今回は令和7年度下期 法規科目 A問題4、電気設備の接地について不適切な記述を選ぶ問題です。「電気設備技術基準の解釈」の接地工事の種別・接地抵抗値・省略条件を横断的に問う頻出テーマです。
押さえるのは接地工事の種別。A種(高圧・特高)10Ω・接地線2.6mm以上、C種(300V超)10Ω、D種(300V以下)100Ω。C・Dは漏電遮断器(0.5秒以内)で500Ωまで緩和。省略には水気のある場所を除く条件があります。
令和7年度下期 法規科目 A問題4:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題4
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 令和7年度下期 A問題4
次の文章は、電気設備の接地に関する記述であるが、「電気設備技術基準の解釈」から判断して不適切なものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1) 使用電圧200Vの機械器具の鉄台に施す接地工事の接地抵抗値を90Ωとした。
(2) 使用電圧100Vの機械器具を屋内の乾燥した場所で使用するので、その機械器具の鉄台の接地工事を省略した。
(3) 使用電圧440Vの機械器具に電気を供給する電路に動作時間0.1秒の漏電遮断器が施設されているので、その機械器具の鉄台の接地工事の接地抵抗値を300Ωとした。
(4) 水気のある場所で使用する使用電圧100Vの機械器具に電気を供給する電路に動作時間0.1秒の漏電遮断器が施設されているので、その機械器具の鉄台の接地工事を省略した。
(5) 使用電圧3300Vの機械器具の鉄台に施す接地工事の接地線に、直径2.6mmの軟銅線を使用した。

答えは(4):水気のある場所では省略できない
漏電遮断器があれば必ず省略できる、というわけではありません——場所の条件が先に効きます。
★なぜ水気のある場所では省略できないのか
人体抵抗Rが小さいほど電流は大きくなる
10分の1以下に下がる
水に濡れると人体抵抗が大幅に下がります——同じ電圧でも流れる電流が桁違いに増えるのです。
15mAで切っても、間に合わないおそれがあります——だから接地を省略させないのです。
条文の限定には、必ず理由があります。
★接地工事の種別と抵抗値を一覧に
| 種類 | 対象 | 接地抵抗値 | 接地線 |
| ★A種 | ★★高圧・特別高圧用機械器具の外箱等 | ★★10Ω以下 | ★★直径2.6mm以上 |
| ★C種 | ★★300V超の低圧用機械器具の外箱 | ★★10Ω以下(0.5秒以内遮断で500Ω以下) | ★★直径1.6mm以上 |
| ★D種 | ★★300V以下の低圧用機械器具の外箱 | ★★100Ω以下(同500Ω以下) | ★★直径1.6mm以上 |
設問(1)は200V→D種→100Ω以下——90Ωは適合、適切です。
設問(3)は440V→C種→0.1秒の漏電遮断器があるので500Ω以下——300Ωは適合、適切です。
設問(5)は3 300V→A種→接地線2.6mm以上——適合、適切です。
★「0.5秒以内」と「15mA・0.1秒」を混同しない
| 場面 | 漏電遮断器の条件 | 効果 |
| ★C種・D種の抵抗値の緩和(17条) | ★★0.5秒以内に自動遮断 | ★★500Ω以下まで緩和 |
| ★接地工事の省略(29条) | ★★定格感度電流15mA以下・動作時間0.1秒以下 | ★★接地そのものを省略 |
「緩和」と「省略」で条件が違います——省略のほうが厳しいのです。
接地をなくすのだから、より確実な保護が要る——15mA・0.1秒という高感度・高速形です。
0.5秒と0.1秒を取り違えないことです。
★乾燥した場所での省略(設問(2))
| 条件 | 省略の可否 |
| ★交流対地電圧150V以下の機械器具を乾燥した場所に施設 | ★★D種を省略できる |
| ★2重絶縁の構造の機械器具 | ★★省略できる |
