今回は平成22年度 法規科目 A問題5、避雷器の施設(電気設備技術基準の解釈第37条)に関する問題です。避雷器を施設すべき所定の箇所に該当するものを選びます。
覚える4箇所は「①発変電所等の架空電線引込口・引出口(需要場所引込口を除く)②架空電線路に接続する配電用変圧器の高圧側・特別高圧側③高圧架空から受電500kW以上の需要場所引込口④特別高圧架空から受電する需要場所引込口」。いずれも架空電線が対象です。
答えは(3):特別高圧架空電線路から受電する需要場所の引込口
避雷器は雷から守る装置——雷が落ちるのは架空電線だからです。
平成22年度 法規科目 A問題5:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成22年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題5
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成22年度 A問題5
「電気設備技術基準の解釈」では、高圧及び特別高圧の電路中の所定の箇所又はこれに近接する箇所には避雷器を施設することとなっている。この所定の箇所に該当するのは次のうちどれか。
(1)発電所又は変電所の特別高圧地中電線引込口及び引出口
(2)高圧側が6kV高圧架空電線路に接続される配電用変圧器の高圧側
(3)特別高圧架空電線路から供給を受ける需要場所の引込口
(4)特別高圧地中電線路から供給を受ける需要場所の引込口
(5)高圧架空電線路から供給を受ける受電電力の容量が300kWの需要場所の引込口

★4箇所すべてが「架空」
| 号 | 箇所 | キーワード |
| ★一号 | ★★発変電所等の引込口・引出口 | ★★架空電線 |
| ★二号 | ★★配電用変圧器の高圧側・特別高圧側 | ★★架空電線路に接続する |
| ★三号 | ★★受電電力500kW以上の需要場所の引込口 | ★★高圧架空電線路 |
| ★四号 | ★★需要場所の引込口 | ★★特別高圧架空電線路 |
「架空」を外した選択肢は、すべて誤りです——設問(1)(4)は地中。
地中電線は雷の直撃を受けません——大地に覆われているからです。
この1点で2つの選択肢が消せます。
★高圧は500kW以上、特別高圧は制限なし
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 高圧架空から受電=500kW以上 | ★★高圧架空から受電=500kW以上 | ★特別高圧架空から受電=制限なし | ★★電圧が高いほど雷の影響が大きい |
| 小規模な高圧需要家は不要 | ★★小規模な高圧需要家は不要 | ★特別高圧需要家はすべて必要 | ★★規模と電圧で線を引く |
設問(5)は300kW——500kW以上に満たないので該当しません。
小規模な高圧需要家まで義務づけると、負担が大きすぎます——だから500kWで線を引くのです。
特別高圧は規模を問わず必要——雷サージの影響が甚大だからです。
★避雷器はどう働くのか
絶縁体として振る舞い、電流を流さない
急激に抵抗が下がり、サージ電流を大地へ逃がす
酸化亜鉛(ZnO)素子は、電圧で抵抗が急激に変わります——非直線抵抗特性です。
だから平常時は絶縁体、雷が来たときだけ導体になる——スイッチのように働くのです。
サージが去れば、また高抵抗に戻ります。
★避雷器の接地はA種
| 項目 | 基準 |
| ★接地工事 | ★★A種接地工事 |
| ★接地抵抗値 | ★★10Ω以下 |
| ★接地線 | ★★直径2.6mm以上の軟銅線 |
接地抵抗が高いと、避雷器が動作しても電位が上がります——逃がした電流が抵抗を流れるからです。
だからA種(10Ω以下)が要求される——できるだけ低い抵抗が望ましいのです。
避雷器の構造
| 方式 | 構造 |
| ★ギャップ付き(旧来形) | ★★直列ギャップ+炭化けい素(SiC)素子 |
| ★ギャップレス(現行主流) | ★★酸化亜鉛(ZnO)素子のみ |
ZnO素子は非直線性が強いので、ギャップが要りません——構造が簡単で信頼性が高いのです。
ギャップがないぶん、応答も速い——現在の主流です。
