今回は令和7年度上期 法規科目 A問題4、アークを生じる器具の施設(電気設備技術基準の解釈第23条)に関する空欄補充問題です。高圧・特別高圧の開閉器等が動作時に生じるアークによる火災を防ぐ離隔距離が問われます。
覚える数字は「高圧1m・特別高圧2m」。木製の壁・天井その他の可燃性のものから、この距離以上離すか耐火性のもので囲みます。特別高圧35000V以下でアークを制限した場合は1mに緩和されます。
令和7年度上期 法規科目 A問題4:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度上期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題4
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 令和7年度上期 A問題4
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における、アークを生じる器具の施設に関する記述である。上記の記述中の空白箇所(ア)〜(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における、アークを生じる器具の施設に関する記述である。高圧用又は特別高圧用の開閉器、遮断器又は避雷器その他これらに類する器具(開閉器等)であって、動作時にアークを生じるものは、次のいずれかにより施設すること。
a)耐火性のものでアークを生じる部分を囲むことにより、木製の壁又は天井その他の(ア)から隔離すること。
b)木製の壁又は天井その他の(ア)との離隔距離を、下表に規定する値以上とすること。(高圧:(イ)m/特別高圧35000V以下:(ウ)m(アークの方向及び長さを火災が発生するおそれがないように制限した場合は(イ)m)/特別高圧35000V超過:(ウ)m)
(ア) (イ) (ウ) (1) 可燃性のもの 0.5 1 (2) 造営物 0.5 1 (3) 可燃性のもの 1 2 (4) 造営物 1 2 (5) 造営物 2 3



答えは(3):可燃性のもの・1m・2m
この条文は火災を防ぐための規定です——だから相手は「造営物」ではなく「可燃性のもの」。
★アークとは何か
接点が開く瞬間、電流は空気中を飛んで流れ続けます——これがアーク放電です。
アークの温度は数千〜1万℃にも達します——触れた可燃物は一瞬で発火します。
電圧が高いほどアークは長く伸び、勢いも強くなります——だから離隔距離が電圧で変わるのです。
★2つの選択肢——囲むか、離すか
| 方法 | 内容 | 実例 |
| ★耐火性のもので囲む | ★★アークを生じる部分を閉じ込める | ★★金属閉鎖形スイッチギヤ(キュービクル) |
| ★離隔距離をとる | ★★可燃物から高圧1m・特高2m離す | ★★開放形の受電設備 |
条文は「次のいずれかにより」——どちらでもよいのです。
現代の受電設備はほとんどキュービクル形——金属箱に収めることで一号を満たしています。
★35 000V以下の緩和条件
| 区分 | 離隔距離 |
| ★高圧 | ★★1m以上 |
| ★特別高圧 35 000V以下(アーク制限あり) | ★★1m以上 |
| ★特別高圧 35 000V以下(制限なし) | ★★2m以上 |
| ★特別高圧 35 000V超過 | ★★2m以上 |
「アークの方向及び長さを制限した場合」に限って1mに戻ります——アークが可燃物のほうへ伸びないなら、離す必要が減るからです。
35 000Vという境目は、特別高圧のなかでも設計上よく使われる区切りです。
★なぜ「造営物」ではないのか
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 可燃性のもの | ★★可燃性のもの | ★造営物 | ★★火災防止が目的だから燃えるものが対象 |
| 木製の壁又は天井その他の | ★★木製の壁又は天井その他の | ★鉄筋コンクリートの壁 | ★★不燃なら離隔は不要 |
コンクリートの壁なら、隣接していても燃えません——この条文の対象外です。
条文が守ろうとしているものを考えれば、語は自然に決まります——丸暗記より理解が効く典型例です。
対象となる器具
| 器具 | アークを生じる場面 |
| ★開閉器(断路器・負荷開閉器) | ★★開路の瞬間に接点間で放電する |
| ★遮断器 | ★★事故電流を切るときに大きなアークが出る |
