今回は令和4年度上期 法規科目 B問題12、需要率から変圧器の必要台数を、負荷率から月間消費電力量を求める問題です。需要率・力率・負荷率の定義を順に使う、施設管理の王道問題です。
流れは明快。最大需要電力=設備容量×需要率→皮相電力=最大需要/力率→台数=皮相/変圧器容量(切り上げ)。消費電力量は平均需要(=最大×負荷率)×時間です。
令和4年度上期 法規科目 B問題12:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題12
電験3種 法規科目 【電気施設管理】 令和4年度上期 B問題12
負荷設備の容量が800kW、需要率が70%、総合力率が90%である高圧受電需要家について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし、負荷は低圧のみで、変圧器の損失は無視する。
負荷設備の容量が800kW、需要率が70%、総合力率が90%である高圧受電需要家について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし、この需要家の負荷は低圧のみであるとし、変圧器の損失は無視するものとする。
(a) この需要負荷設備に対し100kV·Aの変圧器、複数台で電力を供給する。この場合、変圧器の必要最小限の台数として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)5 (2)6 (3)7 (4)8 (5)9 台
(b) この負荷の月負荷率を60%とするとき、負荷の月間総消費電力量の値[MW·h]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、1カ月の日数は30日とする。
(1)218 (2)242 (3)265 (4)270 (5)284 MW·h

答えは(a)7台・(b)242MW·h
平成19年度 B問題13が同系統です。そちらはバンク容量の直近上位を扱っています。
この記事は、切り上げの意味を主軸にします。
★★(a)3ステップで台数を決める
変圧器は皮相電力で選ぶ
(a)の答え
6.22台という変圧器は存在しません——だから切り上げて7台。
6台では600kV·Aで、622.2kV·Aに足りません——容量不足で過負荷になります。
選択肢(2)の6台は、切り捨ててしまった場合の誤答です。
★★なぜ切り上げなのか
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 切り上げ(正しい) | ★★切り上げ(正しい) | ★切り捨て(誤り) | ★★7台=700kV·Aで余裕あり/6台=600kV·Aで不足 |
| 最大需要に耐えられる | ★★最大需要に耐えられる | ★ピーク時に過負荷 | ★★安全側かどうか |
設備容量は「足りていること」が絶対条件です——不足は許されない。
だから端数は必ず切り上げる——四捨五入でもありません。
6.01台でも7台——わずかでも超えれば1台増やすのです。
★複数台構成の利点
| 利点 | 内容 |
| ★負荷に応じた運用 | ★★軽負荷時は台数を減らして効率を上げる |
| ★保守性 | ★★1台を停止しても供給を継続できる |
| ★搬入・設置 | ★★小型なので運びやすい |
大型1台より小型複数台のほうが運用の自由度が高いのです。
軽負荷時に台数を減らせば、鉄損が減って効率が上がります——需要率の管理にもつながります。
本問が「複数台で供給する」としているのはこの発想です。
★(b)月間電力量
(b)の答え
電力量は有効電力[kW]で計算します——力率は使いません。
622.2kV·Aで計算すると誤り——皮相電力は電力量にならないのです。
(a)と(b)で使う値が違う——ここが本問の設計です。
★[kW]と[kV·A]の使い分け
| 場面 | 単位 | 理由 |
| ★変圧器の容量選定 | ★★[kV·A] | ★★発熱は電流で決まる |
| ★電力量の計算 | ★★[kW] | ★★仕事をするのは有効電力 |
「設備の大きさ」は[kV·A]、「使った量」は[kW·h]——この対応で覚えます。
問題文が何を問うているかで単位を選びます。
★力率が悪いと台数が増える
1台減らせる
力率を0.95に改善すれば6台で足ります——変圧器1台分の節約。
進相コンデンサの費用より安く済むことも多い——経済的な判断材料です。
力率改善が設備計画に直結するのです。
需要率70%の意味
設備容量800kWのうち、同時に使うのは最大でも560kWという意味です。
すべての機器を同時に全負荷で動かすことは普通ない——だから需要率は1未満。
この見込みがあるから、変圧器を小さくできるのです。
月負荷率60%の意味
ピークになる時間はごくわずか——それでも設備は最大に合わせるのです。
負荷率を上げれば設備の利用率が上がります——経済的です。
計算の手順をまとめる
| 手順 | やること | 単位 |
| ★① | ★★設備容量×需要率 | ★★[kW] |
| ★② | ★★÷力率 | ★★[kV·A] |
| ★③ | ★★÷1台の容量、切り上げ | ★★台 |
| ★④ | ★★最大需要電力×負荷率 | ★★[kW] |
| ★⑤ | ★★×日数×24 | ★★[kW·h] |
②で[kV·A]へ、④で[kW]へ戻る——単位の流れを追えば迷いません。
変圧器の標準容量
| 容量[kV·A] | 用途の目安 |
| ★50・75・100 | ★★小規模の需要家・複数台構成の単位 |
| ★150・200・300 | ★★中規模 |
| ★500・750・1000 | ★★大規模 |
本問は100kV·Aを複数台という条件です——台数を求める形。
1台で選ぶなら、622.2kV·Aに対して750kV·A——直近上位になります。
複数台のほうが軽負荷時の運用に融通が利くのです。
⏱️ 本番での進め方
① 最大需要電力=設備容量×需要率。
② 変圧器は力率で割って[kV·A]で選ぶ。
③ 台数は必ず切り上げ——6.22なら7台。
④ 電力量は有効電力[kW]で計算する。
💡 覚え方
変圧器台数の選定=①最大需要電力=設備容量×需要率[kW] ②皮相電力=最大需要電力÷力率[kV·A] ③台数=皮相電力÷1台の容量(切り上げ)。月間電力量=平均需要電力(=最大需要電力×月負荷率)×日数×24。
⚠️ よくある間違い
台数は切り捨てない——6.22台なら7台(6台では容量不足)。電力量の計算に皮相電力を使わない——有効電力[kW]で。
まとめ
| 最大需要電力 | 800×0.7=560 kW |
| 皮相電力 | 560/0.9≒622.2 kV·A |
| (a)台数 | 622.2/100=6.22→切上げ7台 →(3) |
| 平均需要電力 | 560×0.6=336 kW |
| 月間消費電力量 | 336×30×24=241920 kW·h |
| (b) | ≒242 MW·h →(2) |
▼あわせて解きたい関連問題
・需要率・不等率・負荷率の式(電気施設管理21):【法規】平成18年度 A問題10
・2工場の需要率・総合負荷率(電気施設管理-計算12):【法規】令和5年度上期 B問題11

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