今回は平成30年度 法規科目 A問題4、電気使用場所における異常時の保護対策を具体的な工事例で判定する問題です。省略できる場合/できない場合の切り分けが問われます。
押さえる数字と例外は3つ。①短絡事故により過電流が生じるおそれがなければ過電流遮断器を省略可 ②交通信号灯・出退表示灯など公共の安全に関わるものは省略できない ③屋内の電動機は出力0.2kW以下なら保護不要。
平成30年度 法規科目 A問題4:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成30年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題4
電験3種 法規科目 【電技省令】 平成30年度 A問題4
次の文章は、電気使用場所における異常時の保護対策の工事例である。その内容として、「電気設備技術基準」に基づき、不適切なものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1) 低圧の幹線から分岐して電気機械器具に至る低圧の電路において、適切な箇所に開閉器を施設したが、当該電路における短絡事故により過電流が生じるおそれがないので、過電流遮断器を施設しなかった。
(2) 出退表示灯の損傷が公共の安全の確保に支障を及ぼすおそれがある場合、その出退表示灯に電気を供給する電路に、過電流遮断器を施設しなかった。
(3) 屋内に施設する出力100Wの電動機に、過電流遮断器を施設しなかった。
(4) プール用水中照明灯に電気を供給する電路に、地絡が生じた場合に、感電又は火災のおそれがないよう、地絡遮断器を施設した。
(5) 高圧の移動電線に電気を供給する電路に、地絡が生じた場合に、感電又は火災のおそれがないよう、地絡遮断器を施設した。

答えは(2):出退表示灯は省略できない
設問(2)は、この第2項に真っ向から反しています——公共の安全に関わるものだからこそ省略できないのです。
★63条〜65条の全体像
| 条 | 内容 |
| ★第63条第1項 | ★★過電流遮断器の施設(原則)と省略できる場合 |
| ★第63条第2項 | ★★公共の安全に関わるものは省略不可 |
| ★第64条 | ★★地絡に対する保護(地絡遮断器等) |
| ★第65条 | ★★電動機の過負荷保護(0.2kW以下を除く) |
過電流・地絡・過負荷の3本立て——異常の種類ごとに条文が分かれています。
設問の5つの選択肢は、この3条から均等に作られています——どこの話かを見分けるのが第一歩です。
★0.2kWという境目
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 出力0.2kW以下を除く | ★★出力0.2kW以下を除く | ★出力0.2kW未満を除く | ★★「以下」——0.2kWちょうども除外 |
| 屋内に施設する電動機 | ★★屋内に施設する電動機 | ★すべての電動機 | ★★屋内が対象 |
設問(3)は出力100W=0.1kW——0.2kW以下なので保護装置は不要、適切です。
200Wが境目と覚えておけば即答できます——換気扇や小型ポンプがこの範囲です。
小さな電動機は、焼けても火災に至る熱量が小さい——だから規制の対象外にしています。
★過電流遮断器を省略できる場合
| 場合 | 理由 |
| ★短絡事故により過電流が生じるおそれがない | ★★守るべき異常が起きないから |
| ★電動機0.2kW以下 | ★★焼損しても危険が小さいから |
| ★取扱者以外が立ち入らない等の条件下 | ★★解釈で個別に定める |
設問(1)は「短絡のおそれがない」ので省略可、しかも開閉器は施設済み——適切な工事例です。
開閉器と過電流遮断器は別物——開閉器は切るための装置、過電流遮断器は自動で守る装置です。
★なぜ交通信号灯は省略できないのか
信号が消えれば、交差点で事故が起きます——電気設備の損傷が、電気以外の危険を生むのです。
出退表示灯も同じ——消防署や病院で出動状況を示す表示灯が消えれば、対応が遅れます。
だから「損傷により公共の安全の確保に支障を及ぼすおそれ」という一般的な要件で書かれています——列挙は例示にすぎません。
地絡遮断器が必要な場所(第64条)
| 対象 | 理由 |
| ★ロードヒーティング等の電熱装置 | ★★地中に埋設され、水にさらされる |
| ★プール用水中照明灯 | ★★水中で人が近づく |
| ★一般公衆が立ち入る場所の設備 | ★★不特定多数が触れうる |
| ★高圧・特別高圧の移動電線 | ★★動かすため損傷しやすい |
設問(4)(5)はどちらもこの列挙に入ります——条文どおりで適切です。
共通するのは「人が電気に近づく」または「損傷しやすい」という性質です。
