今回は令和5年度下期 法規科目 A問題9、ライティングダクト工事による低圧屋内配線の施設(電気設備技術基準の解釈第165条第3項)に関する問題です。5つの施設例のうち正しいものを選びます。
要点は「支持点間2m以下・造営材貫通不可・開口部は下向き・地絡遮断は150V以下かつ4m以下でのみ省略可」。数値と向きの条件を条文どおり押さえれば、消去法で正解にたどり着けます。
令和5年度下期 法規科目 A問題9:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和5年度下期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題9
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 令和5年度下期 A問題9
次の記述は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく、ライティングダクト工事による低圧屋内配線の施設に関するものである。正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)ダクトの支持点間の距離を2m以下で施設した。
(2)造営材を貫通してダクト相互を接続したため、貫通部の造営材には接触させず、ダクト相互及び電線相互は堅ろうに、かつ、電気的に完全に接続した。
(3)ダクトの開口部を上に向けたため、人が容易に触れるおそれのないようにし、ダクトの内部に塵埃が侵入し難いように施設した。
(4)5mのダクトを人が容易に触れるおそれがある場所に施設したため、ダクトにはD種接地工事を施し、電路に地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置は施設しなかった。
(5)ダクトを固定せず使用するため、ダクトは電気用品安全法に適合した附属品でキャブタイヤケーブルに接続して、終端部は堅ろうに閉そくした。

答えは(1):支持点間2m以下
平成23年度 A問題9は同一問題で、開口部・貫通・終端の理由と工事種別の比較を主軸にしています。
この記事は、横向きの条件と地絡遮断装置の省略条件を掘り下げます。
★開口部の向きは3段階
| 向き | 可否 | 条件 |
| ★下向き | ★★可(原則) | ★★条件なし |
| ★横向き | ★★条件付きで可 | ★★簡易接触防護措置+じんあいが侵入し難い施設 |
| ★上向き | ★★不可 | ★★どんな条件でも認められない |
設問(3)は上向きにしたうえで「触れないようにし、じんあいが入り難いように」と工夫しています。
その条件は横向きのためのもの——上向きには適用できません。
条文の条件を、別の場合に流用した引っかけです。
★簡易接触防護措置とは
| 措置 | 屋内 | 屋外 |
| ★簡易接触防護措置 | ★★1.8m以上 | ★★2m以上 |
| ★接触防護措置 | ★★2.3m以上 | ★★2.5m以上 |
「簡易」のほうが低い高さで済みます——要求される安全度が1段低いのです。
覆いや囲いを設ける方法でも構いません——高さは1つの手段です。
ライティングダクトは天井付近に付くので、1.8mは自然に満たされます。
★地絡遮断装置の省略条件
| 条件 | 地絡遮断装置 |
| ★対地電圧150V以下 かつ 長さ4m以下 | ★★省略できる |
| ★長さ4m超 | ★★省略できない |
| ★対地電圧150V超 | ★★省略できない |
設問(4)は5mのダクト——4mを超えるので省略できません。
D種接地は施していますが、それとこれとは別——2つの要件を混同させる作りです。
「かつ」という接続詞に注意——両方を満たさないと省略できません。
★なぜ長さ4mが境目なのか
ダクトが長いほど、漏電する箇所も、人が触れる機会も増えます。
短いダクトなら、危険にさらされる範囲が限られます——だから4m以下で省略を認めるのです。
D種接地の省略条件と同じ4m——1つの数字で両方を覚えられます。
ライティングダクトを固定して使う理由
設問(5)は「固定せず使用する」としています——これが誤りです。
ダクトは造営材に堅ろうに取り付けるもの——動かして使う設計ではありません。
動かせば接続部が緩み、充電部が露出します——移動して使うならキャブタイヤケーブルです。
