今回は平成18年度 機械科目 A問題10を解説します。毎時100m3の水を揚程50mに持ち上げるポンプで、パイプの損失水頭を考慮した必要電動機入力を求める計算問題です。ポンプ効率と電動機効率が別々に与えられている点が特徴です。
総揚程H=揚程+損失水頭=50+0.5=50.5m。電動機入力Pm=QH/(6.12×ηp×ηm)(Q:m3/min)で計算します。
平成18年度 機械科目 A問題10:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成18年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題10
電験3種 機械科目 【電動機応用】 平成18年度 A問題10
電動機で駆動するポンプを用いて,毎時100m3の水を揚程50mの高さに持ち上げる。ポンプの効率は74〔%〕,電動機の効率は92〔%〕で,パイプの損失水頭は0.5mであり,他の損失水頭は無視できるものとする。このとき必要な電動機入力〔kW〕の値として,最も近いのは次のうちどれか。
(1)18.4 (2)18.6 (3)20.2 (4)72.7 (5)74.1〔kW〕
出題のポイント:効率は2つとも分母に入る
ポンプ効率と電動機効率が別々に与えられています。電動機入力まで遡るなら、両方で割る——掛け算した総合効率で割るのと同じことです。
| 段階 | 本問での値 | 間に入る効率 |
| 水動力(水に与える) | 13.75 kW | — |
| ポンプ軸動力(=電動機出力) | 18.58 kW | ÷0.74 |
| 電動機入力 | 20.2 kW | ÷0.92 |
エネルギーは「電源 → 電動機 → ポンプ → 水」と流れます。問われているのは一番上流の電動機入力——だから2段階すべての損失を遡る必要があります。
選択肢(2) 18.6 kW は電動機出力(ポンプ軸動力)——電動機効率を忘れた値です。「出力」と「入力」を読み分けることが、この問題の最初の関門になります。

計算する
★損失水頭を加える
★毎時を毎分に直す
—
—

⚠️ よくある間違い
(2) 18.6=電動機効率を忘れた(=電動機出力)。
(1) 18.4=損失水頭を加え忘れた(H=50 m で計算し、効率を1つ忘れた場合など)。
(4) 72.7、(5) 74.1=流量を毎時のまま60 で割り忘れた場合——約60倍ではなく、6.12 の式との組合せで数倍の値になります。
桁の見当をつけると安全です。毎秒28 kg の水を50 m 持ち上げるなら 28×9.8×50≒13.7 kW——損失を含めても20 kW 前後だと分かります。
2つの効率をどう扱うか
直列につながった損失は、効率を掛け算します。0.74×0.92=0.681——これが総合効率です。
| 問われているもの | 割る効率 | 本問の値 |
| ポンプ軸動力(電動機出力) | ポンプ効率だけ | 18.6 kW |
| 電動機入力 | ★両方 | 20.2 kW |
「入力」と書かれていたら電源側まで遡る——「出力」なら電動機の軸まで。問題文の一語で答えが変わるので、必ず確認してください。
総合効率68 %ということは、投入した電力の32 %が損失になっています。そのうち大半はポンプ側——電動機のほうが効率がよいのが一般的です。省エネを考えるなら、まずポンプの運転点を見直すのが定石になります。
⏱️ 本番での進め方
① 総揚程=50+0.5=50.5 m。損失水頭を足す。
② Q を毎分に。100÷60=1.667 m3/min。
③ 効率は2つとも分母。6.12×0.74×0.92=4.167。
④ 1.667×50.5÷4.167=20.2 kW。
💡 覚え方
「入力なら効率は全部分母」——遡る段階の数だけ割る。そして「6.12 の式は毎分、9.8 の式は毎秒」——単位に合った公式を選びます。
同じ形式の問題が令和4年度下期 A問題11にあります(電動機応用:揚水ポンプの電動機入力)。そちらは毎秒の式(9.8QH/η)で解いた——2通りの解き方を比べてみてください。

キャビテーション——ポンプ特有の現象
ポンプの設計で避けなければならないのがキャビテーションです。水が沸騰して気泡ができ、それが潰れて羽根車を壊す現象——電力科目の水車でも問われるテーマです。
水は圧力が下がれば常温でも沸騰します。ポンプの吸込み側は圧力が低い——そこで気泡が発生し、圧力の高い吐出し側で急激に潰れるのです。
| キャビテーションが起きやすい条件 | 対策 | |
| 吸込み揚程 | 高い(水面より上に設置) | ポンプを水面近くに下げる |
| 水温 | 高い | — |
| 流量 | 大きすぎる | 運転点を設計値に近づける |
| 吸込み管 | 細い・長い・曲がりが多い | 太く短くする |
気泡が潰れる衝撃は非常に大きく、金属を削り取ります——壊食(エロージョン)。騒音や振動、性能低下も伴います。
本問の「損失水頭0.5 m」も、キャビテーションと無関係ではありません。吸込み側の損失が大きいほど圧力が下がり、危険が増す——だから吸込み管は太く短くするのが原則です。
ウォータハンマ——止めるときの危険
もうひとつ、ポンプ設備で注意すべきなのがウォータハンマ(水撃)です。急に弁を閉じたり停電でポンプが止まったりすると、管内の圧力が跳ね上がる——配管が破損することもあります。
原因は水の慣性。流れている水は急には止まれない——行き場を失った運動エネルギーが圧力に変わるのです。電気回路でリアクトルの電流を急に切ると高電圧が出るのと、まったく同じ理屈になります。
| 対策 | ねらい |
| 弁をゆっくり閉じる | 圧力変化を緩やかにする |
| はずみ車をポンプに付ける | ★停電後も惰性で回し、急停止を防ぐ |
| 空気室・サージタンクを設ける | 圧力変動を吸収する |
ここではずみ車が登場するのが面白いところです。停電しても慣性で回り続けるので、流れが急には止まらない——電動機応用の別の単元で学ぶ知識が、そのままつながってきます。
まとめ
| 総揚程H | 50.5m |
| Q | 100/60 m³/min |
| Pm=QH/(6.12ηpηm) | ≒20.2kW |
| 答え | (3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・排水ポンプの必要台数(平成30年度):【機械】平成30年度A問題10
・高架水槽への揚水ポンプ入力計算(令和4年下期):【機械】令和4年度下期A問題11

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