今回は平成19年度 法規科目 B問題13、需要率から変圧器バンク容量を、年負荷率から年間総消費電力量を求める問題です。令和4年度上期 B問12(電気施設管理-計算16)と同系統の基本問題です。
流れは明快。最大需要=設備容量×需要率→皮相=最大需要/力率→直近上位の変圧器容量。年間消費電力量は平均需要(=最大×年負荷率)×24×365です。
平成19年度 法規科目 B問題13:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成19年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題13
電験3種 法規科目 【電気施設管理】 平成19年度 B問題13
負荷設備容量600kW(低圧のみ)、需要率60%、総合力率0.8、年負荷率55%の需要家がある。1年365日として、次の(a)及び(b)に答えよ。
(注)平成19年度は公式問題PDFが公表されていないため、電験王等の過去問データに基づいて問題文を再構成しています。
負荷設備容量600kW(低圧のみ)、需要率60%、総合力率0.8、年負荷率55%の需要家がある。1年を365日として、次の(a)及び(b)に答えよ。
(a) 設置すべき変圧器のバンク容量[kV·A]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)から一つ選べ。
(1)375 (2)400 (3)500 (4)550 (5)600 kV·A
(b) 年間総消費電力量[MW·h]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)から一つ選べ。
(1)1665 (2)1684 (3)1712 (4)1734 (5)1754 MW·h

答えは(a)500kV·A・(b)1734MW·h
変圧器容量の選定は実務そのものです——電気主任技術者の設計業務。
★★(a)3ステップで容量を決める
変圧器容量は皮相電力で表す
(a)の答え
変圧器の容量は[kV·A]で表されます——電流が巻線の発熱を決めるから。
力率が悪いほど、同じ[kW]でも大きな変圧器が要る——だから力率改善が経済的なのです。
360kV·Aと答えると誤り——力率で割るのを忘れた場合です。
★★なぜ変圧器容量は[kV·A]なのか
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 有効電力[kW] | ★★有効電力[kW] | ★皮相電力[kV·A] | ★★実際に仕事をする電力/電圧×電流 |
| 負荷が消費する量 | ★★負荷が消費する量 | ★変圧器を流れる量 | ★★力率で決まる関係 |
変圧器の発熱は電流の2乗に比例します——力率は関係ないのです。
だから容量は電圧×電流=皮相電力で表す——力率がいくつでも同じ。
負荷が[kW]で与えられたら、必ず力率で割る——これが鉄則です。
★変圧器の標準容量
| 容量[kV·A] | 系列 |
| ★50・75・100・150 | ★★小容量 |
| ★200・300・500 | ★★中容量 |
| ★750・1000・1500・2000 | ★★大容量 |
450kV·Aという変圧器は市販されていません——だから直近上位の500を選ぶ。
400kV·Aでは不足します——選択肢(2)は誤答。
「直近上位」という語が問題文になくても、容量選定では常にこの考え方です。
★★(b)電力量は有効電力で計算する
★最大需要電力に負荷率を掛ける
(b)の答え
電力量は有効電力[kW]で計算します——力率は使いません。
450kV·Aで計算すると誤り——皮相電力は電力量にならないのです。
(a)で使う値と(b)で使う値が違う——ここが本問の設計です。
★[kW]と[kV·A]の使い分け
| 場面 | 使う単位 | 理由 |
| ★変圧器・発電機の容量 | ★★[kV·A] | ★★発熱は電流で決まる |
| ★電力量・料金 | ★★[kW]→[kW·h] | ★★仕事をするのは有効電力 |
| ★契約電力 | ★★[kW] | ★★最大需要電力 |
「設備の大きさ」は[kV·A]、「使った量」は[kW·h]——この対応で覚えます。
問題文が何を問うているかで単位を選ぶのです。
★年負荷率55%の意味
設備の45%は普段遊んでいる
年間で見れば、最大需要になる時間はごくわずかです。
それでも設備は最大に合わせて用意する必要がある——これが電力設備の宿命です。
負荷率を上げる(平準化する)ことが省コストにつながります。
需要率60%の意味
設備容量600kWのうち、同時に使うのは最大でも360kWという意味です。
すべての機器を同時に全負荷で動かすことは普通ない——だから需要率は1未満。
この見込みがあるから、変圧器を小さくできるのです。
計算の手順をまとめる
| 手順 | やること | 単位 |
| ★① | ★★設備容量×需要率=最大需要電力 | ★★[kW] |
| ★② | ★★÷力率=皮相電力 | ★★[kV·A] |
| ★③ | ★★直近上位の標準容量を選ぶ | ★★[kV·A] |
| ★④ | ★★最大需要電力×負荷率=平均需要電力 | ★★[kW] |
| ★⑤ | ★★×24×365=年間電力量 | ★★[kW·h] |
②で[kV·A]に移り、④で[kW]に戻る——単位の流れを追うと迷いません。
力率改善が容量に効く
500kV·Aの変圧器が必要
400kV·Aで足りる
力率を改善すれば、1段階小さい変圧器で済みます——設備投資の節約。
進相コンデンサの費用より、変圧器の差額のほうが大きいことも——経済的な判断材料です。
電力会社の力率割引もあります——二重の効果。
バンクという語
「バンク」は変圧器の設置単位を指します——1バンク=1組の変圧器。
三相を単相変圧器3台で構成する場合も、まとめて1バンクと数えます。
複数バンクに分けて、負荷に応じて稼働台数を調整することもあります——効率のよい運用です。
⏱️ 本番での進め方
① 最大需要電力=設備容量×需要率。
② 変圧器容量は力率で割って[kV·A]に換算する。
③ 標準容量の直近上位を選ぶ。
④ 電力量は有効電力[kW]で計算——力率は使わない。
💡 覚え方
変圧器バンク容量の選定=①最大需要電力=設備容量×需要率[kW] ②皮相電力=最大需要電力÷力率[kV·A] ③標準容量の直近上位を選ぶ。年間電力量=平均需要電力(=最大需要電力×年負荷率)×24×365。容量は[kV·A]、電力量は[kW]で計算する。
⚠️ よくある間違い
変圧器容量は力率で割る——[kW]のままでは不足する。電力量の計算に皮相電力を使わない——有効電力[kW]で。
まとめ
| 最大需要電力 | 600×0.60=360 kW |
| 皮相電力 | 360/0.8=450 kV·A |
| (a)バンク容量 | 直近上位500 kV·A →(3) |
| 平均需要電力 | 360×0.55=198 kW |
| 年間消費電力量 | 198×24×365≒1734000 kW·h |
| (b) | ≒1734 MW·h →(4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・需要率から変圧器台数(電気施設管理-計算16):【法規】令和4年度上期 B問題12
・需要率・不等率・負荷率の式(電気施設管理21):【法規】平成18年度 A問題10

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