今回は平成30年度 法規科目 A問題3、地中電線の2つの条文をまとめて問う空欄補充問題です。令和5年度下期 A問題5でそのまま再出題されました。
覚える形は4つ。接近し又は交さする場合、故障時のアーク放電で他の電線等を損傷させない。ただし感電・火災のおそれがなく他の電線等の管理者の承諾があれば例外。そして内部で作業が可能な地中電線路には防火措置。
答えは(2):接近・アーク放電・管理者の承諾・防火措置
(ア)は「接近」——「接触」してしまえば、それは既に事故です。
(イ)は「アーク放電」・(エ)は「防火措置」です。
(ウ)は「他の電線等の管理者の承諾を得た」——相手の設備に影響が及ぶ話だから、相手の同意が要るのです。
平成30年度 法規科目 A問題3:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成30年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題3
電験3種 法規科目 【電技省令】 平成30年度 A問題3
次の文章は、「電気設備技術基準」における(地中電線等による他の電線及び工作物への危険の防止)及び(地中電線路の保護)に関する記述である。
a 地中電線、屋側電線及びトンネル内電線その他の工作物に固定して施設する電線は、他の電線、弱電流電線等又は管(以下、「他の電線等」という。)と(ア)し、又は交さする場合には、故障時の(イ)により他の電線等を損傷するおそれがないように施設しなければならない。ただし、感電又は火災のおそれがない場合であって、(ウ)場合は、この限りでない。
b 地中電線路は、車両その他の重量物による圧力に耐え、かつ、当該地中電線路を埋設している旨の表示等により掘削工事からの影響を受けないように施設しなければならない。
c 地中電線路のうちその内部で作業が可能なものには、(エ)を講じなければならない。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 接触 短絡電流 取扱者以外の者が容易に触れることがない 防火措置 (2) 接近 アーク放電 他の電線等の管理者の承諾を得た 防火措置 (3) 接近 アーク放電 他の電線等の管理者の承諾を得た 感電防止措置 (4) 接触 短絡電流 他の電線等の管理者の承諾を得た 防火措置 (5) 接近 短絡電流 取扱者以外の者が容易に触れることがない 感電防止措置

★ただし書きの2つの条件
| 条件 | 内容 |
| ★① | ★★感電又は火災のおそれがないこと |
| ★② | ★★他の電線等の管理者の承諾を得たこと |
2つとも満たさなければ、例外は認められません——「かつ」でつながれています。
①は客観的な安全、②は当事者の合意です——性格の違う2つの条件が並んでいます。
相手の設備を損傷するかもしれない話なので、相手の同意が要るのは当然です。
★「取扱者以外の者が容易に触れることがない」はダミー
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 管理者の承諾を得た | ★★管理者の承諾を得た | ★取扱者以外の者が容易に触れることがない | ★★後者は充電部の防護に使う言い回し |
| 接近 | ★★接近 | ★接触 | ★★接触は既に事故 |
| アーク放電 | ★★アーク放電 | ★短絡電流 | ★★隣を焼くのはアーク |
「取扱者以外の者が容易に触れることがない」は、充電部の防護に使う決まり文句です。
本条は人が触れる話ではなく、設備どうしの話です——だから当てはまりません。
もっともらしい言い回しを別の場面から持ってくる——ダミーの作り方の定番です。
★埋設表示という規定
| 項目 | 内容 |
| ★表示するもの | ★★物件の名称・管理者名・電圧 |
| ★間隔 | ★★おおむね2m間隔 |
| ★目的 | ★★掘削工事でケーブルを傷つけない |
「許容電流」ではなく「電圧」を表示します——令和2年度A問題5で問われた論点です。
掘削する人に、そこに何があるかを知らせるのが目的です——だから名称・管理者・電圧の3つなのです。
掘削工事による事故
地中ケーブルの事故で最も多いのが、掘削による損傷です——ショベルカーが引っ掛けるのです。
高圧ケーブルを切れば、大きなアークが出て作業員が負傷します——停電も広範囲に及びます。
だから埋設表示と、事前の照会が重要になります——条文が「掘削工事からの影響を受けないように」と書く理由です。
