電気施設管理-計算15【電験3種 法規】連動試験は接点開閉で回路が変わる!最小R=5Ω=(2) 令和4年度上期 A問題10 完全解説

電験3種 法規科目 電気施設管理 令和4年度上期 A問題10 OCRとVCBの連動試験!可変抵抗は最小5Ω

今回は令和4年度上期 法規科目 A問題10過電流継電器(OCR)と真空遮断器(VCB)の連動動作試験で、必要な可変抵抗の最小値を求める計算問題です。接点の開閉で回路が切り替わる点がポイントです。

核心は「設定時と動作時で回路が違う」こと。設定時(接点閉)はトリップコイルをバイパスして9Aに設定し電圧Vが決まる。動作時(接点開)はトリップコイル(10Ω)が直列に入るので電流が減る——この電流が3A以上必要です。

目次

令和4年度上期 法規科目 A問題10:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 令和4年度上期 A問題10 問題文
令和4年度上期 法規科目 A問題10 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題10

電験3種 法規科目 【電気施設管理】 令和4年度上期 A問題10

 過電流継電器(OCR)と真空遮断器(VCB)との連動動作試験を行う。試験機の可変抵抗R[Ω]と試験電圧Vを調整し、電流計が9Aを示すように設定する。OCR動作時、トリップコイル(誘導性リアクタンス10Ω)に流れる電流が3.0A以上でないとVCBは正常に動作しない。VCBが正常に動作できる最小のR[Ω]を選べ。

(回路図は上の画像を参照してください。)

過電流継電器(OCR)と真空遮断器(VCB)との連動動作試験を行う。保護継電器試験機からOCRに動作電流整定タップ3Aの300%(9A)を入力した時点から、VCBが連動して動作するまでの時間を計測する。OCRが動作すると電流は試験機→OCR→VCB(トリップコイルの誘導性リアクタンスは10Ω)→試験機へと流れる。試験機の可変抵抗R[Ω]と試験電圧Vを調整し、電流計が9Aを示すように設定する(設定中はOCR動作ロック)。図のOCR内の※接点はOCRが動作した時に開き、トリップコイルに電流が流れる(VCBは変流器二次電流による引外し方式)。VCBはコイルに3.0A以上の電流が流れないと正常に動作しない。VCBが正常に動作できる最小の抵抗値R[Ω]を次の(1)〜(5)から一つ選べ。ただし、OCRの内部抵抗、トリップコイルの抵抗及びその他記載のないインピーダンスは無視する。

(1)2 (2)5 (3)10 (4)15 (5)20 Ω

令和4年度上期 A問題10 連動動作試験の回路
令和4年度上期 A問題10 連動動作試験の回路
令和4年度上期 A問題10 連動動作試験の回路
令和4年度上期 A問題10 連動動作試験の回路
答えR≧5Ω → 最小のR = (2)5Ω

答えは(2):5Ω

OCRとVCBの連動動作試験

設定時(※接点 閉)=トリップコイルはバイパスされ、回路は試験電圧Vと可変抵抗Rだけ。9Aに調整するのでV = 9R。/★動作時(※接点 開)=トリップコイル(誘導性リアクタンス10Ω)が直列に入る。/★VCBが動作するにはコイル電流3.0A以上が必要。

★接点の開閉で回路が変わる——ここに気づけるかが勝負です。

継電器試験の実務がそのまま問題になっています

★★2つの状態で回路が変わる

状態※接点回路電流
★設定時★★閉★★VとRのみ(コイルはバイパス)★★9A
★動作時★★開★★VとRとコイル(10Ω)が直列★★3A以上必要

OCRが動作すると※接点が開き、コイルに電流が流れます——そこで初めてVCBが動く

設定は接点が閉じた状態で行う——だからコイルの影響を受けないのです。

この違いを読み取れないと解けません——問題文の※印がヒント

★★設定時の関係式

$$I = \dfrac{V}{R} = 9\,\mathrm{[A]}$$
設定時(コイルはバイパス)
OCRの内部抵抗は無視
$$V = 9R\,\mathrm{[V]}$$
★試験電圧はRによって決まる
Rを大きくすればVも大きくなる

9Aになるように「RとVを調整する」——だから2つは連動しています

Rを大きくすれば、9Aを流すのに高いVが必要——これが後で効いてきます

★★動作時の電流

$$Z = \sqrt{R^2 + 10^2}$$
★抵抗Rと誘導性リアクタンス10Ωの直列
ベクトル和になる
$$I’ = \dfrac{V}{\sqrt{R^2 + 100}} = \dfrac{9R}{\sqrt{R^2 + 100}}$$
動作時にコイルに流れる電流
V=9Rを代入
$$\dfrac{9R}{\sqrt{R^2 + 100}} \geq 3.0$$
VCBが動作する条件

