電気設備技術基準の解釈86【電験3種 法規】屋外移動電線は低圧さし込み・高圧ボルト締め・特別高圧不可=(5) 平成22年度 A問題4 完全解説

電験3種 法規科目 電気設備技術基準の解釈 平成22年度 A問題4 屋外の移動電線!特別高圧は施設できない

今回は平成22年度 法規科目 A問題4屋外に施設する移動電線の施設(電気設備技術基準の解釈第171条)に関する空欄補充問題です。使用電圧の区分ごとの接続方法と、施設できない区分が問われます。

骨格は「低圧の移動電線と屋外配線はさし込み接続器」「高圧の移動電線と機械器具はボルト締めで堅ろうに接続」「特別高圧の移動電線は屋外に施設しない」。電圧が上がるほど接続を確実にし、特別高圧は原則施設不可です。

目次

答えは(5):低圧・高圧・特別高圧

電気設備技術基準の解釈 第171条(移動電線の施設)

a 屋外に施設する低圧の移動電線と低圧の屋外配線との接続には、ちょう架用線にちょう架して施設する場合を除き、さし込み接続器を用いること。/b 屋外に施設する高圧の移動電線と電気使用機械器具とは、ボルト締めその他の方法により堅ろうに接続すること。/c 特別高圧の移動電線は、屋外に施設しないこと。

低圧=さし込み、高圧=ボルト締め、特別高圧=不可。3段構えです。

電圧が上がるほど接続を確実にし、最後は施設そのものを認めない——きれいな段階構造の条文です。

平成22年度 法規科目 A問題4:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 平成22年度 A問題4 問題文
平成22年度 法規科目 A問題4 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成22年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題4

電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成22年度 A問題4

 次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における屋外に施設する移動電線の施設についての記述の一部である。上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる語句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。

a.屋外に施設する(ア)の移動電線と(ア)の屋外配線との接続には、ちょう架用線にちょう架して施設する場合を除き、さし込み接続器を用いること。

b.屋外に施設する(イ)の移動電線と電気使用機械器具とは、ボルト締めその他の方法により堅ろうに接続すること。

c.(ウ)の移動電線は、屋外に施設しないこと。

(ア)(イ)(ウ)
(1)使用電圧が300V以下使用電圧が300V以下300Vを超える低圧
(2)使用電圧が300V以下300Vを超える低圧高圧
(3)300Vを超える低圧低圧高圧
(4)300Vを超える低圧低圧特別高圧
(5)低圧高圧特別高圧
答え(ア)低圧・(イ)高圧・(ウ)特別高圧 = (5)

★移動電線とは何か

条文の言葉ダミー語違い
移動電線★★移動電線★屋内配線・屋外配線★★動かして使う/固定して使う
キャブタイヤケーブル・コード★★キャブタイヤケーブル・コード★IV・VVF・CV★★可とう性が要る/固定用

移動電線は、電気を使う機械器具を動かしながら使う電線です——延長コードや、移動式機械への給電線

使うたびに曲げられ、引っ張られ、踏まれます——固定配線にはない過酷さです。

だから電線の種類も接続方法も別に定められています

★なぜ低圧はさし込み接続器なのか

移動電線は、使うときに接続し、使い終わったら外します——着脱が前提です。

さし込み接続器(プラグとコンセント)なら、工具なしで確実に着脱できます

電線を直接ねじ止めしていたら、着脱のたびに充電部を扱うことになります——そのほうが危険です。

★なぜ高圧はボルト締めなのか

低圧高圧
★接続方法★★さし込み接続器★★ボルト締めその他の方法により堅ろうに
★理由★★着脱が前提。接触抵抗も許容範囲★★抜けたら大事故。確実な機械的接続が必要

