誘導機49【電験3種 機械】三相誘導電動機の構造とは?平成21年 A問題3 完全解説

電験3種 機械科目 誘導機 平成21年度 A問題3 固定子と回転子でできている!各部の名前は?

電験3種(第三種電気主任技術者試験)の機械科目において、「三相誘導電動機の構造」は繰り返し出題される基礎の定番です。本記事では、平成21年度 A問題3を、はじめての方でも確実に解けるように丁寧に解説します。

鍵は部品と機種の対応——「端絡環=かご形」「スリップリング=巻線形」「整流子=直流機」。この3対応と「三相→回転磁界」だけで完答できます。

目次

平成21年度 機械科目 A問題3:問題文と選択肢

部品の名前がどの機種のものかを対応させていきます。

電験3種 機械科目 平成21年度 A問題3 問題文(三相誘導電動機の構造)
平成21年度 機械科目 A問題3 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成21年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題3

電験3種 機械科目 【誘導機】 平成21年度 A問題3

三相誘導電動機は、(ア)磁界を作る固定子及び回転する回転子からなる。回転子は、(イ)回転子と(ウ)回転子との2種類に分類される。(イ)回転子では、回転子溝に導体を納めてその両端が(エ)で接続される。(ウ)回転子では、回転子導体が(オ)、ブラシを通じて外部回路に接続される。

(1) 回転・円筒形・巻線形・スリップリング・整流子 (2) 固定・かご形・円筒形・端絡環・スリップリング (3) 回転・巻線形・かご形・スリップリング・整流子 (4) 回転・かご形・巻線形・端絡環・スリップリング (5) 固定・巻線形・かご形・スリップリング・整流子

🔁 再出題情報
本問は令和4年度下期 A問題3(誘導機35)でほぼそのまま再出題されました。部品名の対応表は何度でも得点になります。

出題のポイント:部品の名前が機種を教えてくれる

回転機の構造問題は「この部品はどの機種のものか」という対応さえ覚えていれば、考えずに解けます。3つの部品名が3つの機種に1対1で対応しているのが、この分野の便利なところです。

部品どの機種のものか役割
端絡環(エンドリング)かご形誘導機回転子導体の両端を短絡する(=二次回路が閉じている)
スリップリング巻線形誘導機・同期機回転する巻線と外部回路をつなぐ(連続した輪)
整流子直流機電流の向きを切り替える(切れ目のある円筒)

スリップリングと整流子の違いを押さえておくことが特に大切です。どちらもブラシと接触する回転部品ですが、スリップリングは連続した輪で電流を渡すだけ、整流子は切れ目があって電流の向きを切り替える——役割がまったく違います

誘導電動機のかご形回転子に端絡環、巻線形回転子にスリップリング、直流機に整流子が対応する構造図
端絡環=かご形、スリップリング=巻線形、整流子=直流機という部品対応が解答の軸です。

空欄を1つずつ確定する

(ア):三相が作るのは「回転」磁界

三相交流を空間的に120°ずらして配置した巻線に流すと、合成磁界が回転します——これが回転磁界で、誘導電動機が回る大前提です。(ア)=回転

「固定」磁界では回転子は回りません。磁界が動かなければ回転子との相対運動がなく、起電力も電流も生じないからです。単相誘導電動機が自力で始動できないのも、単相では回転磁界ができない(交番磁界になる)ためです。

(イ)(エ):導体の両端を端絡環でつなぐ=かご形

「回転子溝に導体を納めてその両端が(エ)で接続される」——両端をつないで閉じた回路にするのですから、これはかご形です。(イ)=かご形、(エ)=端絡環

導体棒と両端の端絡環を合わせた形が「かご」(リス籠)に似ていることから、この名が付いています。回転子巻線が完全に閉じているので、外部から何もできない——これがかご形の長所(構造が簡単・堅牢)でもあり短所(二次抵抗を変えられない)でもあります。

(ウ)(オ):外部回路につなぐ=巻線形とスリップリング

「回転子導体が(オ)、ブラシを通じて外部回路に接続される」——外部へ引き出すのですから巻線形、そのための部品がスリップリングです。(ウ)=巻線形、(オ)=スリップリング

外部に引き出せるからこそ、二次抵抗を挿入して比例推移を使えます。始動トルクを大きくしたり、速度を制御したり——かご形にはできない芸当です。構造が複雑で保守が要る代わりに、制御の自由度を手に入れたのが巻線形だと理解してください。

答え(ア)回転/(イ)かご形/(ウ)巻線形/(エ)端絡環/(オ)スリップリング ⇒ (4)
かご形回転子の導体棒と端絡環、巻線形回転子の三相巻線と3本のスリップリングおよび外部抵抗の比較
かご形は二次回路が端絡環で閉じ、巻線形はスリップリングを介して外部へ接続できます。
平成21年度機械A問題3の空欄を回転、かご形、巻線形、端絡環、スリップリングと確定し正解4を導く表
5つの語句を構造と部品名から確定すると、正解は(4)です。

選択肢を絞り込む手順

段階根拠残る選択肢
(ア)=回転三相巻線が作るのは回転磁界。固定では回らない(2)(5)が消えて(1)(3)(4)
(エ)=端絡環「両端が接続される」=短絡する部品(1)(3)が消えて(4)に確定

