今回は令和7年度下期 法規科目 A問題9、電気自動車等(V2H)から一般用電気工作物へ電気を供給する設備(電気設備技術基準の解釈第199条の2)に関する空欄補充問題です。近年のEV普及を反映した新しめのテーマです。
押さえる4点。①対地電圧は直流450V以下、②直流電路は非接地、③交流側に絶縁変圧器、④地絡時に自動遮断。感電・火災を防ぐための施設条件です。
令和7年度下期 法規科目 A問題9:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題9
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 令和7年度下期 A問題9
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく、電気自動車等から一般用電気工作物に電気を供給するための設備等の施設に関する記述である。上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく、電気自動車等から一般用電気工作物に電気を供給するための設備等の施設に関する記述である。電気自動車等から供給設備を介して一般用電気工作物に電気を供給する場合、電気自動車等と供給設備とを接続する電路(電気機械器具内の電路を除く。)の対地電圧は150V以下であること。ただし、次により施設する場合はこの限りでない。
a)対地電圧が、直流(ア)V以下であること。
b)供給設備が、低圧配線と直接接続して施設すること。
c)直流電路が、(イ)こと。
d)直流電路に接続する電力変換装置の交流側に(ウ)を施設すること。
e)電気自動車等と供給設備とを接続する電路に(エ)を生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設すること。
f)電気自動車等と供給設備とを接続する電路の電線が切断したときに電気の供給を自動的に遮断する装置を施設すること。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 750 非接地である 絶縁変圧器 短絡 (2) 450 非接地である 絶縁変圧器 地絡 (3) 300 接地されている 開閉器 地絡 (4) 450 非接地である 開閉器 短絡 (5) 300 接地されている 絶縁変圧器 短絡

答えは(2):450V・非接地である・絶縁変圧器・地絡
原則150V以下、条件を満たせば直流450V以下——この二段構えが条文の骨格です。
★V2Hとは何か
電気自動車の蓄電池から、家庭に電気を送る仕組みです——Vehicle to Home の頭文字。
EVの電池容量は数十kWh——家庭の数日分の電力に相当します。
停電時の非常用電源として注目されています——だから条文が新設されたのです。
★なぜ直流電路を非接地にするのか
| 方式 | 1線が地絡したとき |
| ★接地式 | ★★大きな地絡電流が流れる |
| ★非接地式 | ★★回路が閉じず、地絡電流はごくわずか |
非接地なら、1線が地絡しても電流の帰り道がありません——感電しても流れる電流が小さいのです。
直流450Vという高い電圧を許すかわりに、非接地を求める——条件がセットになっている理由です。
高圧配電線の非接地方式と同じ発想——電力科目とつながります。
★絶縁変圧器が果たす役割
絶縁変圧器は、1次側と2次側を電気的に切り離します——磁気だけでエネルギーを渡すのです。
これがないと、直流側を非接地にしても意味がありません——交流側の接地を通って回路が閉じてしまうからです。
「非接地+絶縁変圧器」はセットで初めて効く——c と d が並んでいる理由です。
★なぜ450Vなのか
| 電圧 | 位置づけ |
| ★150V以下 | ★★原則(住宅の対地電圧と同じ考え方) |
| ★450V以下(直流) | ★★条件を満たした場合の上限 |
| ★750V以下(直流) | ★★低圧の直流の上限 |
EVの蓄電池は、車種により300〜400V級が主流です——450Vはそれを収める実用的な上限。
低圧直流の上限750Vより低く抑えている——住宅に置く設備だからです。
選択肢の「750」「300」はここを狙ったダミーです。
2つの自動遮断装置
| 条件 | 検出するもの | 目的 |
| ★e | ★★地絡 | ★★感電・火災を防ぐ |
| ★f | ★★電線の切断 | ★★切れた電線の充電部が露出するのを防ぐ |
接続ケーブルは、車を動かすたびに抜き差しされます——踏まれる・引っ張られることも多いのです。
だから切断そのものを検出する装置が要求されます——固定配線にはない、V2H特有の条件です。