過電流と地絡はどう違うのか
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 過電流 | ★★過電流 | ★地絡 | ★★前者は電路の中、後者は電路から大地へ |
| 過熱焼損から守る | ★★過熱焼損から守る | ★感電・火災から守る | ★★守る対象が違う |
| 過電流遮断器(ヒューズ・ブレーカ) | ★★過電流遮断器(ヒューズ・ブレーカ) | ★漏電遮断器 | ★★検出する量が違う |
過電流遮断器は「電線が燃える」ことを防ぎます——電流の大きさで動作します。
地絡遮断器は「人が感電する」ことを防ぎます——行きと帰りの電流の差で動作します。
両方そろって初めて安全——片方では守れない異常があります。
電動機の過負荷保護の方法
| 方法 | 内容 |
| ★サーマルリレー | ★★バイメタルの熱変形で検出する |
| ★電子式保護継電器 | ★★電流を演算して判定する |
| ★温度検出 | ★★巻線に埋め込んだサーミスタで直接測る |
電動機は始動時に定格の数倍の電流が流れます——単純な過電流検出では誤動作します。
だから時間の要素を入れた保護が必要——短時間の大電流は許し、継続する過電流だけ切るのです。
「屋内に施設する」という限定
第65条は屋内の電動機を対象にしています——屋外は別の考え方です。
屋内は可燃物が近く、人がいる時間も長い——火災になったときの被害が大きいからです。
条文の主語や場所の限定を読み飛ばさないこと——選択肢はそこを書き換えてきます。
移動電線が危険な理由
移動電線は、使うたびに動かされます——曲げ・引っ張り・踏みつけで被覆が傷みます。
固定配線と違って、傷んだことに気づきにくい——だから地絡保護を義務づけます。
まして高圧の移動電線なら、危険は桁違い——設問(5)が適切とされる根拠です。
地絡遮断器の定格感度電流
| 用途 | 定格感度電流 | 動作時間 |
| ★人体保護(高感度形) | ★★15mA・30mA | ★★0.1秒以内 |
| ★機器・火災保護(中感度形) | ★★100mA〜1A | ★★0.1〜2秒 |
| ★電気さく用 | ★★15mA以下 | ★★0.1秒以下 |
人体保護には30mA以下が使われます——心室細動を起こす電流に至る前に切るためです。
プール用水中照明灯のような場所では、さらに厳しい条件が課されます——水中では危険度が桁違いだからです。
省略できる条文の読み方
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| この限りでない | ★★この限りでない | ★施設しなくてもよい | ★★同じ意味だが条文は前者 |
| 〜しなければならない | ★★〜しなければならない | ★〜することができる | ★★義務か任意か |
| 〜のおそれがない場合 | ★★〜のおそれがない場合 | ★〜が起きない場合 | ★★可能性の有無で判断 |
「この限りでない」はただし書きの決まり文句です——直前の義務が外れる、という意味です。
本文とただし書きをセットで読む——法規科目でいちばん大切な読み方です。
過電流遮断器の遮断容量
遮断器は、短絡電流を安全に切れる能力が要ります——これが遮断容量(定格遮断電流)です。
受電点に近いほど短絡電流は大きくなります——電源のインピーダンスが小さいからです。
定格電流だけでなく遮断容量も選定条件——足りなければ遮断器そのものが破壊されます。
⏱️ 本番での進め方
① 公共の安全に関わるものは省略できない——交通信号灯・出退表示灯。
② 電動機は0.2kW以下なら保護不要——100Wは不要。
③ 短絡のおそれがなければ過電流遮断器は省略可(第63条第1項ただし書き)。
④ プール用水中照明灯・高圧の移動電線は地絡遮断器(第64条)。
💡 覚え方
電技63条=過電流遮断器の施設。1項は短絡のおそれがなければ省略可、2項は交通信号灯・出退表示灯など公共の安全に関わるものは省略不可。64条=ロードヒーティング・プール用水中照明灯・高圧の移動電線等は地絡遮断器。65条=屋内の電動機の過負荷保護、ただし出力0.2kW以下を除く。
⚠️ よくある間違い
公共の安全に関わるものは「省略できる」ではない——逆に必須。0.2kW「未満」ではなく「以下」。開閉器と過電流遮断器は別の装置。
まとめ
| (1) | 適切(短絡のおそれなしで省略可) |
| (2) | 不適切(出退表示灯は省略不可) |
| (3) | 適切(100W=0.1kW≦0.2kW) |
| (4) | 適切(プール用水中照明灯) |
| (5) | 適切(高圧の移動電線) |
| 答え | (2) |
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