今回は令和7年度下期 法規科目 A問題5、低圧電線路の絶縁性能の空欄補充+計算問題です。条文の数字を1つ覚えれば、あとは割り算だけで解けます。
電技第22条は「漏えい電流が最大供給電流の2 000分の1を超えないように」と定めています。あとは最大供給電流=定格容量÷電圧を求めて2 000で割るだけ。単相2線式なので線間電圧105Vをそのまま使います。
令和7年度下期 法規科目 A問題5:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題5
電験3種 法規科目 【電技省令】 令和7年度下期 A問題5
「電気設備技術基準」では、低圧電線路の絶縁性能として、「低圧電線路中絶縁部分の電線と大地との間及び電線の線心相互間の絶縁抵抗は、使用電圧に対する漏えい電流が最大供給電流の(ア)を超えないようにしなければならない。」と規定している。
今、定格容量75kV·A、一次電圧6 600V、二次電圧105Vの単相変圧器に接続された単相2線式105V 1回線の低圧架空配電線路について、上記規定に基づく、この配電線路の電線1線当たりの漏えい電流[A]の許容最大値を求めることとする。
上記の記述中の空白箇所(ア)に当てはまる語句と漏えい電流[A]の許容最大値との組合せとして、最も適切なのは次のうちどれか。
(ア) 漏えい電流[A]の許容最大値 (1) 1 000分の1 0.714 (2) 1 000分の1 1.429 (3) 1 500分の1 0.476 (4) 2 000分の1 0.357 (5) 2 000分の1 0.179

答えは(4):2 000分の1・0.357A
(ア)は「2 000分の1」——条文の数字を1つ覚えれば、あとは割り算だけです。
この記事では「最大供給電流とは何か」と、22条と58条の違いに踏み込みます。
計算の手順そのものは、平成19年度の記事で扱っています。
★「最大供給電流」とは何か
| 意味 | |
| ★最大供給電流 | ★★その電線路が供給しうる最大の電流 |
| ★決まるもの | ★★変圧器の定格容量と二次電圧 |
| ★使用電流との違い | ★★そのとき流れている電流ではない |
設備能力の上限であって、実際の負荷ではありません——だから負荷が軽くても基準は変わらないのです。
「使用電流」だと、負荷が軽いときに基準が厳しくなりすぎます——規定として機能しなくなるのです。
設備の大きさに応じた許容量、という考え方です。
★22条と58条は対象が違う
| 第22条 | 第58条 | |
| ★対象 | ★★低圧電線路(供給側) | ★★低圧の電路(電気使用場所) |
| ★判定 | ★★漏えい電流が最大供給電流の1/2 000以下 | ★★絶縁抵抗0.1/0.2/0.4MΩ以上 |
| ★測るもの | ★★電流 | ★★抵抗 |
同じ「低圧の絶縁」でも、条文が2つあります——電線路は供給側、電路は使用場所側です。
判定の方法もまったく違います——電流で見るか、抵抗で見るかです。
問題文に「電気の供給のための」とあれば22条——この一句が見分けの目印になります。
★なぜ電線路は電流で規定するのか
電線路は長く、こう長によって絶縁抵抗が変わります——長いほど漏れる箇所が増えるからです。
絶縁抵抗値で一律に決めると、長い線路では守れません——だから電流の割合で決めているのです。
いっぽう需要家の電路は短いので、抵抗値で決められます——対象の性質に合わせた決め方です。
一次電圧6 600Vは撹乱情報
| 与えられた値 | 使うか |
| ★定格容量75kV・A | ★★使う |
| ★二次電圧105V | ★★使う |
| ★一次電圧6 600V | ★使わない |
問われているのは低圧側の漏えい電流です——一次電圧は計算に関係ありません。
与えられた数値をすべて使おうとすると、かえって迷います——何を求めるのかを先に確かめることです。
撹乱情報を入れるのは、計算問題の定番の作り方です。
同じ年度の上期には条文が出た
| 年度 | 形式 |
| ★令和7年度上期 問3 | ★★条文の空欄補充(使用電圧・最大供給電流・2 000) |
| ★令和7年度下期 問5 | ★★同じ条文の計算(本問) |
同じ年度に、条文と計算が続けて出題されました——いま最も注目されている条文だと言えます。
条文を覚えていれば、どちらの形式でも対応できます。
実務での絶縁管理
