電気設備技術基準の解釈19【電験3種 法規】分散型電源の用語で正しいのは自立運転=(2) 令和5年度下期 A問題7 完全解説

電験3種 法規科目 電気設備技術基準の解釈 令和5年度下期 A問題7 単独運転と自立運転はどう違う?正しいのは?

今回は令和5年度下期 法規科目 A問題7分散型電源の系統連系設備に係る用語の定義(電気設備技術基準の解釈第220条)に関する問題です。単独運転・自立運転・逆充電・単独運転検出装置(能動的/受動的)の定義から、正しいものを選びます。

紛らわしい用語を正確に区別できるかが問われます。特に「単独運転」と「自立運転」「逆充電」と「逆潮流」「能動的方式」と「受動的方式」の3組を取り違えないことがカギです。

目次

令和5年度下期 法規科目 A問題7:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 令和5年度下期 A問題7 問題文
令和5年度下期 法規科目 A問題7 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和5年度下期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題7

電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 令和5年度下期 A問題7

 次の記述は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく分散型電源の系統連系設備に係る用語の定義に関するものである。正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)単独運転とは、分散型電源を連系している電力系統が事故等によって系統電源と切り離された状態において、当該分散型電源が発電を継続し、線路負荷に無効電力を供給している状態をいう。
(2)自立運転とは、分散型電源が、連系している電力系統から解列された状態において、当該分散型電源設置者の構内負荷にのみ電力を供給している状態をいう。
(3)逆充電とは、分散型電源設置者の構内から、一般送配電事業者が運用する電力系統側へ向かう有効電力の流れをいう。
(4)受動的方式の単独運転検出装置とは、分散型電源の有効電力出力又は無効電力出力等に平時から変動を与えておき、単独運転移行時に当該変動に起因して生じる周波数等の変化により、単独運転状態を検出する装置をいう。
(5)能動的方式の単独運転検出装置とは、単独運転移行時に生じる電圧位相又は周波数等の変化により、単独運転状態を検出する装置をいう。

答え正しいのは(2)自立運転 = (2)

答えは(2):自立運転だけが正しい定義

電気設備技術基準の解釈 第220条(分散型電源の系統連系設備に係る用語の定義)

「単独運転」=分散型電源を連系している電力系統が事故等によって系統電源と切り離された状態において、当該分散型電源が発電を継続し、線路負荷に有効電力を供給している状態/「自立運転」=分散型電源が、連系している電力系統から解列された状態において、当該分散型電源設置者の構内負荷にのみ電力を供給している状態/「逆充電」=分散型電源のみが電力系統を加圧し、かつ、当該電力系統へ有効電力を供給していない状態/「能動的方式」=平時から変動を与えておき、移行時の変化により検出/「受動的方式」=移行時に生じる電圧位相又は周波数等の変化により検出

★5つの選択肢のうち4つに、別々の型の誤りが仕込まれています。

220条の用語問題は4年度目——本問はその集大成のような設問です。

★4つの誤りを型で分類する

選択肢誤りの型正しくは
★(1)単独運転★★語の差し替え★★「無効電力」ではなく有効電力(電力)
★(3)逆充電★★ラベルのすり替え★★その説明は逆潮流の定義
★(4)受動的方式★★2語の入れ替え★★その説明は能動的方式
★(5)能動的方式★★2語の入れ替え★★その説明は受動的方式

「語を差し替える」「ラベルをすり替える」「2語を入れ替える」——定義問題の誤りは、この3型で作られます

(4)と(5)はきれいに入れ替えられています——片方に気づけば両方切れるのです。

★能動と受動を確実に見分ける

条文の言葉ダミー語違い
平時から変動を与えておき★★平時から変動を与えておき★移行時に生じる変化により★★前者が能動、後者が受動
アクティブ(自分から働きかける)★★アクティブ(自分から働きかける)★パッシブ(受け身で待つ)★★英語の意味そのまま

「平時から」という語が出たら能動——自分で揺さぶっているからです。

「移行時に生じる」だけなら受動——系統の変化を待っているのです。

この1語で判定できます——覚えるのは「平時から=能動」だけ

★逆充電と逆潮流の違い

用語定義系統の状態
★逆潮流★★構内から系統側へ向かう有効電力の流れ★★系統は生きている(平常時)
★逆充電★★分散型電源のみが系統を加圧し、有効電力を供給していない状態★★系統は停電している

