今回は平成18年度 法規科目 B問題13、第5調波電流の発生量と配電系統への流出量を求める問題です。実はこの問題、令和7年度上期 B問題12とまったく同一——約20年の時を経て再出題された定番中の定番です。
要点は「次数nでインピーダンスが変わる」こと。リアクトル・線路はn倍、コンデンサは1/n倍。第5次なら誘導性は5倍、容量性は1/5。発生電流を定電流源として%インピーダンスで分流します。
平成18年度 法規科目 B問題13:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成18年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題13
電験3種 法規科目 【電気施設管理】 平成18年度 B問題13
三相3線式配電線路から6600Vで受電している三相負荷設備(定格容量500kV·A、6%直列リアクトル付コンデンサ、第5調波は定格電流の15%)がある。配電線路側j6n[%]、コンデンサ設備j50(6n−100/n)[%](10MV·A基準)。次の(a)及び(b)に答えよ。
(注)平成18年度は公式問題PDFが公表されていないため、電験王等の過去問データに基づいて問題文を再構成しています。本問は令和7年度上期 B問題12と同一問題です。)
三相3線式配電線路から6600Vで受電している三相負荷設備がある。負荷設備は定格容量500kV·A、力率改善用として6%直列リアクトル付コンデンサ設備が設置されており、この負荷設備から発生する第5調波電流は負荷設備の定格電流に対し15%とする。受電点よりみた配電線路側の第n調波に対するインピーダンスは10MV·A基準でj6×n[%]、コンデンサ設備のインピーダンスは10MV·A基準でj50×(6×n−100/n)[%]で表される。発生高調波は定電流源とみなす。次の(a)及び(b)に答えよ。
(a) 高調波発生機器から発生する第5調波電流の受電点電圧に換算した電流[A]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)から一つ選べ。
(1)1.3 (2)6.6 (3)11.4 (4)32.8 (5)43.7 A
(b) 受電点から配電系統に流出する第5調波電流[A]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)から一つ選べ。
(1)1.2 (2)6.2 (3)10.8 (4)30.9 (5)41.2 A

答えは(a)6.6A・(b)6.2A
この問題は令和7年度上期B問題12に、約20年を経てそのまま再出題されました。
★★(a)定格電流の15%
三相なので√3で割る
(a)の答え
まず定格電流を求めます——S=√3VIの関係。
43.7Aは選択肢(5)に用意されています——15%を掛け忘れた場合の誤答。
「受電点電圧に換算した電流」なので、6 600V基準です。
★★次数でインピーダンスが変わる
| 素子 | 基本波 | 第n調波 | 第5調波 |
| ★リアクトル・線路(L) | ★★ωL | ★★nωL | ★★5倍 |
| ★コンデンサ(C) | ★★1/(ωC) | ★★1/(nωC) | ★★1/5 |
誘導性は次数に比例、容量性は反比例します——向きが逆。
だから高次になるほど、コンデンサは電流を通しやすくなる——高調波が流れ込むのです。
コンデンサが高調波で過熱する理由がここにあります。
★問題文の式を読む
★誘導性なのでnに比例
★6nがリアクトル、100/nがコンデンサ
コンデンサ設備の式は、リアクトルとコンデンサの直列です——6nと−100/n。
6%リアクトルなので、基本波(n=1)では6−100=−94——容量性が優勢です。
第5調波では6×5−100/5=30−20=10——誘導性に転じます。
★★6%リアクトルが共振を防ぐ仕組み
共振しない
第5調波より低い
共振点は約4.08次——第5調波より低いのです。
だから第5調波では誘導性になり、共振を避けられます——これが6%の根拠。
リアクトルがなければ共振点が5次付近に来て、高調波を拡大してしまいます。
★(b)%インピーダンスで分流する
大きいほうの側に少なく流れる
(b)の答え
並列回路の電流分配は、インピーダンスの逆比です——小さいほうに多く流れる。
線路側30%、コンデンサ側500%——線路側のほうが小さいので大半が流出します。
6.6Aのうち6.2Aが系統へ——抑制効果は限定的なのです。
★なぜ大半が流出してしまうのか
コンデンサ設備は6%リアクトルで誘導性になっています——高調波を吸わない。
リアクトルの目的は共振防止であって、高調波の吸収ではありません——役割が違うのです。
吸収したいなら専用のフィルタが要る——受動フィルタ・能動フィルタ。
%インピーダンスという表し方
基準容量を決めて表す
10MV·A基準というのは、その容量で正規化した値という意味です。
基準がそろっていれば、そのまま足したり比べたりできる——これが%表示の利点。
本問では分流比を求めるだけなので、基準は消えます。
高調波抑制対策ガイドライン
| 項目 | 内容 |
| ★対象 | ★★等価容量50kV·A超の高圧・特別高圧需要家 |
| ★上限 | ★★契約電力1kWあたりの流出電流の限度を規定 |
| ★対策 | ★★超えるならフィルタ等を設置する |
需要家が系統に流出させる高調波電流には上限があります——本問の6.2Aがその流出量です。
インバータ機器を増設するときは、この計算が必要——電気主任技術者の業務です。
計算の手順をまとめる
| 手順 | やること | 落とし穴 |
| ★① | ★★定格電流=S/(√3V) | ★★√3を忘れない |
| ★② | ★★×15%=発生する第5調波電流 | ★★掛け忘れない |
| ★③ | ★★n=5を代入して両側の%Zを求める | ★★Lはn倍、Cは1/n倍 |
| ★④ | ★★インピーダンスの逆比で分流させる | ★★★大きいほうを分子に |
④の分流の式で、どちらを分子にするか迷いやすい——「小さいほうに多く流れる」で確かめます。
本問は線路側30%<コンデンサ側500%なので、線路側に多く流れる——6.2Aです。
⏱️ 本番での進め方
① 第n調波では誘導性はn倍、容量性は1/n倍。
② 6%リアクトルは第5調波で誘導性にして共振を防ぐ。
③ 高調波電流は定電流源とみなす。
④ 分流はインピーダンスの逆比——小さいほうに多く流れる。
💡 覚え方
高調波電流の分流計算=①負荷の定格電流I=S/(√3V) ②×発生率=第n調波電流 ③第n調波に対して誘導性リアクタンスはn倍、容量性リアクタンスは1/n倍として両側の%Zを求める ④インピーダンスの逆比で分流させる。6%直列リアクトルは第5調波で誘導性となり共振を防ぐ(共振点は約4.08次)。
⚠️ よくある間違い
誘導性と容量性で次数の効き方が逆——Lはn倍、Cは1/n倍。分流はインピーダンスの逆比——小さいほうに多く流れる。
まとめ
| 定格電流 | 500e3/(√3×6600)≒43.7 A |
| (a)第5調波発生 | 0.15×43.7≒6.6 A →(2) |
| Z_S5(n=5) | j6×5=j30% |
| Z_C5(n=5) | j50(30−20)=j500% |
| (b)流出 | 6.6×500/530≒6.2 A →(2) |
| 同一問題 | R07上問12 |
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