今回は平成19年度 法規科目 A問題4、低圧電線路の絶縁性能の空欄補充+計算問題です。18年後の令和7年度下期 A問題5で数値もそのまま再出題されました。
条文の数字は2 000分の1。あとは最大供給電流=定格容量÷電圧を求めて2 000で割るだけ。単相2線式なので線間電圧105Vをそのまま使い、√3や2で割らないのがポイントです。
平成19年度 法規科目 A問題4:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成19年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題4
電験3種 法規科目 【電技省令】 平成19年度 A問題4
「電気設備技術基準」では、低圧電線路の絶縁性能として、「低圧電線路中絶縁部分の電線と大地との間及び電線の線心相互間の絶縁抵抗は、使用電圧に対する漏えい電流が最大供給電流の(ア)を超えないようにしなければならない。」と規定している。
今、定格容量75kV·A、一次電圧6 600V、二次電圧105Vの単相変圧器に接続された単相2線式105V 1回線の低圧架空配電線路について、上記規定に基づく、この配電線路の電線1線当たりの漏えい電流[A]の許容最大値を求めることとする。
上記の記述中の空白箇所(ア)に当てはまる語句と漏えい電流[A]の許容最大値との組合せとして、最も適切なのは次のうちどれか。
(注)平成19年度は公式問題PDFが公表されていないため、条文と過去問データに基づいて問題文を再構成しています。
(ア) 漏えい電流[A]の許容最大値 (1) 1 000分の1 0.714 (2) 1 000分の1 1.429 (3) 1 500分の1 0.476 (4) 2 000分の1 0.357 (5) 2 000分の1 0.179

答えは(4):2 000分の1・0.357A
(ア)は「2 000分の1」——1 000分の1や1 500分の1ではありません。
あとは最大供給電流を求めて2 000で割るだけです。
単相2線式なので、√3や2で割らないのがポイントです。
★計算の全体
定格容量÷二次電圧
★
★
★答え
2ステップで終わります——割って割るだけです。
条文の数字を覚えていれば、30秒で解ける問題です。
★単相2線式で係数を掛けない理由
| 方式 | 最大供給電流の式 |
| ★単相2線式 | ★★I=P/V |
| ★単相3線式 | ★★I=P/(2V)(片側あたり) |
| ★三相3線式 | ★★I=P/(√3V) |
単相2線式では、2本の電線に同じ大きさの電流が流れます——行きと帰りなので、当然に同じです。
だから容量を電圧で割るだけで、線電流が求まります——2で割ったり√3で割ったりする必要はありません。
ここで余計な係数を掛けるのが、最大の誤答パターンです。
★分母を間違えると必ず選択肢に当たる
| 分母 | 計算結果 | 選択肢 |
| ★1 000 | ★★0.714A | ★(1)にある |
| ★1 500 | ★★0.476A | ★(3)にある |
| ★2 000 | ★★0.357A | ★★(4)=正解 |
誤った分母で計算しても、選択肢のどれかに当たってしまいます——巧妙な作りです。
だから「計算が合ったから正しい」とは限りません——条文の数字を正確に覚えているかが問われているのです。
2 000分の1と1mAは別物
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 2 000分の1 | ★★2 000分の1 | ★1mA以下 | ★★22条は電線路、解釈14条は屋内電路 |
| 最大供給電流 | ★★最大供給電流 | ★使用電流 | ★★設備能力の上限を基準にする |
| 使用電圧 | ★★使用電圧 | ★最大使用電圧 | ★★実運用の電圧で測る |
解釈第14条の「漏えい電流1mA以下」は、低圧屋内電路の話です——絶縁抵抗測定が困難な場合の代替判定でした。
本条は電気の供給のための低圧電線路——対象がまったく違います。
数字が近いので混同しやすいところです。
三相の場合はどうなるか
√3で割る
★
★
三相なら√3で割ります——ここを間違えると答えが1.73倍ずれます。
問題文に「単相2線式」「三相3線式」と明記されているので、必ず確認しましょう。
18年ぶりの再出題
令和7年度下期A問題5で、数値もそのまま再出題されました——正解も同じ(4)です。
しかも同じ年度の上期には、条文そのものが出題されています——いま最も注目されている条文だと言えます。
条文と計算の両方を押さえておけば、どちらの形式でも取れます。
なぜ2 000分の1という値なのか
漏えい電流が大きいと、感電や火災の危険が増します——また、送った電気が無駄に失われます。
設備能力に対して2 000分の1なら、実害はほとんどありません——0.05%という水準です。
絶対値ではなく割合で決めているのは、線路の規模が様々だから——長い線路ほど漏れる場所が増えるのです。
漏えい電流が大きいと何が困るのか
| 問題 | 内容 |
| ★感電 | ★★漏れた電流が人体を通る |
| ★火災 | ★★漏れた電流が発熱する |
| ★損失 | ★★送った電気が無駄になる |
安全と経済の両面から、漏えい電流は小さいほうがよいのです。
ただしゼロにはできません——絶縁物にもわずかな導電性があるからです。
だから「どこまでなら許すか」を条文が定めています。
絶縁抵抗に換算すると
電圧÷漏えい電流
★
★これ以上あればよい
漏えい電流の規定を、絶縁抵抗に読み替えることもできます——線路全体で294Ω以上という意味になります。
屋内電路の0.1MΩと比べると、桁違いに小さい値です——線路が長く、対象範囲が広いからです。
測定は活線のまま行える
漏えい電流はクランプ式の測定器で測れます——停電させずに確認できるのが利点です。
配電線路を止めるわけにはいかないので、これは重要です——だから電流で規定しているという面もあります。
規定のしかたと、測定の実務がつながっているのです。
⏱️ 本番での進め方
① 条文の分母は2 000。1 000・1 500はダミー。
② 単相2線式は容量÷電圧——2や√3で割らない。
③ 誤った分母でも選択肢に当たる——条文の数字が命。
④ 解釈14条の1mA(屋内電路)と混同しない。
出題履歴——条文と計算の両方が出る
| 年度 | 問われ方 |
| ★平成19年度 問4 | ★★条文+計算(本問) |
| ★令和7年度上期 問3 | ★★条文のみ |
| ★令和7年度下期 問5 | ★★本問と同一の計算 |
令和7年度上期 A問題3では、条文の3つの語(使用電圧・最大供給電流・2 000)が問われました。本問はその計算版です。
条文を覚えていれば、計算問題も自動的に解けます——これほど効率のよい暗記はありません。
💡 覚え方
電技22条=低圧電線路の漏えい電流は最大供給電流の2 000分の1以下。最大供給電流=定格容量÷電圧(単相2線式はそのまま/三相3線式は√3V で割る)。参考:解釈14条=絶縁抵抗測定が困難なら漏えい電流1mA以下。
⚠️ よくある間違い
分母を1 000・1 500としない——2 000。単相2線式で2や√3で割らない。「1mA以下」(解釈14条・低圧屋内電路)と混同しない。
まとめ
| (ア) | 2 000分の1 |
| 最大供給電流 | 75 000/105≒714.3 A |
| 許容漏えい電流 | 714.3/2 000≒0.357 A |
| 再出題 | 令和7年度下期 A問題5と同一 |
| 答え | (4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・同一問題(電技省令2):【法規】令和7年度下期 A問題5
・低圧電線路の絶縁性能(電技省令4):【法規】令和7年度上期 A問題3

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