今回は令和5年度上期 法規科目 A問題3、過電流からの保護対策の空欄補充問題です。短い条文なので、丸ごと暗唱できるようにしておきたい1問です。
条文は一文だけ。「電路の必要な箇所には、過電流による過熱焼損から電線及び電気機械器具を保護し、かつ、火災の発生を防止できるよう、過電流遮断器を施設しなければならない」。設備を守る(過熱焼損)+人と建物を守る(火災)の二段構えです。
令和5年度上期 法規科目 A問題3:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題3
電験3種 法規科目 【電技省令】 令和5年度上期 A問題3
「電気設備技術基準」では、過電流からの電線及び電気機械器具の保護対策について、次のように規定している。
(ア)の必要な箇所には、過電流による(イ)から電線及び電気機械器具を保護し、かつ、(ウ)の発生を防止できるよう、過電流遮断器を施設しなければならない。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (1) 幹線 過熱焼損 感電事故 (2) 配線 温度上昇 感電事故 (3) 電路 電磁力 変形 (4) 配線 温度上昇 火災 (5) 電路 過熱焼損 火災

答えは(5):電路・過熱焼損・火災
(ア)は「電路」——電技で一貫して使われる、いちばん広い語です。
(イ)は「過熱焼損」——「温度上昇」は途中段階であって、防ぐべき被害の名前ではありません。
(ウ)は「火災」——感電を防ぐのは絶縁・接地・漏電遮断器の役割です。
★過電流はなぜ危険なのか
発熱量は電流の2乗に比例
★発熱は4倍になる
★発熱は9倍になる
電流が少し増えただけで、発熱は急激に増えます——2乗で効いてくるからです。
その熱で絶縁物が劣化し、やがて焼損します——これが「過熱焼損」です。
さらに進めば火災に至ります——だから条文は2つを並べて書いているのです。
★過電流と地絡の役割分担
| 過電流 | 地絡 | |
| ★何が起きるか | ★★熱が出る | ★★人が感電する |
| ★守るもの | ★★電線・機器・建物 | ★★人 |
| ★保護装置 | ★★過電流遮断器 | ★★漏電遮断器(地絡遮断装置) |
| ★根拠 | ★★電技14条 | ★★電技15条 |
過電流→熱→火災/地絡→感電——この対比で整理しておくと、他の条文でも迷いません。
だから(ウ)に「感電事故」は入りません——それは第15条の守備範囲です。
なぜ「電路」なのか
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 電路 | ★★電路 | ★幹線・配線 | ★★電技で一貫して使われる広い語 |
| 過熱焼損 | ★★過熱焼損 | ★温度上昇 | ★★防ぐべき被害の名前 |
| 火災 | ★★火災 | ★感電事故 | ★★感電を防ぐのは地絡保護の役割 |
「幹線」「配線」は電気使用場所の内部を指す限定的な語です。
過電流遮断器は、電路のどこにでも必要になりえます——だから最も広い語が使われているのです。
過電流には2種類ある
| 種類 | 原因 | 電流の大きさ |
| ★過負荷電流 | ★★機器を使いすぎた | ★★定格の数倍まで |
| ★短絡電流 | ★★電線どうしが接触した | ★★定格の数十〜数百倍 |
どちらも過電流ですが、大きさも時間も違います——だから遮断器には動作特性が必要になります。
過負荷ならゆっくり、短絡なら瞬時に切る——これが反限時特性の考え方です。
過電流遮断器の種類
| 機器 | 使われる場所 |
| ★配線用遮断器(MCCB) | ★★低圧の分電盤・幹線 |
| ★ヒューズ | ★★低圧・高圧(PF・S形など) |
| ★遮断器+過電流継電器 | ★★高圧受電設備(CB形) |
電圧と規模によって、使う機器が変わります——役割はどれも同じ「過電流で切る」です。
解釈第33条・34条に、動作特性の具体的な数値があります——30A以下なら1.25倍で60分、2倍で2分などです。
「必要な箇所」とはどこか