充電(G2V)と給電(V2H)
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| V2H=車から家へ | ★★V2H=車から家へ | ★G2V=系統から車へ | ★★電気の向きが逆 |
| 解釈199条の2 | ★★解釈199条の2 | ★解釈199条 | ★★条文も分かれている |
充電するだけなら、車は負荷にすぎません——普通の電気機械器具と同じ扱いです。
給電すると、車が電源になります——分散型電源としての規制がかかるのです。
向きが変わると規制も変わる——これが199条の2が別に置かれた理由です。
単独運転との関係
系統が停電しているときにV2Hが電気を送り出すと、配電線が生きたままになります。
復旧作業者が感電する危険がある——だから系統から切り離して使います。
「低圧配線と直接接続して施設する」という条件bも、この管理を確実にするためです。
EVの蓄電池の特徴
| 項目 | 内容 |
| ★種類 | ★★リチウムイオン電池が主流 |
| ★容量 | ★★40〜80kWh程度 |
| ★電圧 | ★★300〜400V級(直流) |
| ★注意点 | ★★熱暴走を防ぐため温度管理が必須 |
リチウムイオン電池は高効率で軽い反面、熱暴走のリスクがあります。
だから車両側にも保護回路(BMS)が組み込まれています——解釈は設備側の条件を定めているのです。
新しい条文は出題されやすい
電技・解釈に条文が追加されると、数年以内に出題される傾向があります。
電磁誘導(27条の2)は2011年追加→2015年出題、サイバーセキュリティは2018年追加→2022年出題。
V2Hもその流れに乗った出題——改正情報に目を通しておく価値があります。
「対地電圧」という言葉
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 対地電圧 | ★★対地電圧 | ★線間電圧 | ★★大地との間か、線どうしか |
| 非接地式では線間電圧 | ★★非接地式では線間電圧 | ★接地式では接地線と他の線の間 | ★★定義が方式で変わる |
単相3線式100/200Vなら、対地電圧は100V——中性線が接地されているからです。
だから住宅の原則150V以下という条件を満たします——対地電圧で書かれている理由です。
電圧の種別(電技第2条)
| 種別 | 交流 | 直流 |
| ★低圧 | ★★600V以下 | ★★750V以下 |
| ★高圧 | ★★600V超 7 000V以下 | ★★750V超 7 000V以下 |
| ★特別高圧 | ★★7 000V超 | ★★7 000V超 |
直流のほうが低圧の範囲が広い——交流のような波高値がなく、危険度が相対的に低いからです。
V2Hの450Vは直流低圧の範囲に収まります——電圧の種別を知っていれば位置づけがつかめます。
分散型電源の系統連系(解釈第220条以降)
| 要件 | 内容 |
| ★逆潮流の有無 | ★★系統へ電気を流すかどうかで条件が変わる |
| ★単独運転防止 | ★★系統停電時に自動的に解列する |
| ★保護装置 | ★★過電圧・不足電圧・周波数の継電器 |
太陽光・燃料電池・蓄電池・V2Hはいずれも分散型電源——系統連系の枠組みは共通です。
199条の2は設備側、220条以降は系統側の条件——役割分担で覚えると整理できます。
⏱️ 本番での進め方
① 直流の上限は450V——750Vや300Vではない。
② 直流電路は非接地——「接地されている」ではない。
③ 交流側には絶縁変圧器——「開閉器」ではない。
④ 自動遮断は地絡と電線の切断の2つ。
💡 覚え方
解釈199条の2=EV等から一般用電気工作物へ給電する電路の対地電圧は原則150V以下。例外は①直流450V以下 ②低圧配線と直接接続 ③直流電路は非接地 ④交流側に絶縁変圧器 ⑤地絡時に自動遮断 ⑥電線切断時に自動遮断。
⚠️ よくある間違い
(ア)は「750」「300」ではなく450。(イ)は「接地されている」ではなく非接地である。(ウ)は「開閉器」ではなく絶縁変圧器。(エ)は「短絡」ではなく地絡。
まとめ
| 原則 | 接続電路の対地電圧150V以下 |
| (ア)例外 | 直流450V以下 |
| (イ) | 直流電路は非接地 |
| (ウ) | 交流側に絶縁変圧器 |
| (エ) | 地絡時に自動遮断 |
| 答え | (2) |
▼あわせて解きたい関連問題
・IEC60364の取り入れ(電気設備技術基準の解釈3):【法規】令和7年度下期 A問題7
・電気設備の接地(電気設備技術基準の解釈1):【法規】令和7年度下期 A問題4

コメント