電気加熱21【電験3種 機械】熱電温度計・抵抗温度計・放射温度計の測温方式の穴埋め問題!平成19年度 A問題12 完全解説

電験3種 機械科目 電気加熱 平成19年度 A問題12 触れずに測る放射温度計!測温方式を整理

今回は平成19年度 機械科目 A問題12を解説します。熱電温度計(ゼーベック効果)・抵抗温度計(サーミスタ)・全放射温度計(ステファン・ボルツマンの法則)・赤外線温度計(光電素子)という電気的な温度測定法に関する空所補充問題です。

熱電対を用いた熱電温度計はゼーベック効果、抵抗温度計はサーミスタなど半導体の抵抗変化を利用します。全放射温度計は放射エネルギーが絶対温度の4乗に比例するというステファン・ボルツマンの法則を応用したものです。

目次

平成19年度 機械科目 A問題12:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 機械科目 電気加熱 平成19年度 A問題12 問題文
平成19年度 機械科目 A問題12 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成19年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題12

電験3種 機械科目 【電気加熱】 平成19年度 A問題12

 電気的に温度を測定する方法には,熱電温度計,抵抗温度計など接触式のものと,放射温度計(全放射温度計,赤外線温度計)や光高温計など放射を利用した非接触式のものがある.

 熱電温度計は,(ア)の熱起電力が熱接点と冷接点間の温度差に応じて生じるという(イ)効果を利用したものである.普通,温度差と熱起電力が直線的関係にある範囲で使用される.

 抵抗温度計は,白金や銅,ニッケルなどの純粋な金属や(ウ)のような半導体の抵抗率が温度によって規則的に変化する特性を利用したものである.

 全放射温度計は,「放射体から単位時間に放射される全放射エネルギーは放射体の絶対温度の(エ)に比例する」というステファン・ボルツマンの法則を応用したもので,光学系を使用して被測温体からの全放射エネルギーを受熱板に集めて,その温度上昇を熱電温度計などによって測定するものである.

 赤外線温度計は,波長700〜20000〔nm〕程度の赤外放射を利用したもので,検出素子としては(ウ)などを使ったものと,HgCdTe,InGaAs,PbSなどの(オ)を使ったものがある.

 上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる語句として,正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか.

電気的に温度を測定する方法には,熱電温度計,抵抗温度計など接触式のものと,放射温度計(全放射温度計,赤外線温度計)や光高温計など放射を利用した非接触式のものがある。熱電温度計は,(ア)の熱起電力が熱接点と冷接点間の温度差に応じて生じるという(イ)効果を利用したものである。抵抗温度計は,白金や銅,ニッケルなどの純粋な金属や(ウ)のような半導体の抵抗率が温度によって規則的に変化する特性を利用したものである。全放射温度計は,「放射体から単位時間に放射される全放射エネルギーは放射体の絶対温度の(エ)に比例する」というステファン・ボルツマンの法則を応用したもので,光学系を使用して被測温体からの全放射エネルギーを受熱板に集めて,その温度上昇を熱電温度計などによって測定するものである。赤外線温度計は,波長700〜20000〔nm〕程度の赤外放射を利用したもので,検出素子としては(ウ)などを使ったものと,HgCdTe,InGaAs,PbSなどの(オ)を使ったものがある。上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる語句として,正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。

(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)
(1)熱電対ゼーベックサーミスタ4乗光電素子
(2)サーミスタペルチェバイメタル3乗光電素子
(3)熱電対ゼーベックサーミスタ3乗熱電素子
(4)熱電対ペルチェバイメタル4乗光電素子
(5)サーミスタゼーベックバイメタル4乗熱電素子

温度計を接触式と非接触式に分ける

電気的な温度測定は、大きく2つ——触れるか、触れないかです。

方式原理測定範囲の目安特徴
★熱電温度計★ゼーベック効果−200〜1,700 ℃広範囲・応答が速い
★抵抗温度計★抵抗率の温度変化−200〜600 ℃精度が高い
全放射温度計★ステファン・ボルツマンの法則数百〜3,000 ℃非接触
赤外線温度計赤外放射を検出−50〜3,000 ℃非接触・応答が速い

接触式は正確ですが、対象に触れる必要があります——動いているものや、超高温のものには使えませんそこで非接触式の出番になります。

熱電温度計、抵抗温度計、全放射温度計、赤外線温度計の接触式・非接触式と測温原理を比較した図
接触式は熱起電力または抵抗変化、非接触式は物体からの放射を検出して温度を求めます。

(ア)(イ) ゼーベック効果

2種類の異なる金属をつないで輪を作り、2つの接点に温度差をつける——すると起電力が生じますこれがゼーベック効果です。

効果入力出力用途
★ゼーベック効果★温度差★起電力★熱電対(温度測定)
ペルチェ効果★電流★温度差ペルチェ素子(冷却)

2つは互いに逆の現象——温度差から電気か、電気から温度差か選択肢に両方が用意されているので、混同しないでください。

ゼーベック=測る、ペルチェ=冷やす——用途で覚えるのが確実です。ペルチェ素子は小型冷蔵庫やCPUクーラーに使われます

(ウ) サーミスタ

金属の抵抗は温度が上がると増えます——ところが半導体のサーミスタは、逆に減るものが主流です。

素子温度が上がると感度
白金測温抵抗体抵抗が増える直線的で精度が高い
★サーミスタ(NTC)★抵抗が急に減る★感度が非常に高い

「バイメタル」は選択肢の紛らわしい語——2種類の金属を張り合わせて、熱膨張の差で曲がるものです。機械的なスイッチであって、抵抗変化は使いません

(エ)(オ) 放射を使う温度計

ステファン・ボルツマンの法則
\( E=\sigma T^4 \)