条文は「電路の必要な箇所」としか書いていません——どこに置くかは解釈が示します。
低圧幹線なら、その分岐点から3m以内が原則です——解釈第148条の規定です。
省令が原則、解釈が具体——この関係が一貫しています。
設備を守るのか、人を守るのか
この条文が守るのは、まず電線と電気機械器具です——設備の保護が第一の目的です。
そのうえで、火災の発生を防止すると書かれています——結果として人と建物も守られるのです。
順番が「設備→火災」になっているのは、因果の順だからです——設備が焼ければ火災になるという流れです。
過電流遮断器の動作特性
| 定格電流 | 1.25倍 | 2倍 |
| ★30A以下 | ★★60分以内に動作 | ★★2分以内に動作 |
| ★30A超50A以下 | ★★60分以内 | ★★4分以内 |
| ★50A超100A以下 | ★★120分以内 | ★★6分以内 |
電流が大きいほど、速く切る必要があります——発熱が2乗で効いてくるからです。
1倍では動作しないことも条件です——定格で使っているのに切れては困るからです。
解釈第33条の数値で、法規の計算問題にも出てきます。
低圧幹線の過電流遮断器
| 条件 | 省略できるか |
| ★分岐点から3m以内 | ★★原則の位置 |
| ★許容電流が幹線の55%以上 | ★★距離の制限なし |
| ★許容電流が35%以上・8m以内 | ★★8mまで延ばせる |
解釈第148条の規定です——3m・8m・55%・35%の数字が問われます。
太い電線なら、多少長くても燃えにくい——だから距離を延ばせるという理屈です。
遮断容量という考え方
過電流遮断器は、切れる電流の大きさにも限界があります——これが遮断容量です。
短絡電流が遮断容量を超えると、遮断器自体が壊れます——切るどころか爆発することもあるのです。
だから短絡電流を計算して、直近上位の遮断容量を選びます——施設管理の計算問題で頻出です。
過電流遮断器は、電気設備でもっとも身近な保護装置です——家庭の分電盤にも必ず入っています。
ブレーカーが落ちるのは、この条文が働いている瞬間です。
地絡保護は第15条
電技第15条は、地絡に対する保護対策を定めています——感電・火災・電線の損傷を防ぐため地絡遮断装置を施設します。
第14条と第15条は対になっています——過電流と地絡、2つの異常に備えるのです。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)は「電路」——幹線・配線は限定的な語。
② (イ)は「過熱焼損」。温度上昇は途中段階。
③ (ウ)は「火災」——感電は地絡保護(第15条)の話。
④ 過電流→熱→火災/地絡→感電で整理する。
出題履歴——短い条文は丸暗記
| 年度 | 問われ方 |
| ★平成19年度 問7 | ★★異常時の保護対策 |
| ★平成30年度 問4 | ★★異常時の保護対策 |
| ★令和5年度上期 問3 | ★★過電流からの保護(本問) |
条文が一文だけなので、丸ごと暗唱するのが最も確実です——3空欄すべてがこの一文にあります。
令和7年度下期 A問題3の接地と合わせて、電技の保安原則をまとめて押さえましょう。
💡 覚え方
電技14条=電路の必要な箇所には、過電流による過熱焼損から電線及び電気機械器具を保護し、かつ火災の発生を防止できるよう過電流遮断器を施設。過電流→熱→火災/地絡→感電で役割を整理。
⚠️ よくある間違い
「幹線」「配線」ではなく電路。「温度上昇」「電磁力」ではなく過熱焼損。過電流遮断器の目的に感電事故は入らない。
まとめ
| (ア) | 電路 |
| (イ) | 過熱焼損 |
| (ウ) | 火災 |
| 根拠 | 電技 第14条 |
| 対比 | 地絡→感電は別の保護(漏電遮断器) |
| 答え | (5) |
▼あわせて解きたい関連問題
・異常時の保護対策(電技省令29):【法規】平成30年度 A問題4
・異常時の保護対策(電技省令47):【法規】平成19年度 A問題7

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