| 対象 | 管理方法 |
| ★配電線路 | ★★漏えい電流の測定・絶縁監視装置 |
| ★需要家の電路 | ★★年次点検での絶縁抵抗測定 |
配電線路は停電できないので、活線のまま監視します——クランプ式の漏れ電流計や絶縁監視装置です。
需要家側は年次点検で停電させ、メガーで測ります——条文の違いが、実務の違いにもつながっているのです。
分母を間違えたときの答え
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 2 000分の1 | ★★2 000分の1 | ★1 000分の1 | ★★0.714Aになり(1)に当たる |
| 2 000分の1 | ★★2 000分の1 | ★1 500分の1 | ★★0.476Aになり(3)に当たる |
| 最大供給電流 | ★★最大供給電流 | ★使用電流 | ★★設備能力の上限を基準にする |
誤った分母でも、選択肢のどれかに当たってしまいます——計算が合っても正解とは限らないのです。
条文の数字を正確に覚えているかが、そのまま問われています。
配電線路の絶縁管理
| 方法 | 特徴 |
| ★絶縁監視装置 | ★★常時監視し、悪化を早期に検知する |
| ★漏電警報 | ★★一定値を超えたら知らせる |
| ★定期巡視 | ★★目視でがいしの汚損などを確かめる |
配電線路は止められないので、活線のまま管理します——だから条文も電流で規定しているのです。
規定のしかたと、実務の手段が結びついています。
がいしの汚損と絶縁
海岸に近い地域では、塩分ががいしに付着します——湿ると表面を電流が流れやすくなるのです。
これが進むと、せん絡(フラッシオーバ)が起こります——塩害と呼ばれる現象です。
だから海岸地では、がいしの個数を増やしたり洗浄したりします——漏えい電流の管理は、こうした対策と一体です。
低圧電線路の絶縁が悪化すると
漏えい電流が増えると、まず電力損失として現れます——送った電気が大地へ逃げていくのです。
さらに進むと、地絡事故になって停電します——その前に見つけて手を打つのが管理の目的です。
2 000分の1という基準は、その手前で線を引いています。
三相の場合の最大供給電流
| 方式 | 式 | 例(150kV・A・210V) |
| ★単相2線式 | ★★P÷V | ★★714A |
| ★三相3線式 | ★★P÷(√3V) | ★★412A |
三相なら√3で割ります——ここを間違えると答えが1.73倍ずれます。
問題文の「単相2線式」「三相3線式」を必ず確認しましょう。
⏱️ 本番での進め方
① 条文の分母は2 000。1 000・1 500はダミー。
② 単相2線式は容量÷電圧——2や√3で割らない。
③ 一次電圧は使わない——撹乱情報を見抜く。
④ 22条は電線路、58条は電路——対象が違う。
出題履歴——18年ぶりの完全再出題
| 年度 | 問われ方 | 正解番号 |
| ★平成19年度 問4 | ★★同一問題 | ★★(4) |
| ★令和7年度上期 問3 | ★★条文のみ | ★★(1) |
| ★令和7年度下期 問5 | ★★本問 | ★★(4) |
平成19年度 A問題4が本問と同一問題です。数値も選択肢も正解番号も同じでした。
令和6年度上期 A問題8は58条の絶縁抵抗値です。2つの条文を並べて覚えましょう。
💡 覚え方
電技22条=低圧電線路の漏えい電流は最大供給電流の2 000分の1以下。最大供給電流=定格容量÷電圧(単相2線式はそのまま/三相3線式は√3V で割る)。★22条は電線路(供給側)、58条は電路(使用場所側)で対象が違う。
⚠️ よくある間違い
分母を1 000・1 500としない——2 000。単相2線式で2や√3で割らない。一次電圧6 600Vは撹乱情報で計算に使わない。
まとめ
| (ア) | 2 000分の1 |
| 最大供給電流 | 75 000/105≒714.3 A |
| 許容漏えい電流 | 714.3/2 000≒0.357 A |
| 根拠 | 電技 第22条 |
| 答え | (4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・低圧の電路の絶縁性能(電技省令9):【法規】令和6年度上期 A問題8
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