今回は令和5年度上期 法規科目 B問題11、2つの工場を合わせた需要率と総合負荷率を負荷曲線から求める問題です。需要率・負荷率の定義(電気施設管理21)を使う実践問題です。
コツは「まず2工場を足した合成負荷曲線をつくる」こと。合成の最大需要電力と平均需要電力が分かれば、需要率=最大/設備容量、負荷率=平均/最大で一気に求まります。
令和5年度上期 法規科目 B問題11:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題11
電験3種 法規科目 【電気施設管理】 令和5年度上期 B問題11
ある事業所内におけるA工場及びB工場の、それぞれのある日の負荷曲線は図のようであった。それぞれの工場の設備容量が、A工場では400kW、B工場では700kWであるとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
(負荷曲線は上の画像を参照してください。A工場:0-6時100・6-18時200・18-24時100kW/B工場:0-6時600・6-12時300・12-18時400・18-24時600kW。)
(a) A工場及びB工場を合わせた需要率の値[%]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)54.5 (2)56.8 (3)63.6 (4)89.3 (5)90.4 %
(b) A工場及びB工場を合わせた総合負荷率の値[%]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)56.8 (2)63.6 (3)78.1 (4)89.3 (5)91.6 %



答えは(a)63.6%・(b)89.3%
平成26年度 B問題12が同一問題です。そちらは合成曲線のつくり方を扱っています。
この記事は、5つの誤答選択肢を全部解剖します。
★★正解に必要な4つの値
| 値 | 求め方 | 結果 |
| ★総設備容量 | ★★400+700 | ★★1100kW |
| ★合成最大需要電力 | ★★合成曲線の最大値 | ★★700kW |
| ★合成平均需要電力 | ★★15000÷24 | ★★625kW |
| ★各工場の最大の和 | ★★200+600 | ★★800kW |
この4つの値の組合せで、すべての選択肢が説明できます。
800kWは正解には使いませんが、誤答の材料になります——要注意。
★★(a)の5つの選択肢を解剖する
| 選択肢 | 値 | どこから来たか |
| ★(1)54.5% | ★★600/1100 | ★★合成最大を600kWと誤読 |
| ★(2)56.8% | ★★625/1100 | ★★★平均を最大と取り違えた |
| ★(3)63.6% | ★★700/1100 | ★★正しい |
| ★(4)89.3% | ★★625/700 | ★★(b)の答えと混同 |
| ★(5)90.4% | ★★— | ★★撹乱用 |
(2)は平均625kWを分子にした場合——需要率の分子は最大です。
(4)は(b)の答えそのもの——(a)と(b)を取り違えると落ちる。
誤答が「何を間違えた結果か」を知ると、自分の答えを検算できます。
★★(b)の5つの選択肢を解剖する
| 選択肢 | 値 | どこから来たか |
| ★(1)56.8% | ★★625/1100 | ★★分母に設備容量を使った |
| ★(2)63.6% | ★★700/1100 | ★★(a)の答えと混同 |
| ★(3)78.1% | ★★625/800 | ★★★分母に各最大の和を使った |
| ★(4)89.3% | ★★625/700 | ★★正しい |
| ★(5)91.6% | ★★— | ★★撹乱用 |
(3)78.1%は、合成最大700kWではなく各最大の和800kWで割った場合です。
これが最も紛らわしい誤答——合成最大を正しく求められたかを試している。
負荷率の分母は「合成最大需要電力」——定義を確認します。
★合成負荷曲線をつくる
| 時間帯 | A | B | 合成 |
| ★0〜6時 | ★★100 | ★★600 | ★★700kW |
| ★6〜12時 | ★★200 | ★★300 | ★★500kW |
| ★12〜18時 | ★★200 | ★★400 | ★★600kW |
| ★18〜24時 | ★★100 | ★★600 | ★★700kW |
合成の最大は700kW——各工場の最大の和800kWではありません。
A工場のピーク(6〜18時)とB工場のピーク(夜間)がずれている——だから小さくなるのです。
★合成平均需要電力
電力量を出してから24で割るのが確実です。
各時間帯が6時間ずつなので、単純平均でも同じ——(700+500+600+700)/4=625。
時間帯の長さが違う場合は必ず電力量から計算します。
3つの率の分母・分子
| 率 | 分子 | 分母 |
| ★需要率 | ★★合成最大需要電力 | ★★総設備容量 |
| ★負荷率 | ★★合成平均需要電力 | ★★合成最大需要電力 |
| ★不等率 | ★★各最大の和 | ★★合成最大需要電力 |
この表を書ければ、誤答に落ちません——分母と分子を確認する。
本問では不等率は問われませんが、800/700≒1.14です。
値の範囲で検算する
| 率 | 範囲 | 本問の値 |
| ★需要率 | ★★1未満 | ★★0.636 |
| ★負荷率 | ★★1未満 | ★★0.893 |
| ★不等率 | ★★1以上 | ★★1.14 |
範囲から外れていたら計算ミスです——確実な検算法。
負荷率89.3%は高い値——24時間操業に近いのです。
なぜ「合成」してから計算するのか
設備容量の重みが違う
各工場の需要率を平均しても、合わせた需要率にはなりません——設備容量が違うから。
しかも合成最大はピークのずれで小さくなります——二重に違うのです。
だから必ず合成してから計算する——これが鉄則です。
設備容量と最大需要の関係
| 工場 | 設備容量 | 最大需要 | 需要率 |
| ★A | ★★400kW | ★★200kW | ★★50.0% |
| ★B | ★★700kW | ★★600kW | ★★85.7% |
| ★合成 | ★★1100kW | ★★700kW | ★★63.6% |
B工場のほうが設備を目一杯使っています——需要率85.7%。
A工場は余裕がある——設備の半分しか使っていないのです。
合成すると63.6%に落ち着きます。
この事業所の不等率
★必ず1以上
1.14という値は、ピークのずれがそれほど大きくないことを示します。
完全にずれていればもっと大きくなります——逆に同時にピークなら1.00。
本問ではB工場が夜間に600kWと大きいため、合成最大もその時間帯に決まっています。
⏱️ 本番での進め方
① 需要率の分子は合成最大——平均ではない。
② 負荷率の分母は合成最大——設備容量でも各最大の和でもない。
③ 合成最大は700kW——各最大の和800kWではない。
④ 誤答は分母・分子の取り違えから作られている。
💡 覚え方
合成負荷曲線の問題=①各時間帯で需要を足して合成負荷曲線をつくる ②合成最大需要電力=その最大値 ③合成平均需要電力=総電力量÷24 ④需要率=合成最大÷総設備容量、総合負荷率=合成平均÷合成最大。誤答は分母・分子の取り違えで作られている。
⚠️ よくある間違い
負荷率の分母に「各工場の最大の和800kW」を使わない——合成最大700kW。需要率の分子に平均を使わない——最大を使う。
まとめ
| 合成負荷(各6h) | 700/500/600/700 kW |
| 合成最大 | 700 kW |
| 総設備容量 | 400+700=1100 kW |
| (a)需要率 | 700/1100≒63.6% →(3) |
| 平均需要 | 15000/24=625 kW |
| (b)総合負荷率 | 625/700≒89.3% →(4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・需要率・不等率・負荷率の式(電気施設管理21):【法規】平成18年度 A問題10
・デマンド抑制のファン台数(電気施設管理-計算11):【法規】令和5年度上期 A問題10

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