今回は令和4年度上期 法規科目 A問題10、過電流継電器(OCR)と真空遮断器(VCB)の連動動作試験で、必要な可変抵抗の最小値を求める計算問題です。接点の開閉で回路が切り替わる点がポイントです。
核心は「設定時と動作時で回路が違う」こと。設定時(接点閉)はトリップコイルをバイパスして9Aに設定し電圧Vが決まる。動作時(接点開)はトリップコイル(10Ω)が直列に入るので電流が減る——この電流が3A以上必要です。
令和4年度上期 法規科目 A問題10:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題10
電験3種 法規科目 【電気施設管理】 令和4年度上期 A問題10
過電流継電器(OCR)と真空遮断器(VCB)との連動動作試験を行う。試験機の可変抵抗R[Ω]と試験電圧Vを調整し、電流計が9Aを示すように設定する。OCR動作時、トリップコイル(誘導性リアクタンス10Ω)に流れる電流が3.0A以上でないとVCBは正常に動作しない。VCBが正常に動作できる最小のR[Ω]を選べ。
(回路図は上の画像を参照してください。)
過電流継電器(OCR)と真空遮断器(VCB)との連動動作試験を行う。保護継電器試験機からOCRに動作電流整定タップ3Aの300%(9A)を入力した時点から、VCBが連動して動作するまでの時間を計測する。OCRが動作すると電流は試験機→OCR→VCB(トリップコイルの誘導性リアクタンスは10Ω)→試験機へと流れる。試験機の可変抵抗R[Ω]と試験電圧Vを調整し、電流計が9Aを示すように設定する(設定中はOCR動作ロック)。図のOCR内の※接点はOCRが動作した時に開き、トリップコイルに電流が流れる(VCBは変流器二次電流による引外し方式)。VCBはコイルに3.0A以上の電流が流れないと正常に動作しない。VCBが正常に動作できる最小の抵抗値R[Ω]を次の(1)〜(5)から一つ選べ。ただし、OCRの内部抵抗、トリップコイルの抵抗及びその他記載のないインピーダンスは無視する。
(1)2 (2)5 (3)10 (4)15 (5)20 Ω



答えは(2):5Ω
継電器試験の実務がそのまま問題になっています。
★★2つの状態で回路が変わる
| 状態 | ※接点 | 回路 | 電流 |
| ★設定時 | ★★閉 | ★★VとRのみ(コイルはバイパス) | ★★9A |
| ★動作時 | ★★開 | ★★VとRとコイル(10Ω)が直列 | ★★3A以上必要 |
OCRが動作すると※接点が開き、コイルに電流が流れます——そこで初めてVCBが動く。
設定は接点が閉じた状態で行う——だからコイルの影響を受けないのです。
この違いを読み取れないと解けません——問題文の※印がヒント。
★★設定時の関係式
OCRの内部抵抗は無視
Rを大きくすればVも大きくなる
9Aになるように「RとVを調整する」——だから2つは連動しています。
Rを大きくすれば、9Aを流すのに高いVが必要——これが後で効いてきます。
★★動作時の電流
ベクトル和になる
V=9Rを代入
抵抗とリアクタンスは直交するので、二乗和の平方根です——単純な足し算ではありません。
R+10として計算すると誤り——交流回路の基本です。
★不等式を解く
選択肢では5Ω
3.54Ω以上が必要——選択肢の中で最小は5Ωです。
2Ω(選択肢(1))では条件を満たしません——電流が3A未満になる。
「最小の抵抗値」を問うているので、条件を満たす最小を選びます。
★R=5Ωで検算する
★3.0A以上を満たす
4.02Aなので余裕を持って動作します。
R=2Ωなら V=18V、I’=18/√104≒1.77A で不足——VCBが動かないのです。
検算すると確信が持てます。
★★なぜRを大きくすると電流が増えるのか
コイルの影響が相対的に小さくなる
直感に反しますが、Rが大きいほど動作時の電流も大きくなります。
Rが大きいと、10Ωのコイルが加わっても全体のインピーダンスはあまり変わらない——だから電流も減らない。
逆にRが小さいと、10Ωの影響が支配的になって電流が激減します。
これが本問の面白さです。
連動動作試験の目的
| 確認事項 | 内容 |
| ★OCRの動作 | ★★整定値どおりの電流・時間で動作するか |
| ★連動 | ★★OCRの動作でVCBが確実に引き外されるか |
| ★動作時間 | ★★入力から遮断までの総合時間 |
継電器が動いても遮断器が動かなければ意味がありません——だから連動を確認する。
年次点検の重要項目です——実際に電流を流して確かめます。
トリップコイルの引外し方式
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 変流器二次電流による引外し | ★★変流器二次電流による引外し | ★直流電源による引外し | ★★CTの電流でコイルを励磁/蓄電池等の直流電源を使う |
| 電源が不要 | ★★電源が不要 | ★電源の確保が必要 | ★★本問は前者 |
本問は「変流器二次電流による引外し方式」です——だから試験電流でコイルを動かす。
直流電源方式なら、電源の健全性も点検対象になります。
保護継電器試験機とは
| 機能 | 内容 |
| ★電流の注入 | ★★整定値の任意倍数の電流を継電器に流す |
| ★時間の計測 | ★★入力から動作までの時間を測る |
| ★電圧の調整 | ★★可変抵抗と電圧で電流値を設定する |
本問の「300%(9A)」は、整定タップ3Aの3倍という意味です。
実際の事故電流を模擬して、動作特性を確認します——年次点検の中心的な作業。
反限時特性なので、倍数を変えて何点か測ります。
試験で確認すべきこと
| 項目 | 判定基準 |
| ★最小動作電流 | ★★整定値の±10%程度以内で動作するか |
| ★動作時間 | ★★特性曲線どおりの時間で動作するか |
| ★連動 | ★★遮断器が確実に引き外されるか |
継電器だけが動いても、遮断器が動かなければ保護になりません——だから連動試験。
本問はまさにその連動が成立する条件を計算しています。
⏱️ 本番での進め方
① 設定時はコイルがバイパスされV=9R。
② 動作時はコイルが直列に入る。
③ 抵抗とリアクタンスは二乗和の平方根。
④ Rが大きいほど動作時の電流も大きい——直感と逆。
💡 覚え方
OCR-VCB連動試験=①設定時(接点閉)はトリップコイルがバイパスされV=9R ②動作時(接点開)はコイル(リアクタンス10Ω)が直列に入りI’=9R/√(R²+100) ③これが3.0A以上となる条件を解く。抵抗とリアクタンスは直交するので二乗和の平方根。
⚠️ よくある間違い
抵抗とリアクタンスを単純に足さない——√(R²+X²)。設定時と動作時で回路が変わる——※接点の開閉に注意。
まとめ
| 設定時 | ※閉、9=V/R → V=9R |
| 動作時 | ※開、I=9R/√(R²+100) |
| 条件 | I≥3A → 8R²≥100 → R≥3.54Ω |
| R=2 | 1.77A(NG) |
| R=5 | 4.02A(OK) |
| 答え | 最小5Ω →(2) |
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