今回は令和7年度下期 法規科目 A問題8、感電・火災等の防止に関する電技の条文を4か所つまみ食いした空欄補充問題です。それぞれ別の条文なので、まとめて整理しておきましょう。
ポイントは「何を防ぐか」が条文ごとに違うこと。架空電線は感電だけ、移動電線の接続不良は感電又は火災の両方。この使い分けが正解を分けます。
令和7年度下期 法規科目 A問題8:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題8
電験3種 法規科目 【電技省令】 令和7年度下期 A問題8
次の文章は、「電気設備技術基準」に基づく感電、火災等の防止に関する記述である。
a) 低圧又は高圧の架空電線には、(ア)のおそれがないよう、使用電圧に応じた絶縁性能を有する絶縁電線又はケーブルを使用しなければならない。ただし、通常予見される使用形態を考慮し、(ア)のおそれがない場合は、この限りでない。
b) 移動電線を電気機械器具と接続する場合は、接続不良による(イ)のおそれがないように施設しなければならない。
c) 燃料電池発電設備が(ウ)である場合には、運転状態を表示する装置を施設しなければならない。
d) 常用電源の停電時に使用する非常用予備電源(需要場所に施設するものに限る。)は、(エ)に施設する電路であって常用電源側のものと電気的に接続しないように施設しなければならない。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 感電 感電又は火災 一般用電気工作物 需要場所以外の場所 (2) 感電又は火災 感電又は火災 自家用電気工作物 需要場所 (3) 感電 火災 自家用電気工作物 需要場所以外の場所 (4) 感電又は火災 火災 自家用電気工作物 需要場所以外の場所 (5) 感電 火災 一般用電気工作物 需要場所

答えは(1):感電・感電又は火災・一般用電気工作物・需要場所以外の場所
(ア)は「感電」・(イ)は「感電又は火災」——この使い分けが正解を分けます。
(ウ)は「一般用電気工作物」・(エ)は「需要場所以外の場所」です。
★条文ごとに「防ぐもの」が違う
| 条文 | 防ぐもの | 理由 |
| ★架空電線の絶縁 | ★★感電のみ | ★★空中の電線に触れる危険が主眼 |
| ★移動電線の接続 | ★★感電又は火災 | ★★接触抵抗の増大で発熱する |
| ★配線の使用電線 | ★★感電又は火災 | ★★短絡・過熱の危険がある |
架空電線は空中にあるので、燃え移る物がありません——だから火災が挙げられていないのです。
接続部は発熱するので、火災も挙げられます——「接続不良=熱=火災も」と結びつけて覚えましょう。
条文が何を守ろうとしているかを考えれば、迷いません。
★燃料電池の運転状態表示
| 区分 | 表示装置 | 理由 |
| ★一般用電気工作物 | ★★必要 | ★★専門知識のない人が使う |
| ★自家用電気工作物 | ★★対象外 | ★★主任技術者がいる |
家庭用燃料電池(エネファーム等)が対象です——動いているかどうかが一目で分かる必要があるのです。
自家用なら主任技術者が監視しているので、この規定は要りません——誰が使うかで規制が変わるという考え方です。
ここでも「専門家がいるかどうか」が分かれ目になっています。
非常用予備電源の趣旨
逆送電(逆充電)で系統側の作業員が感電するのを防ぐ規定です。
停電作業中の配電線に自家発電の電気が逆流すれば、切ったはずの線が充電されています。
だから「需要場所以外の場所に施設する電路」=系統側と接続してはいけないのです。
4つの条文の位置づけ
| 記述 | 条文 | テーマ |
| ★a | ★★電技21条 | ★★架空電線の絶縁 |
| ★b | ★★電技57条 | ★★移動電線の接続 |
| ★c | ★★電技(燃料電池等) | ★★運転状態の表示 |
| ★d | ★★電技60条 | ★★非常用予備電源 |
4つとも「感電・火災等の防止」という章に属します——だから1問にまとめられるのです。
横断的な出題は、条文の位置づけを問うています——個別に覚えるだけでは対応しにくい形式です。
架空電線に絶縁電線が要る理由
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 感電 | ★★感電 | ★感電又は火災 | ★★架空電線は燃え移る物がない |