放射エネルギーは絶対温度の★4乗に比例

4乗という強い依存性——温度が2倍になれば放射は16倍です。だから高温の物体ほど精度よく測れることになります。

3乗とする選択肢もありますが、4乗が正しい——「ステファン・ボルツマンといえば4乗」と覚えてください。

(オ)の光電素子は、光を直接電気に変える素子——HgCdTe、InGaAs、PbS はいずれも半導体です。「熱電素子」ではありません——熱電素子は熱起電力を使うもので、別の分類になります。

検出方式仕組み特徴
熱形放射で素子が温まる→抵抗や起電力の変化応答が遅い・波長に依存しない
★量子形(光電素子)★光子が直接電子を励起★応答が速い・波長に依存

サーミスタを使うのが熱形、HgCdTe などを使うのが量子形——問題文が両方を並べているのはこの対比を示すためです。

熱電対、ゼーベック、サーミスタ、4乗、光電素子の五つの空欄と正解1を示した図
空欄は熱電対、ゼーベック、サーミスタ、4乗、光電素子となり、正解は(1)です。
答え正解は (1)——(ア)熱電対 (イ)ゼーベック (ウ)サーミスタ (エ)4乗 (オ)光電素子 です。

⚠️ よくある間違い
ゼーベック効果とペルチェ効果を取り違える——選択肢(4)がペルチェです。
温度計なのですから、温度差から電気が出る側——ゼーベック効果です。ペルチェでは電流を流さなければならず、温度計になりません
(エ)を3乗とする選択肢(2)(3)——ステファン・ボルツマンは4乗放射の問題では必ず4乗 だと押さえてください。
(ウ)を「バイメタル」とする選択肢(2)(4)(5)——問題文が「のような半導体」と書いているので、バイメタル(金属)は当てはまりません問題文中の手がかりを読み落とさないことです。

⏱️ 本番での進め方
①(ア)(イ) 熱電対+ゼーベック効果。温度差→起電力。
②(ウ) 「半導体」と書かれているのでサーミスタ。
③(エ) ★ステファン・ボルツマンは絶対温度の4乗。
④(オ) HgCdTe などは光電素子(量子形)。

💡 覚え方
「ゼーベックは測る、ペルチェは冷やす」——用途で区別できます。「放射は4乗」——ステファン・ボルツマンの法則はこれだけ覚えれば足ります。

放射伝熱の考え方は平成18年度 A問題11にもあります(電気加熱:対流による熱伝達係数と表面熱抵抗率)。

熱電対のゼーベック効果、サーミスタの抵抗変化、放射エネルギーが絶対温度の4乗に比例する原理を示した図
温度差は熱起電力へ、温度は抵抗変化へ、絶対温度は放射エネルギーT⁴へ対応します。

熱電対の種類と使い分け

熱電対は、組み合わせる2種類の金属によって種類が分かれます——記号で呼ばれるのが慣例です。

記号組合せ測定範囲特徴
★Kクロメル・アルメル−200〜1,200 ℃★最も広く使われる
T銅・コンスタンタン−200〜350 ℃低温で精度が高い
★R白金ロジウム・白金★0〜1,600 ℃★高温用・高価

高温を測るほど貴金属が必要——1,600 ℃ まで測れるR型は白金製です。用途に応じて使い分けることになります。

問題文の「普通、温度差と熱起電力が直線的関係にある範囲で使用される」——熱起電力は厳密には温度に対して直線ではないのです。直線とみなせる範囲で使うことで、簡単な換算で温度が求まります。

冷接点補償

熱電対が測るのは「2つの接点の温度差」——絶対温度ではありません

だから冷接点の温度が分からないと、測定点の温度も分かりません——そこで冷接点を0 ℃ に保つか、別のセンサで測って補正するこれが冷接点補償です。問題文の「熱接点と冷接点間の温度差に応じて」が、この事情を表しています。

非接触式の落とし穴

放射温度計は便利ですが、注意点があります——放射率の影響です。

対象放射率 ε測定への影響
黒く酸化した鉄0.8前後比較的正確
★磨いた金属★0.05前後★実際より低く表示される
塗装面・樹脂0.9前後正確

放射率が小さい面は、放射が少ない——だから温度計は「冷たい」と判断してしまいます光った金属を放射温度計で測ると、大きく低い値が出るのです。

対策は、放射率を設定できる温度計を使うか、測定面に黒いテープを貼る——放射率を既知の値にそろえるという方法が取られます。

接触式と非接触式の使い分け

場面適した方式理由
動いているもの★非接触式触れられない
超高温(溶鋼など)★非接触式センサが耐えられない
正確さが要る★接触式放射率の影響を受けない
内部の温度★接触式放射は表面の温度しか示さない

非接触式が測るのはあくまで表面温度——内部が知りたいなら接触式です。どちらが優れているというものではなく、用途で選ぶことになります。

まとめ

(ア)熱電対
(イ)ゼーベック
(ウ)サーミスタ
(エ)4乗
(オ)光電素子
答え(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・対流による熱伝達係数と表面熱抵抗率の穴埋め問題:【機械】平成18年度A問題11
・電気系と熱系の対応表:【機械】令和6年度上期A問題12

📚 次に解くべき関連問題
【機械】平成23年度A問題12(電気加熱18)
【機械】令和2年度A問題13(電気加熱20)
【機械】平成18年度A問題11(電気加熱22)
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