使用できる電流と電圧
| 項目 | 一般的な仕様 |
| ★定格電圧 | ★★125V・250V |
| ★定格電流 | ★★15A・20A |
| ★導体 | ★★2線式(接地極付は3線式) |
照明用なので、大きな電流は流しません——1回路15A程度が一般的です。
電気用品安全法の適用を受ける製品を使うことが条文の要件——仕様は製品側で担保されます。
施設できる場所
| 場所 | 可否 |
| ★乾燥した展開した場所 | ★★可 |
| ★乾燥した点検できる隠蔽場所 | ★★可 |
| ★湿気の多い場所・水気のある場所 | ★★不可 |
| ★点検できない隠蔽場所 | ★★不可 |
開口部がある構造なので、乾燥した場所に限られます——屋外や浴室には使えません。
「乾燥した」という限定が2つの場所の両方にかかる——読み方に注意です。
同じ問題が繰り返し出ている
| 年度 | 問われ方 | 正解番号 |
| ★平成23年度 問9 | ★★5つの施設例から正しいものを選ぶ | ★★(1) |
| ★令和5年度下期 問9 | ★★同一の5選択肢 | ★★(1) |
12年を経て、選択肢まで同じ形で再出題されました——正解番号も同じです。
165条は確実に得点したい条文——要件は8つだけです。
正誤判定の順番
(1)の「2m以下」は条文そのまま——ここで即答できれば1問30秒です。
迷ったら(3)の上向きを見る——下向きが原則と知っていれば切れます。
条文の数値をそのまま書いた選択肢が正解——「正しいものを選べ」型の定石です。
ダクト工事の3種類を並べる
| 工事 | 用途 | 支持点間 |
| ★ライティングダクト | ★★照明器具を任意の位置に接続 | ★★2m以下 |
| ★金属ダクト | ★★多数の電線をまとめて収める | ★★3m以下(垂直・立入不可で6m以下) |
| ★バスダクト | ★★大電流を導体板で送る | ★★3m以下(同上6m以下) |
名前は似ていますが、用途も数値もまったく違います——2mはライティングダクトだけ。
金属ダクトの電線の占積率は断面積の20%以下——あわせて問われる数値です。
フロアダクトとセルラダクト
| 工事 | 内容 |
| ★フロアダクト工事 | ★★コンクリート床内に埋め込んだダクトに配線する |
| ★セルラダクト工事 | ★★デッキプレートの溝を配線路として使う |
| ★共通の要件 | ★★電線に絶縁電線(OW以外)を使う・D種接地 |
オフィスの床下配線に使われる工事です——机の位置に合わせて電源を取り出せます。
ライティングダクトが天井、フロアダクトが床——「任意の位置で取り出す」発想は同じです。
低圧屋内配線の工事を選ぶ手順
まず場所を確認します——展開/点検できる隠蔽/点検できない隠蔽、乾燥/湿気/水気。
次に使用電圧を確認します——300V以下か、300V超か。
この2つで使える工事が決まります——ケーブル・合成樹脂管・金属管は場所を選びません。
⏱️ 本番での進め方
① 支持点間2m以下——これが正しい記述。
② 開口部は下向きが原則、横向きは条件付き、上向きは不可。
③ 造営材を貫通しない——工夫しても不可。
④ 地絡遮断装置の省略は150V以下 かつ 4m以下の両方が必要。
💡 覚え方
解釈165条3項=ライティングダクトは①電気用品安全法の適用品 ②堅ろうかつ電気的に完全に接続 ③造営材に堅ろうに取り付ける ④支持点間2m以下 ⑤終端部は閉そく ⑥開口部は下向き(簡易接触防護措置+じんあいが侵入し難い場合は横向き可)⑦造営材を貫通しない ⑧D種接地・地絡遮断装置(いずれも対地電圧150V以下かつ長さ4m以下で省略可)。
⚠️ よくある間違い
開口部の上向きは条件を付けても不可——条件が付くのは横向き。地絡遮断装置の省略は150V以下「かつ」4m以下——5mでは省略できない。
まとめ
| (1)支持点間2m以下 | 条文どおり → 正しい |
| (2)造営材貫通 | 禁止 → 誤り |
| (3)開口部上向き | 下向きが原則 → 誤り |
| (4)5mで地絡遮断省略 | 150V以下かつ4m以下のみ → 誤り |
| (5)固定せず使用 | → 誤り(本問の正解は(1)) |
| 答え | (1) |
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