重量物による圧力への対策
| 方式 | 土冠(土かぶり) |
| ★直接埋設式(車両圧力を受ける場所) | ★★1.2m以上 |
| ★直接埋設式(その他) | ★★0.6m以上 |
| ★管路式 | ★★管が圧力を受け止める |
車が通る場所では、深く埋める必要があります——1.2mと0.6mという2つの数字が問われます。
管路式なら、管が圧力を分散してくれます——だから土冠の規定が緩やかです。
洞道の防火措置
内部で作業が可能な地中電線路=洞道には防火措置が要ります——密閉空間で火災が起これば、作業者の命に関わるからです。
「感電防止措置」ではありません——地中でも守るのは火です。
難燃性ケーブル・延焼防止塗料・防火壁などが使われます。
共同溝という考え方
電力・通信・ガス・水道をまとめて収める地下構造物を共同溝といいます。
掘削の回数が減り、維持管理もしやすくなります——都市部で整備が進んでいます。
ただし各設備が近接するので、離隔や防火の規定が重要になります——本条が想定する場面そのものです。
地中電線路の3方式
| 方式 | 特徴 | 復旧 |
| ★管路式 | ★★管を埋設し後からケーブルを通す | ★★引き替えが容易 |
| ★暗きょ式 | ★★洞道など人が入れる | ★★点検・補修が容易 |
| ★直接埋設式 | ★★ケーブルを直接土中に埋める | ★★掘り返しが必要 |
防火措置が要るのは暗きょ式のうち内部で作業が可能なもの——人が入れるかどうかが分かれ目です。
費用は直接埋設式が安く、暗きょ式が高くなります——規模と重要度で使い分けます。
地中電線の事故は見つけにくい
| 架空 | 地中 | |
| ★事故の発見 | ★★目視できる | ★★測定で位置を探る |
| ★復旧時間 | ★★短い | ★★長い |
| ★事故率 | ★★高い | ★★低い |
地中は事故が少ないかわりに、起きると復旧に時間がかかります——掘り返さないと直せないからです。
だから事故を起こさない施設方法が、より重要になります——本条が細かく定めている理由です。
承諾を得るという実務
他人の設備に近づけて施設するときは、その管理者と協議します——書面で承諾を得るのが通例です。
相手が通信会社なら通信会社、ガス会社ならガス会社です——共同溝では複数の事業者が関わります。
条文の「承諾」は、こうした実務を前提にしています。
地中電線路は都市部でふえ続けています——無電柱化が進むほど、この条文の重要性も増します。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)は「接近」——接触は既に事故で、規定の想定外。
② (イ)は「アーク放電」。短絡電流は電流そのものの名前。
③ (ウ)は「管理者の承諾」——相手の設備の話だから相手の同意。
④ (エ)は「防火措置」。感電防止措置ではない。
出題履歴——そのまま再出題された
| 年度 | 問われ方 | 正解番号 |
| ★平成18年度 問3 | ★★同条文(3空欄) | ★★(5) |
| ★平成30年度 問3 | ★★本問(4空欄) | ★★(2) |
| ★令和5年度下期 問5 | ★★本問と同一 | ★★(2) |
平成18年度 A問題3では、アーク放電と防火措置の仕組みを中心に解説しています。本記事はただし書きと埋設表示に寄せました。
18年間に3回出題されている超頻出条文です——確実に押さえておきましょう。
💡 覚え方
電技30条=地中電線等が他の電線等と接近・交さする場合、故障時のアーク放電で損傷させない。ただし感電・火災のおそれがなく、他の電線等の管理者の承諾を得た場合は除く。電技47条=地中電線路は重量物の圧力に耐え・埋設表示、内部で作業が可能なものは防火措置。
⚠️ よくある間違い
「接触」ではなく接近。「短絡電流」ではなくアーク放電。ただし書きは「管理者の承諾」——「取扱者以外の者が容易に触れることがない」は充電部防護の言い回し。
まとめ
| (ア) | 接近 |
| (イ) | アーク放電 |
| (ウ) | 他の電線等の管理者の承諾を得た |
| (エ) | 防火措置 |
| 再出題 | 令和5年度下期 A問題5と同一 |
| 答え | (2) |
▼あわせて解きたい関連問題
・同一問題(電技省令11):【法規】令和5年度下期 A問題5
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