理式になるかを調べて一致するものを選びます。カルノー図で最終確認するとより確実です。
平成22年度 機械科目 A問題14:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成22年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題14
電験3種 機械科目 【情報】 平成22年度 A問題14
入力信号がA,B及びC,出力信号がXの論理回路として,次の真理値表を満たす論理回路は次のうちどれか。
A B C X 0 0 0 1 0 0 1 0 0 1 0 1 0 1 1 0 1 0 0 1 1 0 1 1 1 1 0 0 1 1 1 0 選択肢(1)〜(5)はいずれもAND・OR・NOTゲートで構成された論理回路図(画像参照)。(2)は上段がAとB̄のAND、下段がAとCのNORで、その二つを最後にORする構成です。出力はX=A・B̄+Ā・C̄となります。

出題のポイント:まず論理式を作ってから回路を見る
回路図を1つずつ読み解くのは大変です。先に真理値表から論理式を作り、それと一致する回路を探す——これが効率のよい進め方になります。
| A | B | C | X | グループ |
| 0 | 0 | 0 | 1 | Ā·C̄ |
| 0 | 1 | 0 | 1 | Ā·C̄ |
| 1 | 0 | 0 | 1 | A·B̄ |
| 1 | 0 | 1 | 1 | A·B̄ |
A=0 の行を見ると、C=0 のときだけX=1——B は関係ないので Ā·C̄ です。
A=1 の行を見ると、B=0 のときだけX=1——C は関係ないので A·B̄ になります。
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カルノー図で確かめる
| C\AB | 00 | 01 | 11 | 10 |
| 0 | ★1 | ★1 | 0 | ★1 |
| 1 | 0 | 0 | 0 | ★1 |
C=0 の行の左2マス(AB=00、01)——これが Ā·C̄。B が0 も1 も含むので消えます。
AB=10 の縦2マス——これが A·B̄。C が0 も1 も含むので消えます。

NORゲートの読み方
選択肢(2)で使われているNORゲート——ド・モルガンの法則で読み替えるのがコツです。
| ゲート | そのままの式 | ド・モルガンで書き換え | 読み方 |
| NOR | (A+C)‾ | ★Ā·C̄ | 「両方とも0 のとき1」 |
| NAND | (A·B)‾ | Ā+B̄ | 「どちらかが0 なら1」 |
NOR は「両方とも0 のときだけ1」——ORの否定だから当然です。本問では A=0 かつ C=0 のとき1——まさに Ā·C̄ が必要な条件でした。
回路図にNORやNANDが出てきたら、まずド・モルガンで書き換える——ANDとORとNOTの形にすれば、真理値表と比べやすくなります。
⚠️ よくある間違い
回路図を全部読もうとすると時間がかかります。先に論理式を作っておけば、あとは照合するだけ——「作ってから探す」のが鉄則です。
それでも迷ったら、特定の入力で試すという手もあります。たとえば A=1、B=1、C=0 ならX=0——この入力で1 を出す回路は落とせます。
1つの入力で複数の選択肢が落ちることも多く、全部読むより速い方法です。
⏱️ 本番での進め方
① 先に真理値表から論理式を作る。
② A=0 なら C̄、A=1 なら B̄ →X=Ā·C̄+A·B̄。
③ NOR は Ā·C̄ と読み替える(ド・モルガン)。
④ 迷ったら特定の入力を代入して選択肢を落とす。
💡 覚え方
「回路を読む前に式を作る」——照合するほうが速い。そして「NOR=両方0 なら1、NAND=どちらか0 なら1」——ド・モルガンで読み替えれば怖くありません。

組合せ回路と順序回路
本問のように「入力だけで出力が決まる回路」を組合せ回路と呼びます。もう一つの型が順序回路です。
| 組合せ回路 | 順序回路 | |
| 出力の決まり方 | ★そのときの入力だけで決まる | 過去の状態にも依存する |
| 記憶 | ない | ★ある(フリップフロップ) |
| 真理値表 | そのまま書ける | 状態遷移表が必要 |
| 例 | 加算器、デコーダ、本問の回路 | カウンタ、レジスタ、シフトレジスタ |
組合せ回路は真理値表で完全に表せます——入力が同じなら出力も必ず同じだからです。本問が真理値表だけで解けるのは、組合せ回路だからになります。
順序回路では、同じ入力でも状態によって出力が変わります——シーケンス制御の自己保持回路がまさにそれ。「押しボタンを離しても動作が続く」のは記憶があるからです。
フリップフロップという記憶素子
順序回路の記憶を担うのがフリップフロップ——1ビットを保持する回路です。
| 種類 | 働き | 用途 |
| RS-FF | セットで1、リセットで0 | 基本形。自己保持と同じ |
| D-FF | クロックの瞬間の入力を保持 | ★レジスタ、記憶回路 |
| T-FF | 入力のたびに反転 | カウンタ、分周器 |
RS-FF はNANDゲート2個で作れます——互いの出力を相手の入力に戻すという構成。シーケンス制御の自己保持回路と、まったく同じ発想です。
組合せ回路に「戻り」を加えると記憶が生まれる——フィードバックが状態を作るという点で、自動制御の考え方ともつながっています。
論理回路と半加算器
組合せ回路の代表例が加算器です。本問と同じように、真理値表から論理式を作って設計されています。
| A | B | 和 S | 桁上げ C |
| 0 | 0 | 0 | 0 |
| 0 | 1 | 1 | 0 |
| 1 | 0 | 1 | 0 |
| 1 | 1 | 0 | ★1 |
和 S は「入力が異なるとき1」=EX-OR、桁上げ C は「両方1 のとき1」=AND——2つのゲートだけで加算器ができるのです。
これが半加算器。下位からの桁上げも受け取れるようにしたのが全加算器——それを桁数分つなげば、何桁でも足し算できます。
コンピュータの計算は、こうした論理ゲートの組合せ——真理値表から論理式を作る本問の作業が、そのまま設計の入口になっているのです。
論理回路の実際の使われ方
本問のような3入力の組合せ回路は、実際の制御でもよく現れます。
| 用途 | 入力の例 | 出力の例 |
| インタロック | 各機器の運転状態 | 起動許可信号 |
| 警報の集約 | 複数の異常検出 | まとめて1つの警報 |
| 運転条件の判定 | 圧力・温度・液位 | 運転可否 |
「どの条件がそろえば動かしてよいか」——それを真理値表に書き出し、論理式にして回路にする。本問の作業が、そのまま設計の手順になっています。
いまはPLC のプログラムで書きますが、考え方は同じ——真理値表から論理式を作る力は、機器が変わっても使えます。
まとめ
| 求めた論理式 | Ā・C̄+A・B̄ |
| 該当回路 | (2) |
| 答え | (2) |
▼あわせて解きたい関連問題
・3変数の真理値表から論理式を代数的に導く:【機械】平成18年度A問題14
・4AND-OR・3NAND-NANDの論理回路で出力X,Yを求める:【機械】平成24年度A問題14

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