今回は平成24年度 法規科目 B問題12、力率改善のベクトル図の選択と、受電端電圧を目標値にするためのコンデンサ容量を求める問題です。ベクトル図の理解と電圧降下計算の両方が問われます。
(a)は「コンデンサで無効電力を打ち消し、有効電力は変えない」——遅れ無効電力Qを進みのQ_Cで減らし、力率角θがθ’に小さくなる図が正解。(b)は電圧降下の簡略式から必要な無効電力を逆算します。
平成24年度 法規科目 B問題12:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成24年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題12
電験3種 法規科目 【電気施設管理】 平成24年度 B問題12
需要家の自家用変電所を送電端とし、高圧三相3線式1回線の専用配電線路で受電する第2工場(負荷2000kW、受電電圧6000V)に電力用コンデンサを設置して力率改善・電圧調整を行う。次の(a)及び(b)に答えよ。
(ベクトル図は上の画像(正解(2))を参照してください。(b)は送電端6600V、電線1線R=0.5Ω・X=1Ω、設置前力率0.6遅れ。)
電気事業者から供給を受ける需要家の自家用変電所を送電端とし、高圧三相3線式1回線の専用配電線路で受電している第2工場がある。第2工場の負荷は2000kW、受電電圧は6000V。力率改善及び受電端電圧の調整のため、第2工場に電力用コンデンサを設置する。次の(a)及び(b)に答えよ。
(a) 電力用コンデンサを設置したときの受電端のベクトル図として正しいものを選べ(P:有効電力、Q:設置前の無効電力、Q_C:コンデンサ容量、θ:設置前力率角、θ’:設置後力率角)。正解は、遅れ無効電力Qを進みのQ_Cで打ち消して合成無効電力(Q−Q_C)が小さくなり、有効電力Pは変わらず力率角がθからθ’(小)になる図(2)である。
(b) 第2工場の受電端電圧を6300Vにするために設置する電力用コンデンサ容量[kvar]の値として、最も近いものを選べ。ただし、送電端電圧6600V、専用配電線路の電線1線当たりの抵抗0.5Ω・リアクタンス1Ω、コンデンサ設置前の負荷力率0.6(遅れ)、電圧降下は簡略式を用いる。
(1)700 (2)900 (3)1500 (4)1800 (5)2000 kvar



答えは(a)(2)・(b)コンデンサ容量
ベクトル図の理解と電圧降下計算の両方が問われます。
★★(a)ベクトル図の見分け方
| 確認点 | 正しい図 | 誤りの図 |
| ★有効電力P | ★★★変わらない | ★★Pが変わっている |
| ★無効電力 | ★★Q→(Q−Q_C)に減る | ★★増えている・向きが逆 |
| ★力率角 | ★★θ→θ’(小さくなる) | ★★大きくなっている |
コンデンサは有効電力を消費しません——だからPは不変。
進み無効電力Q_Cが、遅れ無効電力Qを打ち消します——差が(Q−Q_C)。
この2点を確認すれば図が選べます。
★★電圧降下の簡略式
力率を陽に使わない形
PとQで表すと、コンデンサの効果が直接見えます——Qを減らせばvが減る。
2つの式は同じもの——変形しただけです。
力率改善の問題ではこちらが便利です。
★(b)必要な無効電力を逆算する
受電端を6300Vにする
電圧降下を300Vに抑えるには、無効電力を890kvarまで減らす必要があります。
Pは2000kWで固定——変えられるのはQだけです。
だからコンデンサでQを減らすのです。
★設置前の無効電力
(b)の答え
力率0.6は無効電力が非常に大きい——有効電力の1.33倍。
約1800kvarのコンデンサが必要です——大容量。
設置後の力率は2000/√(2000²+890²)≒0.91になります。
★力率改善の2つの目的
| 目的 | 効果 |
| ★力率改善 | ★★損失低減・基本料金の割引・設備容量の余裕 |