| ★絶縁変圧器(2次300V以下・3kV·A以下)+非接地 | ★★省略できる |
設問(2)は100Vを乾燥した場所で使用——対地電圧150V以下なので省略可、適切です。
乾燥していれば人体抵抗が高く、危険が小さい——ここでも「場所」が効いています。
接地の目的をもう一度
機器の外箱が漏電で充電されたとき、触れた人に電流が流れるのを防ぐのが接地です。
接地抵抗が低ければ、電流は大地へ逃げます——人体には流れにくくなるのです。
同時に地絡電流が流れ、保護装置が動作します——接地は2つの役割を果たしています。
B種接地だけは省略できない
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| A種・C種・D種 | ★★A種・C種・D種 | ★B種 | ★★条件を満たせば省略できる/省略できない |
| 機器の外箱を守る | ★★機器の外箱を守る | ★系統の電位を抑える | ★★代替手段があるかどうか |
B種は高低圧の混触という危険に備えるものです——他の手段では代替しにくいのです。
混触防止板を設ける方法はありますが、それも接地が要ります——B種の代わりに接地を「なくす」道はないのです。
水気のある場所とは
| 区分 | 意味 |
| ★水気のある場所 | ★★水を扱う場所、雨露にさらされる場所、常時水滴が飛散する場所等 |
| ★湿気の多い場所 | ★★水蒸気が充満する場所、湿度が著しく高い場所 |
| ★乾燥した場所 | ★★上記以外の場所 |
水気のある場所がいちばん厳しい区分です——浴室・厨房・洗車場など。
解釈の各所で「水気のある場所」が除外条件になります——まとめて意識しておくとよいのです。
接地抵抗の測定と管理
| 項目 | 内容 |
| ★測定方法 | ★★電位降下法(E-P-Cの3極法)が基本 |
| ★季節変動 | ★★乾燥期は上がり、雨期は下がる |
| ★管理 | ★★最も条件の悪い時期でも規定値以下になるよう設計する |
測定時にたまたま値が低くても、乾燥期には上がります——余裕を見て設計するのが実務です。
定期点検で継続的に確認します——主任技術者の仕事です。
水まわりの電気設備の特則
| 設備 | 特則 |
| ★水中照明灯(187条) | ★★絶縁変圧器・2次側非接地・金属管工事 |
| ★電気浴器(198条) | ★★電源装置の2次側10V以下 |
| ★プールサイドのコンセント | ★★地絡遮断装置を施設 |
水まわりでは、電圧を下げる・非接地にする・接地を省略させない——あらゆる手段で守ります。
29条の「水気のある場所以外」という限定も、その一環です。
⏱️ 本番での進め方
① 水気のある場所では漏電遮断器があっても省略できない。
② C種・D種の緩和は0.5秒以内で500Ω以下。
③ 省略の条件は15mA以下・0.1秒以下——緩和より厳しい。
④ A種の接地線は直径2.6mm以上、C種・D種は1.6mm以上。
💡 覚え方
解釈17条=A種10Ω以下(接地線2.6mm以上)、C種10Ω以下、D種100Ω以下(C種・D種は0.5秒以内に自動遮断する装置があれば500Ω以下)。解釈29条=低圧用機械器具の接地は、水気のある場所以外で漏電遮断器(15mA以下・0.1秒以下)を施設すれば省略できる。対地電圧150V以下を乾燥した場所に施設する場合も省略できる。
⚠️ よくある間違い
水気のある場所では、漏電遮断器があっても接地を省略できない——29条は「水気のある場所以外の場所」に限定している。緩和は0.5秒、省略は0.1秒——混同しない。
まとめ
| (1)200V | D種100Ω以下、90Ω→適切 |
| (2)乾燥した場所 | 低圧の省略可→適切 |
| (3)440V | C種、漏電遮断器で500Ω緩和、300Ω→適切 |
| (4)水気+漏電遮断器 | 省略不可→不適切 |
| (5)3300V | A種接地線2.6mm→適切 |
| 答え | (4) |
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