抵抗とリアクタンスは直交するので、二乗和の平方根です——単純な足し算ではありません

R+10として計算すると誤り——交流回路の基本です。

★不等式を解く

$$9R \geq 3\sqrt{R^2 + 100}$$
両辺を変形
$$3R \geq \sqrt{R^2 + 100}$$
3で割る
$$9R^2 \geq R^2 + 100$$
両辺を2乗
$$8R^2 \geq 100 \Rightarrow R \geq \sqrt{12.5} \approx 3.54\,\Omega$$
★最小のR
選択肢では5Ω

3.54Ω以上が必要——選択肢の中で最小は5Ωです。

2Ω(選択肢(1))では条件を満たしません——電流が3A未満になる

「最小の抵抗値」を問うているので、条件を満たす最小を選びます

★R=5Ωで検算する

$$V = 9 \times 5 = 45\,\mathrm{[V]}$$
設定時の試験電圧
$$I’ = \dfrac{45}{\sqrt{25 + 100}} = \dfrac{45}{\sqrt{125}} \approx \dfrac{45}{11.18} \approx 4.02\,\mathrm{[A]}$$
動作時の電流
★3.0A以上を満たす

4.02Aなので余裕を持って動作します

R=2Ωなら V=18V、I’=18/√104≒1.77A で不足——VCBが動かないのです。

検算すると確信が持てます

★★なぜRを大きくすると電流が増えるのか

$$I’ = \dfrac{9R}{\sqrt{R^2 + 100}}$$
Rの関数として見る
$$R \to \infty \Rightarrow I’ \to 9\,\mathrm{[A]}$$
★Rが大きいほど9Aに近づく
コイルの影響が相対的に小さくなる

直感に反しますが、Rが大きいほど動作時の電流も大きくなります

Rが大きいと、10Ωのコイルが加わっても全体のインピーダンスはあまり変わらない——だから電流も減らない

逆にRが小さいと、10Ωの影響が支配的になって電流が激減します。

これが本問の面白さです。

連動動作試験の目的

確認事項内容
★OCRの動作★★整定値どおりの電流・時間で動作するか
★連動★★OCRの動作でVCBが確実に引き外されるか
★動作時間★★入力から遮断までの総合時間

継電器が動いても遮断器が動かなければ意味がありません——だから連動を確認する。

年次点検の重要項目です——実際に電流を流して確かめます

トリップコイルの引外し方式

条文の言葉ダミー語違い
変流器二次電流による引外し★★変流器二次電流による引外し★直流電源による引外し★★CTの電流でコイルを励磁/蓄電池等の直流電源を使う
電源が不要★★電源が不要★電源の確保が必要★★本問は前者

本問は「変流器二次電流による引外し方式」です——だから試験電流でコイルを動かす

直流電源方式なら、電源の健全性も点検対象になります。

保護継電器試験機とは

機能内容
★電流の注入★★整定値の任意倍数の電流を継電器に流す
★時間の計測★★入力から動作までの時間を測る
★電圧の調整★★可変抵抗と電圧で電流値を設定する

本問の「300%(9A)」は、整定タップ3Aの3倍という意味です。

実際の事故電流を模擬して、動作特性を確認します——年次点検の中心的な作業

反限時特性なので、倍数を変えて何点か測ります

試験で確認すべきこと

項目判定基準
★最小動作電流★★整定値の±10%程度以内で動作するか
★動作時間★★特性曲線どおりの時間で動作するか
★連動★★遮断器が確実に引き外されるか

継電器だけが動いても、遮断器が動かなければ保護になりません——だから連動試験

本問はまさにその連動が成立する条件を計算しています

⏱️ 本番での進め方
① 設定時はコイルがバイパスされV=9R。
② 動作時はコイルが直列に入る。
③ 抵抗とリアクタンスは二乗和の平方根
Rが大きいほど動作時の電流も大きい——直感と逆。

💡 覚え方
OCR-VCB連動試験=①設定時(接点閉)はトリップコイルがバイパスされV=9R ②動作時(接点開)はコイル(リアクタンス10Ω)が直列に入りI’=9R/√(R²+100) ③これが3.0A以上となる条件を解く。抵抗とリアクタンスは直交するので二乗和の平方根。

⚠️ よくある間違い
抵抗とリアクタンスを単純に足さない——√(R²+X²)。設定時と動作時で回路が変わる——※接点の開閉に注意。

まとめ

設定時※閉、9=V/R → V=9R
動作時※開、I=9R/√(R²+100)
条件I≥3A → 8R²≥100 → R≥3.54Ω
R=21.77A(NG)
R=54.02A(OK)
答え最小5Ω →(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・高圧受電設備の保護協調(電気施設管理8):【法規】令和3年度 A問題10
・キュービクルの主遮断装置(電気施設管理15):【法規】平成23年度 A問題10

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