| ★電圧調整 | ★★★電圧降下を減らして受電端電圧を上げる(本問) |
本問は「力率改善及び受電端電圧の調整のため」と明記されています。
電圧が低いと機器の効率が落ちるので、電圧調整も重要です。
コンデンサは1台で2つの目的を果たせます。
★電圧降下の式でVをどう選ぶか
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 受電端電圧を使う | ★★受電端電圧を使う | ★送電端電圧を使う | ★★本問の解き方/別の近似 |
| 6300V | ★★6300V | ★6600V | ★★わずかに結果が変わる |
簡略式のVは、厳密には受電端電圧です——P・Qが受電端の値だから。
ただし差が小さいので、どちらでも大差ありません——近似式だから。
選択肢の幅を見て判断します。
進相コンデンサの設置効果のまとめ
| 項目 | 設置前 | 設置後 |
| ★有効電力 | ★★2000kW | ★★2000kW(不変) |
| ★無効電力 | ★★2667kvar | ★★890kvar |
| ★力率 | ★★0.6 | ★★約0.91 |
| ★受電端電圧 | ★★低い | ★★6300V |
有効電力だけが変わらない——これがベクトル図の見分けの鍵でした。
他はすべて改善されます——力率改善の効果です。
電圧降下の2つの式を使い分ける
| 式 | 使う場面 |
| ★v=√3 I (R cosθ+X sinθ) | ★★電流が与えられている場合 |
| ★v=(P R+Q X)/V | ★★★電力が与えられている・力率改善を扱う場合 |
2つは同じ式を変形しただけです——P=√3VIcosθ、Q=√3VIsinθを代入。
力率改善の問題では後者が圧倒的に便利——Qが直接出てくるから。
問題に応じて使い分けられると速いのです。
受電端電圧を上げる方法
| 方法 | 効果 | 実現性 |
| ★力率改善(本問) | ★★無効電力Qを減らす | ★★需要家側で実施できる |
| ★送電端電圧を上げる | ★★根本的だが上限がある | ★★変電所の設備次第 |
| ★電線を太くする | ★★Rを減らす | ★★工事費がかかる |
需要家が自分でできるのは力率改善です——だからコンデンサを設置する。
本問は「専用配電線路」なので、自分の負荷だけが電圧降下の原因です。
改善の効果が直接現れるのです。
ベクトル図は定義に忠実に描く
横軸に有効電力P、縦軸に無効電力Qをとります——電力ベクトル図。
コンデンサの進み無効電力Q_Cは、遅れQと逆向き——だから差し引かれる。
Pが変わらずQだけが縮む図を探せば、答えは1つに決まります。
⏱️ 本番での進め方
① コンデンサは有効電力を変えない——ベクトル図の見分け。
② 電圧降下の簡略式はv=(PR+QX)/V。
③ 目標電圧から許される無効電力を逆算する。
④ コンデンサ容量=設置前のQ − 許されるQ。
💡 覚え方
力率改善による電圧調整=①コンデンサは有効電力を変えず無効電力だけをQ→(Q−Q_C)に減らす(力率角がθ→θ’に小さくなる)②電圧降下の簡略式 v=(PR+QX)/V から目標電圧に必要な無効電力を逆算 ③コンデンサ容量=設置前のQ−許されるQ。
⚠️ よくある間違い
ベクトル図で有効電力Pが変わっているものは誤り——コンデンサは無効電力だけに作用する。
まとめ
| (a) | 無効電力減・有効電力不変・θ→θ’ → 図(2) |
| 目標電圧降下 | 6600−6300=300 V |
| 設置後Q’ | (300×6300−2000e3×0.5)/1=890 kvar |
| 設置前Q | 2000×0.8/0.6≒2667 kvar |
| (b)Q_C | 2667−890≒1777→1800 kvar →(4) |
| 答え | (a)-(2),(b)-(4) |
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