今回は平成23年度 法規科目 A問題9、ライティングダクト工事による低圧屋内配線の施設(電気設備技術基準の解釈第165条)に関する問題です。工事の要件から、正しいものを選びます。
覚える要点は「支持点間の距離2m以下」「開口部は下向き」「造営材を貫通しない」「終端部は閉そく」「原則D種接地(対地電圧150V以下かつ長さ4m以下は省略可)」。支持点間2mが正解のポイントです。
答えは(1):支持点間2m以下
店舗の天井に付いている、スポットライトを好きな位置に移せるレール——あれがライティングダクトです。
平成23年度 法規科目 A問題9:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成23年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題9
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成23年度 A問題9
次の記述は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく、ライティングダクト工事による低圧屋内配線の施設に関するものである。正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)ダクトの支持点間の距離を2m以下で施設した。
(2)造営材を貫通してダクト相互を接続したため、貫通部の造営材には接触させず、ダクト相互及び電線相互は堅ろうに、かつ、電気的に完全に接続した。
(3)ダクトの開口部を上に向けたため、人が容易に触れるおそれのないようにし、ダクトの内部に塵埃が侵入し難いように施設した。
(4)5mのダクトを人が容易に触れるおそれがある場所に施設したため、ダクトにはD種接地工事を施し、電路に地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置は施設しなかった。
(5)ダクトを固定せず使用するため、ダクトは電気用品安全法に適合した附属品でキャブタイヤケーブルに接続して、終端部は堅ろうに閉そくした。

★開口部を下に向ける理由
開口部はレールの溝で、内部に充電部があります——上を向いていれば、ほこりや水が入ります。
ほこりが積もれば、湿気を吸ってトラッキングを起こします——火災の原因です。
下向きなら、異物は落ちるだけ——設問(3)は上向きにしているので誤りです。
★造営材を貫通してはいけない理由
| 問題 | 内容 |
| ★点検できない | ★★貫通部の中の状態が見えない |
| ★火が伝わる | ★★壁の中で発火すれば発見が遅れる |
| ★損傷 | ★★貫通部で圧迫・摩耗を受ける |
ライティングダクトは造営材の表面に取り付けるものです——壁や天井を貫かせる設計になっていません。
設問(2)は「接触させず」と工夫していますが、貫通自体が禁止——だから誤りです。
★終端部を閉そくする理由
レールの端は、導体がむき出しになっています——そのままでは充電部に触れられます。
だから専用のエンドキャップで塞ぎます——これが「閉そく」です。
設問(5)は終端部を閉そくしているので正しいのですが、「固定せず使用する」が誤りです。
★D種接地の省略条件
| 条件 | D種接地 |
| ★対地電圧150V以下かつダクトの長さ4m以下 | ★★省略できる |
| ★対地電圧150V以下かつ簡易接触防護措置 | ★★省略できる場合がある |
| ★上記以外 | ★★D種接地が必要 |
設問(4)は5mのダクト——4mを超えるのでD種接地は必要(それは施している)。
誤りは、人が容易に触れるおそれがある場所なのに地絡遮断装置を省略した点です。
1つの選択肢に複数の要素が混ぜてある——すべてを確かめる必要があります。
支持点間2mという値
| 工事 | 支持点間距離 |
| ★ライティングダクト工事 | ★★2m以下 |
| ★金属ダクト工事 | ★★3m以下(垂直で取扱者以外立入不可なら6m以下) |
| ★バスダクト工事 | ★★3m以下(同上6m以下) |
| ★高圧屋側電線路のケーブル | ★★2m以下(垂直6m以下) |
ダクトの種類で値が違います——ライティングダクトは2m、金属・バスダクトは3m。
混同を狙った選択肢が作られる場所です。
ライティングダクトの構造
| 部位 | 内容 |
| ★本体 | ★★絶縁物の中に導体を組み込んだレール |
| ★プラグ | ★★任意の位置で導体に接触して電気を取り出す |