逆潮流は平常時の「売電」——認められる現象です。

逆充電は停電時に線路を充電してしまう現象——認められない、危険な状態です。

「逆」が付くだけで似ていますが、正反対の位置づけです。

★単独運転・自立運転・逆充電の3語

用語系統との接続電力の行き先可否
★単独運転★★つながったまま★★線路負荷(系統側)★★不可
★逆充電★★つながったまま★★供給していない(加圧のみ)★★不可
★自立運転★★解列されている★★構内負荷にのみ★★可

「解列されているか」が可否の分かれ目です——切り離してから使えば安全

停電時にパワーコンディショナの自立運転コンセントが使えるのは、この仕組みです。

220条は4年度で問われている

年度問われ方正解番号
★平成23年度 問6★★逆潮流=無効電力が誤り★★(1)
★平成27年度 問9★★空欄補充(電力系統・有効電力・能動・受動)★★(3)
★令和元年度 問9★★単独運転と自立運転の取り違え★★(2)
★令和5年度下期 問7(本問)★★4つの誤りから正しいものを選ぶ★★(2)

4年度とも問い方が違います——用語を正確に覚えていれば、どの形でも解けます

平成27年度 A問題9令和元年度 A問題9も参照してください。

受動的方式の限界

$$P_{\text{発電}} = P_{\text{負荷}}$$
発電と負荷が均衡した状態
系統が切り離されても電圧・周波数がほとんど変化しない
$$\Delta f \approx 0 \Rightarrow \text{検出できない}$$
受動的方式の不感帯
変化がないので単独運転を見逃す

偶然、発電量と負荷が釣り合っていると検出できません——これが不感帯です。

だから能動的方式を組み合わせます——自ら揺さぶれば必ず変化が現れるのです。

229条の※6も「能動的方式を1方式以上含むこと」を求めます。

能動的方式の実際

方式与える変動
★周波数シフト方式★★周波数を上下にずらす信号を出す
★無効電力変動方式★★無効電力を周期的に変動させる
★有効電力変動方式★★有効電力を周期的に変動させる
★負荷変動方式★★瞬間的に負荷を投入する

系統につながっているうちは、変動は系統に吸収されます——大きな系統は動じません

切り離されると、変動がそのまま現れる——これが検出の原理です。

定義を覚える意味

226条〜229条の要件は、この用語で書かれています——定義が曖昧だと条文が読めません

だから220条が最初に置かれている——試験もその順で問うてきます

7つの用語を表で押さえれば、この分野は完成です。

220条の用語一覧

用語定義の核心
★解列★★電力系統から切り離すこと
★逆潮流★★構内から系統側へ向かう有効電力の流れ
★単独運転★★系統切離後、線路負荷に有効電力を供給している状態
★逆充電★★系統を加圧し、有効電力を供給していない状態
★自立運転★★解列後、構内負荷にのみ供給している状態
★転送遮断装置★★遮断信号を通信回線で伝送し別の構内の遮断器を動作

6つの用語をこの表で押さえれば、220条は完成です。

4年度分の出題を通じて、ほぼ全部が問われました——どこが空欄になっても答えられます

⏱️ 本番での進め方
① 単独運転は有効電力を供給——「無効電力」ではない。
② 逆充電の説明に「構内から系統側へ向かう有効電力の流れ」が出たら誤り(それは逆潮流)。
「平時から変動を与えておき」=能動的方式。
「移行時に生じる変化により」=受動的方式。

💡 覚え方
解釈220条=単独運転は系統切離後も線路負荷に有効電力を供給する状態、自立運転は解列された状態で構内負荷にのみ供給する状態、逆充電は系統を加圧し有効電力を供給していない状態、逆潮流は構内から系統側へ向かう有効電力の流れ。能動的方式=平時から変動を与える、受動的方式=移行時の変化を検出。

⚠️ よくある間違い
単独運転は「無効電力」ではなく電力(有効電力)を供給逆充電と逆潮流のラベルすり替えに注意。能動と受動を入れ替えた選択肢は必ず2つ組で出る。

まとめ

(1)単独運転「無効電力」が誤り(正しくは電力)
(2)自立運転解列後、構内負荷にのみ供給 → 正しい
(3)逆充電説明は逆潮流の定義 → 誤り
(4)受動的方式説明は能動的方式(変動を与える)→ 誤り
(5)能動的方式説明は受動的方式(移行時変化)→ 誤り
答え(2)

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