| 一般用電気工作物 | ★★一般用電気工作物 | ★自家用電気工作物 | ★★専門家がいない設備を守る |
| 需要場所以外の場所 | ★★需要場所以外の場所 | ★需要場所 | ★★系統側と接続しない |
低圧・高圧の架空電線は、絶縁電線かケーブルを使います——裸電線は原則として使えません。
ただし「通常予見される使用形態を考慮し感電のおそれがない場合」は例外です——高い場所で人が触れない場合などです。
特別高圧では、逆に裸電線が使われます——絶縁体が厚くなりすぎて実用的でないからです。
横断問題の解き方
4つの記述がそれぞれ別の条文なので、順に照合します。
1つでも確実に分かれば、選択肢が大きく絞れます——本問なら(ウ)の「一般用電気工作物」で2択になります。
全部を完璧に覚えていなくても解けるのが、組合せ問題の利点です。
燃料電池発電設備という新しい設備
| 内容 | |
| ★原理 | ★★水素と酸素を反応させて発電する |
| ★家庭用 | ★★エネファーム(出力1kW程度) |
| ★区分 | ★★10kW未満なら小規模発電設備 |
家庭に発電設備が置かれる時代になりました——だから一般用電気工作物の規定が必要になったのです。
運転状態の表示装置は、その象徴的な規定です。
横断的な出題への対策
| 対策 | 内容 |
| ★章立てで覚える | ★★電技の目次を眺めておく |
| ★守るものを意識 | ★★感電・火災・供給支障のどれか |
| ★1つで絞る | ★★確実な空欄から選択肢を減らす |
条文を1本ずつ覚えるだけでは、横断問題に対応しにくい——全体の地図を持っておくことが大切です。
電技は全78条ほどなので、目次を眺めるだけでも効果があります。
この形式は今後もふえる
近年、複数の条文をまたぐ出題がふえています——断片的な暗記では対応しにくい形式です。
逆に言えば、体系を理解していれば有利になります——丸暗記より理解が報われる傾向です。
条文どうしのつながりを意識して学びましょう。
電技の章立て
| 章 | 内容 |
| ★第1章 | ★★総則(保安原則・公害等の防止) |
| ★第2章 | ★★電気の供給のための電気設備の施設 |
| ★第3章 | ★★電気使用場所の施設 |
3章構成で、作る側・送る側・使う側に分かれています——この地図があると、条文の位置づけが分かります。
本問のa)は第2章、b)c)d)は第3章の条文です。
4条文をまたぐ問題ですが、1つずつは短い条文です——個別に押さえておけば、組み合わさっても解けます。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)(イ)は条文が何を防ぐかで決まる——架空電線は感電のみ。
② (ウ)は「一般用電気工作物」——専門家がいない設備が対象。
③ (エ)は「需要場所以外の場所」=系統側。
④ 1つ確実に分かれば選択肢が絞れる——全部を判断しない。
出題履歴——横断的な出題がふえている
| 年度 | 問われ方 |
| ★平成18年度 問5 | ★★配線の感電・火災の防止 |
| ★令和6年度下期 問8 | ★★移動電線の施設 |
| ★令和7年度下期 問8 | ★★4条文の横断(本問) |
平成18年度 A問題4では、非常用予備電源だけを掘り下げています。本問の(エ)がその条文です。
近年は複数の条文をまたぐ出題がふえています——条文どうしのつながりを意識して学びましょう。
💡 覚え方
架空電線の絶縁=感電のおそれを防ぐ/移動電線の接続不良=感電又は火災/燃料電池が一般用電気工作物なら運転状態の表示装置/非常用予備電源は需要場所以外の電路と電気的に接続しない。
⚠️ よくある間違い
架空電線に「火災」を加えない——感電のみ。燃料電池の表示装置は一般用電気工作物が対象。非常用予備電源は需要場所以外の場所の電路と接続しない。
まとめ
| (ア) | 感電 |
| (イ) | 感電又は火災 |
| (ウ) | 一般用電気工作物 |
| (エ) | 需要場所以外の場所 |
| (エ)の趣旨 | 逆送電による系統側の感電防止 |
| 答え | (1) |
▼あわせて解きたい関連問題
・移動電線の施設(電技省令7):【法規】令和6年度下期 A問題8
・非常用予備電源の施設(電技省令50):【法規】平成18年度 A問題4

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