制限電圧と公称放電電流
| 用語 | 意味 |
| ★制限電圧 | ★★放電中に避雷器の端子に現れる電圧の波高値 |
| ★公称放電電流 | ★★避雷器が流せる標準的な放電電流(2.5kA・5kA・10kA等) |
| ★続流 | ★★放電後に系統から流れ続ける電流 |
制限電圧が低いほど、機器を守る性能が高い——絶縁協調の要です。
電力科目でも問われるテーマ——まとめて学ぶと効率的です。
絶縁協調という考え方
系統内の機器の絶縁強度を、避雷器の制限電圧より高く設計します——これが絶縁協調です。
避雷器が先に動作して電圧を抑えるので、機器は壊れません——「壊れる順番」を設計するのです。
だから避雷器は機器の近くに置く——「これに近接する箇所」という条文の意味です。
避雷器はアークを生じる器具
避雷器は放電するときにアークを生じます——だから解釈23条の対象にもなります。
木製の壁・天井その他の可燃性のものから高圧1m以上離す——又は耐火性のもので囲むのです。
令和7年度上期 A問題4がアークを生じる器具の施設を扱っています。
需要場所の避雷器
| 設備 | 避雷器の要否 |
| ★高圧架空受電・500kW以上 | ★★必要 |
| ★高圧架空受電・500kW未満 | ★★条文上は不要(実務では設置が推奨される) |
| ★特別高圧架空受電 | ★★必要 |
| ★地中引込み | ★★条文上は不要 |
条文の義務がなくても、実務では避雷器を設けることが多いです——雷害で高価な機器が壊れるからです。
法令は最低限——実務ではそれ以上を目指します。
雷サージの侵入経路
| 経路 | 内容 |
| ★直撃雷 | ★★架空電線や鉄塔に直接落雷する |
| ★誘導雷 | ★★近くへの落雷で電線に電圧が誘起される |
| ★逆フラッシオーバ | ★★鉄塔への落雷で鉄塔電位が上がり、がいしを逆に飛び越える |
いずれも架空電線に特有の現象です——地中電線は大地に覆われているからです。
だから避雷器の対象が「架空」に限られる——条文の理屈がここにあります。
架空地線の役割
架空地線は、送電線の最上部に張られた接地された電線です——雷を代わりに受けます。
遮へい角が小さいほど、直撃雷を防ぐ効果が高い——電力科目でも問われるテーマです。
避雷器は「入ってきたサージを逃がす」、架空地線は「そもそも当てない」——役割が違います。
高圧受電設備の雷害対策
| 対策 | 内容 |
| ★避雷器(LA) | ★★引込口に設け、サージを大地へ逃がす |
| ★A種接地 | ★★10Ω以下。できるだけ低くする |
| ★SPD(サージ防護デバイス) | ★★低圧側の機器を守る |
避雷器の接地抵抗が高いと、逃がした電流で電位が上がります——だからA種(10Ω以下)です。
受電設備の雷害は、被害額も復旧時間も大きい——条文の義務がなくても設置が推奨されます。
⏱️ 本番での進め方
① 4箇所すべてに「架空」が付く——地中は対象外。
② 高圧架空からの受電は500kW以上。
③ 特別高圧架空からの受電は規模を問わず必要。
④ 避雷器の接地はA種(10Ω以下)。
💡 覚え方
解釈37条 避雷器の施設=①発変電所等の架空電線引込口・引出口 ②架空電線路に接続する配電用変圧器の高圧側・特別高圧側 ③高圧架空電線路から受電する受電電力500kW以上の需要場所の引込口 ④特別高圧架空電線路から受電する需要場所の引込口。すべて「架空」が対象で、地中電線は含まれない。接地はA種。
⚠️ よくある間違い
地中電線の引込口・引出口は対象外——雷の直撃を受けないから。高圧架空からの受電は「300kW」では不足——500kW以上が要件。
まとめ
| (1)特別高圧地中引込引出口 | 地中は対象外→該当せず |
| (2)配電用変圧器高圧側(6kV) | 対象外→該当せず |
| (3)特別高圧架空受電の需要場所引込口 | 該当 |
| (4)特別高圧地中受電の需要場所 | 地中は対象外→該当せず |
| (5)高圧架空受電300kW | 500kW以上が要件→該当せず |
| 答え | (3) |
▼あわせて解きたい関連問題
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