2段階で決まります。(1)は(イ)に「円筒形」を置いていますが、円筒形・突極形は同期機の回転子の分類であって誘導機のものではありません。用語がどの機種のものかを知っていれば、それだけで消せます

(3)と(5)は「整流子」を含んでいます。整流子は直流機の部品なので、誘導電動機の構造説明に出てくるはずがありません機種違いの用語が混ざっている選択肢は即座に消せる——構造問題の定石です。

かご形と巻線形はなぜ使い分けられるのか

かご形巻線形
二次回路端絡環で短絡(閉じている)スリップリングで外部へ(開いている)
二次抵抗の調整できないできる(比例推移)
始動トルク小さい(対策が要る)大きくできる
始動電流大きい(全電圧なら定格の5〜7倍)抵抗で抑えられる
構造・保守単純・堅牢・無保守ブラシの保守が必要
価格安い高い
主な用途ほとんどの一般用途大形の始動・クレーン・巻上機

圧倒的多数はかご形です。構造が単純で壊れにくく、保守が要らないという利点が大きすぎるためで、始動電流の問題はY-Δ始動やインバータで解決できるようになりました。

実際、インバータの普及によって巻線形の出番は大きく減っています。インバータなら周波数を低いところから上げていけるので、始動電流を抑えつつ大きなトルクを出せる——巻線形の長所をかご形で実現できてしまうからです。「二次抵抗で制御する」という発想が古典的なものになったという点も、構造の理解とあわせて知っておくと面白いところです。

⏱️ 本番での進め方
部品名で機種を判定:端絡環=かご形、スリップリング=巻線形、整流子=直流機。
三相=回転磁界。「固定」と書いてある選択肢は即消せる。
機種違いの用語が混ざった選択肢は消える(円筒形=同期機、整流子=直流機)。
(ア)と(エ)の2つだけで正解が決まる。全部を検討する必要はない。

かご形の回転子はなぜ工夫されているのか

かご形は「導体を溝に入れて両端を端絡環でつなぐだけ」という単純な構造ですが、実機ではいくつもの工夫が入っています。単純な構造のままでは困ることがあるからです。

工夫どうしているか何のためか
斜溝(スキュー)導体を軸に対して斜めに入れる回転子と固定子の溝が重なる位置で生じるトルクの脈動・騒音を防ぐ
深溝かご形導体を細長く深く埋め込む始動時(二次周波数が高い)は表皮効果で上部にしか電流が流れず、抵抗が大きくなる
二重かご形外側に高抵抗、内側に低抵抗の2組の導体始動時は外側、運転時は内側が主に働く

深溝・二重かご形が狙っているのは「比例推移と同じ効果を、外部抵抗なしで得ること」です。始動時だけ二次抵抗が大きく、運転に入ると小さくなる——巻線形なら人が抵抗を切り替えて実現することを、導体の形だけで自動的にやってしまうわけです。

なぜそんなことができるのか——二次側に流れる電流の周波数は「すべり周波数 sf」だからです。

運転状態滑り s二次周波数 sf(f=50 Hz)表皮効果実効的な二次抵抗
始動時150 Hz強い(導体上部だけ通電)大きい ⇒ 始動トルク大
定格運転0.03程度1.5 Hzほとんどない小さい ⇒ 効率よい

始動時は滑り1なので二次周波数が電源周波数そのもの運転に入れば滑りが小さくなって二次周波数はほぼ直流——この差が表皮効果の強弱を生むのです。「かご形は二次抵抗を変えられない」という原則の、巧妙な抜け道だと言えます。

本問は基本的な構造を問う問題ですが、その先にこうした工夫が積み重なっていることを知っておくと、特殊かご形電動機の問題が出たときにも慌てずに済みます

★同一問題:令和4年度下期 A問題3として再出題されている

この問題は令和4年度下期 A問題3としてほぼ同一の内容で再出題されています。5つの空欄の答えも、正解の番号まで同じでした。

平成21年度 A問題3(本問)令和4年度下期 A問題3
(ア)回転回転(同じ)
(イ)(ウ)かご形・巻線形かご形・巻線形(同じ)
(エ)(オ)端絡環・スリップリング端絡環・スリップリング(同じ)
正解の番号(4)(4)

13年ぶりに、選択肢の並びも変えずに出題されました。番号まで一致したのは幸運で、同じ問題で選択肢を並べ替えて正解番号が動いた例は直流機に複数あります——番号ではなく部品名の対応で覚えてください

13年という間隔は、受験者の世代が完全に入れ替わる長さです。それでも同じ問題が出る——基礎的な構造の知識は、何年経っても問われ続けると考えて、確実に固めておきましょう。

💡 覚え方
端絡環=かご形(二次回路が閉じる)/スリップリング=巻線形(外部へ開く)/整流子=直流機三相巻線は回転磁界を作る円筒形・突極形は同期機の分類外部へ開いているから二次抵抗を入れられ、比例推移が使える——これが巻線形の存在理由です。

⚠️ よくある間違い
スリップリングと整流子を混同するのが最も多い誤りです。スリップリングは連続した輪で電流を渡すだけ、整流子は切れ目があって向きを切り替える——役割が違います。もう一つは「円筒形」を誘導機の回転子の分類だと思ってしまうこと。円筒形・突極形は同期機の話です。

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