今回は平成18年度 法規科目 B問題12、負荷を追加したときの合成力率と、変圧器を過負荷にしないためのコンデンサ容量を求める問題です。力率の異なる負荷の合成と、皮相電力の制限がポイントです。
核心は「力率が違う負荷は有効・無効を別々に合成」。合成皮相電力を求めて力率を出します。コンデンサ容量は変圧器容量以下に皮相電力を抑える条件から逆算します。
平成18年度 法規科目 B問題12:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成18年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題12
電験3種 法規科目 【電気施設管理】 平成18年度 B問題12
定格容量500kV·Aの三相変圧器に400kW(遅れ力率0.8)の負荷が接続されている。ここに新たに60kW(遅れ力率0.6)の負荷を追加する。次の(a)及び(b)に答えよ。
(注)平成18年度は公式問題PDFが公表されていないため、電験王等の過去問データに基づいて問題文を再構成しています。
(a) 負荷追加後の合成負荷の力率の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)から一つ選べ。
(1)0.65 (2)0.71 (3)0.73 (4)0.75 (5)0.77
(b) 変圧器を過負荷(定格500kV·A超過)にしないために設置する電力用コンデンサ容量[kvar]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)から一つ選べ。
(1)50 (2)100 (3)150 (4)200 (5)300 kvar

答えは(a)0.77・(b)200kvar
力率の異なる負荷の扱いは実務でも頻出です。
★★皮相電力は足せない
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 有効電力P・無効電力Q | ★★有効電力P・無効電力Q | ★皮相電力S | ★★同じ向きなので足せる/向きが違うので足せない |
| スカラー的に扱える | ★★スカラー的に扱える | ★ベクトル量 | ★★合成の方法が違う |
力率が違えば、電流の位相が違います——だから皮相電力は単純に足せない。
有効成分どうし、無効成分どうしなら足せます——向きが同じだから。
500/0.8+60/0.6=600kV·Aとするのは誤り——典型的な間違いです。
★★(a)有効・無効を別々に合成
tanθ=0.6/0.8
tanθ=0.8/0.6
力率0.8ならtanθ=0.75、力率0.6ならtanθ=1.333——3:4:5の三角形。
小さい負荷(60kW)でも力率が悪いと無効電力が大きい——80kvarです。
力率の悪い負荷が全体を引き下げるのがわかります。
★合成力率を求める
★変圧器定格500kV·Aを超えている
(a)の答え
596.7kV·Aは変圧器の定格500kV·Aを超えています——このままでは過負荷。
だから(b)でコンデンサが必要になる——問題が(a)(b)でつながっているのです。
力率も0.8から0.77に悪化しています。
★★(b)過負荷にしない条件から逆算
コンデンサで無効電力を減らす
直近上位は200kvar
有効電力460kWは変えられません——減らせるのは無効電力だけ。
184kvar以上なので、選択肢では200kvar——150kvarでは不足です。
ここでも「以上」なので切り上げになります。
★改善後の力率を確かめる
★500kV·A以内に収まる
494kV·Aなので、定格500kV·A以内に収まりました。
力率も0.77から0.93に改善——基本料金の割引も受けられます。
検算すると確信が持てます。
★★なぜコンデンサで過負荷が解消するのか
| 設置前 | 設置後 | |
| ★有効電力 | ★★460kW | ★★460kW(変わらず) |
| ★無効電力 | ★★380kvar | ★★180kvar |
| ★皮相電力 | ★★596.7kV·A | ★★494kV·A |
仕事の量(有効電力)は変えずに、変圧器を流れる電流を減らせるのです。
無効電力はコンデンサと負荷の間で往復するだけ——変圧器を通らなくなる。
だから変圧器の負担が減る——これが力率改善の本質です。
変圧器を増設するのとどちらが安いか
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 進相コンデンサ200kvar | ★★進相コンデンサ200kvar | ★変圧器を750kV·Aに更新 | ★★数十万円/数百万円 |
| 設置が容易 | ★★設置が容易 | ★工事が大がかり | ★★経済性が大きく違う |
コンデンサのほうが圧倒的に安いのです——だから力率改善が優先される。
ただし有効電力そのものが増えれば、変圧器の増設が必要です。
本問は無効電力が問題なので、コンデンサで解決できるのです。
計算の手順をまとめる
| 手順 | やること | 落とし穴 |
| ★① | ★★各負荷のQ=P tanθを求める | ★★tanθの向き |
| ★② | ★★PどうしQどうしを足す | ★★★皮相電力は足さない |
| ★③ | ★★S=√(ΣP²+ΣQ²) | ★★— |
| ★④ | ★★S≦定格容量の条件から逆算 | ★★切り上げ |
②が最大の急所——皮相電力を足すのは誤りです。
⏱️ 本番での進め方
① 力率が違う負荷は有効・無効を別々に合成する。
② 皮相電力は足せない——ベクトル量だから。
③ 合成力率=ΣP/√(ΣP²+ΣQ²)。
④ コンデンサ容量は過負荷にしない条件から逆算して切り上げ。
💡 覚え方
力率の異なる負荷の合成=①各負荷の無効電力Q=P tanθを求める ②有効電力どうし・無効電力どうしを足す(皮相電力は足せない)③合成皮相電力S=√(ΣP²+ΣQ²)、合成力率=ΣP/S ④変圧器を過負荷にしないコンデンサ容量は√(ΣP²+(ΣQ−Q_C)²)≦定格容量から逆算。
⚠️ よくある間違い
皮相電力を単純に足さない——有効・無効を別々に合成してから√で合成する。コンデンサ容量は切り上げ——184kvar以上なので200kvar。
まとめ
| 既存無効Q₁ | 400×0.6/0.8=300 kvar |
| 追加無効Q₂ | 60×0.8/0.6=80 kvar |
| 合成 | P=460kW、Q=380kvar |
| (a)合成力率 | 460/√(460²+380²)≒0.77 →(5) |
| 必要Qc | 380−√(500²−460²)≒184 kvar |
| (b) | 直近上位200 kvar →(4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・力率改善のベクトル図(電気施設管理-計算34):【法規】平成24年度 B問題12
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