| ★避雷器 | ★★雷サージを大地へ逃がすとき放電する |
| ★高圧限流ヒューズ | ★★溶断時にアークが発生する |
いずれも「電流を切る/逃がす」ための器具です——アークは避けられない副産物なのです。
遮断器はアークをどう消すか
| 方式 | 消弧の原理 |
| ★真空遮断器(VCB) | ★★真空中では放電が持続できない |
| ★ガス遮断器(GCB) | ★★SF₆ガスの高い絶縁回復力で消す |
| ★空気遮断器(ABB) | ★★圧縮空気を吹き付けて吹き消す |
| ★油遮断器(OCB) | ★★油の分解ガスで冷却・消弧する |
高圧受電設備では真空遮断器が主流です——保守が容易で、消弧性能も高いからです。
電力科目・機械科目でも問われるテーマ——科目をまたいでつながります。
断路器を負荷電流で開いてはいけない理由
断路器には消弧装置がありません——電流が流れた状態で開けば、アークが消えません。
アークが持続すれば相間短絡に発展し、大事故になります——だから必ず無負荷で操作します。
「遮断器を開いてから断路器」という手順は、この理由から——施設管理の頻出テーマです。
キュービクルが標準になった理由
金属箱に収めれば、アークが外に出ません——条文の一号をそのまま満たします。
設置面積が小さく、充電部が露出しないので安全——離隔距離を稼ぐ必要もなくなります。
開放形の受電設備は、いまではほとんど見かけません——それでも条文は両方の道を残しています。
似た条文との区別
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 解釈23条=アークによる火災防止 | ★★解釈23条=アークによる火災防止 | ★解釈21条=高圧機械器具の施設 | ★★目的が違う |
| 可燃性のものからの離隔 | ★★可燃性のものからの離隔 | ★人からの離隔(さく・高さ) | ★★守る相手が違う |
21条は「人が触れないようにする」規定です——さくを設けるか高さを確保するか。
23条は「火をつけないようにする」規定——混同しやすいので、目的で切り分けます。
高圧機械器具の施設(解釈第21条)
| 方法 | 内容 |
| ★屋内で取扱者以外が立ち入らない場所 | ★★そのまま施設できる |
| ★さく・へい等を設ける | ★★さくの高さと充電部までの距離の和が5m以上 |
| ★高さで防ぐ | ★★充電部の地表上の高さを4.5m以上(市街地は4.5m、市街地外4m) |
| ★機械器具に絶縁物で覆う | ★★充電部が露出しない構造にする |
21条は人を守る規定、23条は火災を防ぐ規定——同じ機器に両方がかかります。
「さくの高さ+距離=5m以上」は頻出の数値——特別高圧では電圧に応じて大きくなります。
避雷器を施設すべき場所(解釈第37条)
| 場所 | 内容 |
| ★発電所・変電所等の架空電線の引込口・引出口 | ★★雷サージの侵入口だから |
| ★特別高圧架空電線路から供給を受ける需要場所の引込口 | ★★施設義務あり |
| ★高圧架空電線路から供給を受ける需要場所の引込口 | ★★受電電力500kW以上の場合 |
避雷器はアークを生じる器具なので、23条の対象にもなります——条文どうしがつながる好例です。
500kWという境目は、施設管理でもよく問われます。
⏱️ 本番での進め方
① 対象は可燃性のもの——「造営物」ではない。
② 高圧1m・特別高圧2m——0.5mや3mではない。
③ 35 000V以下+アーク制限で1mに緩和。
④ 耐火性のもので囲めば離隔は不要——「いずれか」。
💡 覚え方
解釈23条=高圧・特別高圧の開閉器・遮断器・避雷器等で動作時にアークを生じるものは、①耐火性のもので囲んで木製の壁・天井その他の可燃性のものから隔離するか、②離隔距離を高圧1m以上・特別高圧2m以上(35 000V以下でアークの方向・長さを制限した場合は1m以上)とする。
⚠️ よくある間違い
「造営物」ではなく可燃性のもの——火災防止が目的。高圧1m・特別高圧2m——0.5m/1mや2m/3mではない。35 000V以下の緩和はアークを制限した場合に限る。
まとめ
| (ア) | 木製の壁・天井その他の可燃性のもの |
| (イ)高圧 | 1m |
| (ウ)特別高圧 | 2m |
| 特高35000V以下(制限時) | 1m |
| 代替 | 耐火性のもので囲む |
| 答え | (3) |
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