今回は令和7年度下期 法規科目 A問題3、電気設備の保安原則のうち接地を扱う空欄補充問題です。電技(電気設備に関する技術基準を定める省令)の中でも土台となる条文です。
覚える形は2文。異常時の電位上昇や高電圧の侵入等による感電・火災を防ぐため接地その他の措置を講じる(第10条)。そして接地を施すときは電流が安全かつ確実に大地に通ずるようにする(第11条)。
令和7年度下期 法規科目 A問題3:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題3
電験3種 法規科目 【電技省令】 令和7年度下期 A問題3
次の文章は、「電気設備技術基準」における、電気設備の保安原則に関する記述の一部である。
a) 電気設備の必要な箇所には、異常時の(ア)、高電圧の侵入等による感電、火災その他人体に危害を及ぼし、又は物件への損傷を与えるおそれがないよう、(イ)その他の適切な措置を講じなければならない。ただし、電路に係る部分にあっては、この基準の別の規定に定めるところによりこれを行わなければならない。
b) 電気設備に(イ)を施す場合は、電流が安全かつ確実に(ウ)ことができるようにしなければならない。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (1) 電位上昇 絶縁 遮断される (2) 過熱 接地 大地に通ずる (3) 過電流 絶縁 遮断される (4) 電位上昇 接地 大地に通ずる (5) 過電流 接地 大地に通ずる

答えは(4):電位上昇・接地・大地に通ずる
(ア)は「電位上昇」——本来0Vのはずの外箱の電位が上がるのが危険の正体です。
(イ)は「接地」——電路に係る部分は別規定(第5条の絶縁)という但し書き付きです。
(ウ)は「大地に通ずる」——接地の目的は電流を大地へ逃がすことです。
★接地はなぜ感電を防ぐのか
| 接地なし | 接地あり | |
| ★漏電したとき | ★★外箱の電位が上がる | ★★電流が大地へ逃げ、電位が上がらない |
| ★人が触れると | ★★人体を通って電流が流れる | ★★電位差が小さく、流れる電流も小さい |
感電は、電位差があるから起こります——外箱と大地の電位が同じなら、触れても電流は流れません。
だから接地は「電位を上げない措置」なのです——電流を逃がすのは、電位を上げないための手段です。
この理解があれば、(ア)に「過電流」「過熱」を選ぶことはありません。
★「電路に係る部分は別規定」の意味
| 部分 | 守り方 | 根拠 |
| ★電路(電気の通り道) | ★★絶縁する | ★★電技5条 |
| ★外箱・鉄台など | ★★接地する | ★★電技10条 |
電路は絶縁、電路以外は接地——役割分担がはっきりしています。
第10条の但し書きは、この分担を明示するために置かれています——条文どうしの関係を示す一文です。
「絶縁」を(イ)に選んでしまうと、この但し書きと矛盾します。
接地工事の種類
| 種類 | 対象 | 接地抵抗値 |
| ★A種 | ★★高圧・特別高圧の機器の外箱 | ★★10Ω以下 |
| ★B種 | ★★変圧器の低圧側中性点 | ★★150/300/600÷I₁ |
| ★C種 | ★★300V超の低圧機器の外箱 | ★★10Ω以下 |
| ★D種 | ★★300V以下の低圧機器の外箱 | ★★100Ω以下 |
電圧が高いほど、要求される接地抵抗は小さくなります——電位上昇を抑えるには、抵抗が小さいほうがよいからです。
C種・D種は、漏電遮断器を0.5秒以内に動作させれば500Ωに緩和されます。
B種接地だけが目的が違う
A種・C種・D種は、機器の外箱の電位上昇を防ぐためです——触れた人を守るのが狙いです。
B種は、変圧器の混触時に低圧側の電位が上がるのを防ぐためです——電路そのものを守るのです。
だからB種だけ、接地抵抗値が地絡電流から計算されます——目的が違うから、決め方も違うのです。
「大地に通ずる」という表現
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 電位上昇 | ★★電位上昇 | ★過電流・過熱 | ★★接地が防ぐのは電位の上昇 |