| ★フィードイン | ★★電源を引き込む部分 |
| ★エンドキャップ | ★★終端部を閉そくする |
好きな位置に照明を付け替えられるのが利点です——店舗のディスプレイ照明に多用されます。
その利便性のために、充電部が長く露出しやすい構造——だから条文の要件が細かいのです。
使えない場所
| 場所 | 可否 |
| ★乾燥した展開した場所 | ★★可 |
| ★乾燥した点検できる隠蔽場所 | ★★可 |
| ★湿気の多い場所・水気のある場所 | ★★不可 |
| ★点検できない隠蔽場所 | ★★不可 |
乾燥した場所に限られます——開口部から湿気が入る構造だからです。
屋外や浴室には使えません——工事の種類ごとに施設できる場所が決まっています。
「正しいものを選べ」の解き方
誤りを4つ見つけるより、正しい1つを見つけるほうが速い——条文の数値と完全に一致する記述を探します。
本問なら(1)の「2m以下」がそのまま条文——迷わず選べます。
逆に、条文にない工夫が書かれていたら疑う——(2)の「接触させず」がその例です。
トラッキング火災
ほこりと湿気が絶縁物の表面に付くと、微小な放電が繰り返されます。
やがて表面が炭化し、導電路ができて発火します——これがトラッキングです。
開口部を下に向ける条文は、これを防ぐためのもの——身近な火災原因への備えです。
低圧屋内配線の工事の種類
| 工事 | 施設できる場所 |
| ★ケーブル工事 | ★★すべての場所 |
| ★合成樹脂管工事 | ★★すべての場所 |
| ★金属管工事 | ★★すべての場所 |
| ★ライティングダクト工事 | ★★乾燥した展開した場所・点検できる隠蔽場所 |
| ★がいし引き工事 | ★★展開した場所・点検できる隠蔽場所 |
ケーブル・合成樹脂管・金属管の3つは場所を選びません——「万能3工事」と覚えると整理できます。
それ以外は場所が限られる——ライティングダクトもその1つです。
金属ダクト工事との違い
| ライティングダクト | 金属ダクト | |
| ★用途 | ★★照明器具を任意の位置に接続する | ★★多数の電線をまとめて収める |
| ★支持点間 | ★★2m以下 | ★★3m以下(垂直・取扱者以外立入不可で6m以下) |
| ★電線の占積率 | ★★— | ★★断面積の20%以下(制御回路のみは50%以下) |
名前は似ていますが、まったく別の工事です——数値も違います。
金属ダクトの占積率20%という数値も頻出——あわせて覚えておきます。
D種接地工事を省略できる場合(一般)
| 条件 | 省略の可否 |
| ★対地電圧150V以下で乾燥した場所 | ★★省略できる場合がある |
| ★水気のある場所 | ★★省略できない |
| ★0.5秒以内に自動遮断する漏電遮断器を施設 | ★★省略できる |
接地は「漏電したときに電流を大地へ逃がす」ための備えです——漏電遮断器があれば代替できる場面があるのです。
ライティングダクトでは「対地電圧150V以下かつ長さ4m以下」——条文ごとに条件が違うので注意します。
⏱️ 本番での進め方
① 支持点間は2m以下——金属ダクト・バスダクトの3mと混同しない。
② 開口部は下向き——上向きは誤り。
③ 造営材を貫通しない——工夫しても不可。
④ 造営材に堅ろうに取り付ける——固定せず使うのは不可。
💡 覚え方
解釈165条 ライティングダクト工事=①電気用品安全法の適用品 ②堅ろうかつ電気的に完全に接続 ③造営材に堅ろうに取り付ける ④支持点間2m以下 ⑤終端部は閉そく ⑥開口部は下に向ける ⑦造営材を貫通しない ⑧D種接地(対地電圧150V以下かつ長さ4m以下等は省略可)。乾燥した展開した場所・点検できる隠蔽場所に限る。
⚠️ よくある間違い
開口部は「上」ではなく下向き。造営材の貫通は工夫しても不可。固定せず使用するのは不可。支持点間は3mではなく2m。
まとめ
| (1)支持点間 | 2m以下→正しい |
| (2)造営材 | 貫通不可→誤り |
| (3)開口部 | 下向きが正→上向きは誤り |
| (4)地絡遮断 | 触れる場所150V超は必要→省略は誤り |
| (5)固定 | 固定して使用→固定せずは誤り |
| 答え | (1) |
▼あわせて解きたい関連問題
・ライティングダクト工事(電気設備技術基準の解釈20):【法規】令和5年度下期 A問題9
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