高圧が通電中に抜ければ、大きなアークが出ます——さし込み式では危険です。

そもそも高圧の移動電線を頻繁に着脱する場面は想定していない——だから堅ろうな接続を求めます

★特別高圧の移動電線が禁止される理由

特別高圧は、近づくだけで放電します——電線を動かして使うこと自体が危険です。

被覆が損傷すれば、周囲に致命的な影響が出ます——移動という使い方と両立しません

ただし電気集じん応用装置等、ごく限られた例外はあります——屋外への施設は認められません

移動電線に使える電線

電圧使用できる電線
★低圧(屋内)★★コード又はキャブタイヤケーブル
★低圧(屋外)★★1種を除くキャブタイヤケーブル
★高圧★★高圧用のキャブタイヤケーブル

キャブタイヤケーブルは、丈夫なゴムやビニルで覆われた可とう性のあるケーブルです。

屋外では1種(最も簡易なもの)は使えません——雨と機械的損傷に耐えられないからです。

ちょう架用線にちょう架する場合

ちょう架とは、支持用のワイヤに電線を吊り下げることです——電線に張力がかかりません

この場合は、移動電線というより架空配線に近い使い方——だからさし込み接続器の要件から外れます

括弧書きの除外にも、技術的な理由があります

移動電線の危険と対策

危険対策
★被覆の損傷★★キャブタイヤケーブルを使う・巻き取り装置
★引っ張りによる断線★★接続部に張力がかからないようにする
★水の浸入★★防水形の接続器を使う
★地絡★★地絡遮断装置を施設する(電技64条)

平成30年度 A問題4でも「高圧の移動電線には地絡遮断器」が問われていました。

移動電線は、複数の条文からまとめて守られています

屋内と屋外で規定が違う

屋内屋外
★低圧の移動電線★★コード又はキャブタイヤケーブル★★1種を除くキャブタイヤケーブル
★特別高圧の移動電線★★原則不可(例外あり)★★施設しない

屋外は雨・紫外線・機械的損傷にさらされます——だから条件が厳しくなるのです。

問題文が「屋外に施設する」と書いていることに注意——場所の限定が答えを左右します

選択肢の絞り方

(ウ)から攻めるのが速い——「屋外に施設しない」のは特別高圧だと即断できます

これで(4)と(5)に絞られます——あとは(ア)が「低圧」か「300V超の低圧」か

条文は電圧区分で書かれており、300Vという細分はしていません——だから(5)

キャブタイヤケーブルの種類

種類特徴屋外での使用
★1種★★最も簡易。天然ゴム系★★不可
★2種★★中間層あり★★可
★3種・4種★★丈夫で耐摩耗性が高い★★可
★ビニルキャブタイヤ★★安価だが低温で硬くなる★★用途による

数字が大きいほど丈夫——使用場所の過酷さで選びます

屋外で1種が使えないのは、被覆が薄く傷みやすいから——条文が種類を限定する理由です。

移動電線と屋内配線の使い分け

用途使う電線
★壁の中の固定配線★★VVFケーブル・IV電線+管
★機器へつなぐ動く電線★★コード・キャブタイヤケーブル
★屋外の移動用★★1種を除くキャブタイヤケーブル
★高圧の移動用★★高圧用キャブタイヤケーブル

固定配線に可とう性は要りませんが、移動電線には絶対に必要です。

逆に、移動電線を固定配線の代わりに使ってはいけません——用途が違うのです。

さし込み接続器の要件

項目内容
★電気用品安全法★★適用を受けるものを使用する
★屋外用★★防水形・防雨形のものを使う
★接地極★★接地が必要な機器には接地極付きを使う

屋外では雨がかかるので、防水形が前提です——一般のコンセントをそのまま屋外に出すのは不可

接地極付きの接続器なら、プラグを差すだけで接地も同時につながります

⏱️ 本番での進め方
① (ア)は低圧——「300V以下」等に限定されない。
② (イ)は高圧——ボルト締めで堅ろうに接続。
③ (ウ)は特別高圧——屋外には施設しない。
④ 覚え方は低圧=さし込み/高圧=ボルト締め/特別高圧=不可

💡 覚え方
解釈171条=①屋外の低圧の移動電線と低圧の屋外配線との接続は、ちょう架する場合を除きさし込み接続器を用いる ②屋外の高圧の移動電線と電気使用機械器具とは、ボルト締めその他の方法により堅ろうに接続する ③特別高圧の移動電線は屋外に施設しない。

⚠️ よくある間違い
(ア)は「使用電圧300V以下」ではなく低圧——条文は電圧区分で書かれている。(ウ)は「高圧」ではなく特別高圧——高圧の移動電線は屋外に施設できる。

まとめ

(ア)低圧の移動電線屋外配線とさし込み接続器
ちょう架の場合さし込み接続器を要しない
(イ)高圧の移動電線機械器具とボルト締めで堅ろうに
(ウ)特別高圧移動電線は屋外に施設しない
趣旨電圧が高いほど接続を確実に
答え(5)

▼あわせて解きたい関連問題
・配線器具の施設(電気設備技術基準の解釈41):【法規】令和2年度 A問題9
・避雷器の施設箇所(電気設備技術基準の解釈87):【法規】平成22年度 A問題5

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