| 接地 | ★★接地 | ★絶縁 | ★★電路の絶縁は別規定 |
| 大地に通ずる | ★★大地に通ずる | ★遮断される | ★★遮断は別の保護手段 |
「遮断される」を選ぶと、接地と遮断器を混同していることになります。
遮断は過電流遮断器や漏電遮断器の役割です——接地は電流を逃がす、遮断は電流を止める——真逆の動作です。
接地と漏電遮断器の関係
| 接地 | 漏電遮断器 | |
| ★役割 | ★★電位上昇を抑える | ★★漏電を検出して電路を切る |
| ★働くタイミング | ★★常に | ★★漏電を検出したとき |
2つは補い合う関係です——接地で電位を抑え、漏電遮断器で電路を切るのです。
だから接地抵抗値の緩和が、漏電遮断器の設置と結びついています——片方が強ければ、もう片方を緩められるのです。
保安原則という章
| 条 | 内容 |
| ★第5条 | ★★電路の絶縁 |
| ★第10条 | ★★電気設備の接地 |
| ★第11条 | ★★電気設備の接地の方法 |
| ★第14条 | ★★過電流からの保護対策 |
| ★第15条 | ★★地絡に対する保護対策 |
電技の第1章「総則」には、保安原則がまとまって置かれています——ここが法規の出題の中心です。
絶縁・接地・過電流・地絡——4つの柱を押さえておきましょう。
接地抵抗が小さいほどよい理由
地絡電流×接地抵抗
★電位上昇が小さくなる
★
外箱の電位は、地絡電流と接地抵抗の積で決まります——だから抵抗を小さくすれば電位も下がります。
A種が10Ω以下と厳しいのは、扱う電圧が高く地絡電流も大きいからです。
接地極の施設方法
| 方法 | 内容 |
| ★接地棒 | ★★銅覆鋼棒を地中に打ち込む |
| ★接地板 | ★★銅板を埋設する |
| ★建物の鉄骨 | ★★条件を満たせば接地極として使える |
大地との接触面積が大きいほど、接地抵抗は下がります——だから複数本を並べて打つこともあります。
土壌の抵抗率にも左右されます——岩盤では抵抗値を下げにくいのです。
等電位ボンディングという考え方
近年は、触れられる金属をすべて接続して同じ電位にするという考え方が広がっています。
電位が同じなら、電位差がないので感電しません——接地と同じ発想を、さらに徹底したものです。
解釈第218条の国際規格の取り入れにも関係します——接地の考え方も進化しているのです。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)は「電位上昇」——接地が防ぐのは電位の上昇。
② (イ)は「接地」。電路の絶縁は第5条の別規定。
③ (ウ)は「大地に通ずる」——遮断は別の保護手段。
④ 絶縁と接地の役割分担を押さえれば、迷わない。
出題履歴——保安原則は毎年出る
| 年度 | 問われ方 |
| ★令和5年度下期 問3 | ★★電路の絶縁(第5条) |
| ★令和6年度下期 問3 | ★★電路の絶縁(同一問題) |
| ★令和7年度下期 問3 | ★★接地(第10条・11条・本問) |
令和5年度下期 A問題3は電路の絶縁を扱っています。絶縁と接地を並べて読むと、保安原則の全体像がつかめます。
3年続けて電技の保安原則から出題されています——最優先で固めるべき分野です。
💡 覚え方
電技10条=異常時の電位上昇・高電圧の侵入等による感電・火災等を防ぐため接地その他の措置(電路に係る部分は別規定)。電技11条=接地は電流が安全かつ確実に大地に通ずるようにする。電路は絶縁、電路以外は接地という役割分担。
⚠️ よくある間違い
「過電流」「過熱」ではなく電位上昇。接地の目的は「遮断」ではなく大地に通ずること。電路の絶縁は別条(第5条)。
まとめ
| (ア) | 電位上昇(異常時の) |
| (イ) | 接地 |
| (ウ) | 大地に通ずる |
| 根拠 | 電技 第10条・第11条 |
| 答え | (4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・保安原則(電技省令5):【法規】令和6年度下期 A問題3
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