今回は平成24年度 法規科目 B問題13、調整池水力発電所の運転終了時刻と、途中の出力Pを求める問題です。貯水にかかる時間と1日の水収支という2つの考え方を使います。
ポイントは、(a)は「空になった調整池を満水に戻すのにかかる時間」から逆算、(b)は「発電に使った総水量=貯水+流入」の水収支。出力は使用水量に比例します。
答えは(a)22時・(b)26000kW
令和4年度上期 B問題13が同系統です。そちらは使用水量を求める型でした。
この記事は、時刻の逆算を主軸にします。
平成24年度 法規科目 B問題13:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成24年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題13
電験3種 法規科目 【電気施設管理】 平成24年度 B問題13
最大出力40000kW、最大使用水量20m³/s、有効容量360000m³の調整池を有する水力発電所。河川流量10m³/s一定、全流量を発電に利用。8時満水から発電し、有効容量を使い切るx時まで発電、その後貯水のみ。出力は使用水量に比例。次の(a)及び(b)に答えよ。
(運転パターンは上の画像を参照してください。4時間@P+1時間@16000kW+残り@40000kW。)
発電所の最大出力が40000kWで最大使用水量が20m³/s、有効容量360000m³の調整池を有する水力発電所がある。河川流量が10m³/s一定である時期に、河川の全流量を発電に利用して図のような発電を毎日行った。毎朝満水になる8時から発電を開始し、調整池の有効容量の水を使い切るx時まで発電を行い、その後は発電を停止して翌日に備えて貯水のみをする運転パターンである。発電所出力[kW]は使用水量[m³/s]のみに比例するものとする。次の(a)及び(b)に答えよ。
(a) 運転を終了する時刻xとして、最も近いものを次の(1)〜(5)から一つ選べ。
(1)19 (2)20 (3)21 (4)22 (5)23 時
(b) 図に示す出力P[kW]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)から一つ選べ。
(1)20000 (2)22000 (3)24000 (4)26000 (5)28000 kW



★★(a)貯水にかかる時間から逆算する
有効容量360000m³、河川流量10m³/s
(a)の答え
発電を止めてから翌朝8時までに満水にする必要があります——10時間かかる。
8時の10時間前は前日の22時——そこで発電を終えるのです。
「毎朝満水になる8時から発電を開始」という条件から逆算します。
★運転時間を確認する
| 時間帯 | 状態 | 時間 |
| ★8時〜22時 | ★★発電(有効容量を使い切る) | ★★14時間 |
| ★22時〜翌8時 | ★★停止(貯水のみ) | ★★10時間 |
14時間発電して10時間貯める——合計24時間です。
発電中も河川流量10m³/sは流入し続けます——これが(b)で効く。
「河川の全流量を発電に利用」という条件です。
★★(b)1日の水収支
1日の総流入量10×24×3600=864000m³と一致します——全量を発電に使うから。
有効容量を使い切り、かつ流入分も全部使う——これが条件です。
2通りで確かめられるので検算になります。
★運転パターンから使用水量を求める
最大使用水量
「出力は使用水量のみに比例」という条件です——落差が一定だから。
だから比例配分で使用水量が求まります——P=9.8QHηの簡略形。
★水収支の式を立てる
単位をm³/s·時間に統一
(b)の答え
14時間の内訳は4時間+1時間+9時間です——図から読み取ります。
使用水量×時間の合計が総水量になる——これが水収支。
13m³/sは最大20m³/sの65%——だから出力も65%の26000kWです。
★2つの型を比べる
| 問題 | 与えられるもの | 求めるもの |
| ★令和4年度上期 | ★★発電時間の配分 | ★★使用水量と有効貯水量 |
| ★平成24年度(本問) | ★★有効容量と出力パターン | ★★運転終了時刻と出力 |
どちらも水収支が骨格ですが、求めるものが違います。
本問は「時間」を求めるのが特徴——貯水速度から逆算。
水収支の式が立てられれば、どちらも解けます。
調整池の役割
| 時間帯 | 運用 |
| ★昼(需要が多い) | ★★最大出力で発電(貯水を取り崩す) |
| ★夜(需要が少ない) | ★★発電を止めて貯水する |
需要に合わせて出力を変えられるのが調整池の価値です。
同じ水量でも、需要の多い時間に使うほうが価値が高い——火力の焚き減らしになる。
本問も9時間は最大出力40000kWで運転しています。
計算の手順をまとめる
| 手順 | やること |
| ★① | ★★貯水時間=有効容量÷河川流量 |
| ★② | ★★満水時刻から逆算して運転終了時刻を出す |
| ★③ | ★★発電に使う総水量=有効容量+発電中の流入 |
| ★④ | ★★運転パターンの水収支の式を立てる |
| ★⑤ | ★★出力は使用水量に比例 |
①②が(a)、③④⑤が(b)——2段構えです。
最大使用水量という制約
河川流量10m³/s
だから調整池が要る
最大出力で運転すると、流入の2倍の水を使います——貯水がなければ続けられない。
だから夜間に貯めておく必要がある——調整池の役割です。
水車の容量(最大使用水量)が運転の上限を決めます。
⏱️ 本番での進め方
① 貯水時間=有効容量÷河川流量(秒→時間に換算)。
② 運転終了時刻は翌朝の満水時刻から逆算。
③ 使える総水量=有効容量+発電中の流入量。
④ 出力は使用水量に比例する。
💡 覚え方
調整池の運転計画=①貯水にかかる時間=有効容量÷河川流量 ②翌朝の満水時刻から逆算して運転終了時刻を求める ③発電に使う総水量=有効容量+発電中の流入量(=1日の総流入量)④運転パターンごとの使用水量×時間の合計=総水量 という式を立てる ⑤出力は使用水量に比例。
⚠️ よくある間違い
発電中の流入を忘れない——使える水は有効容量だけではない。秒と時間の換算に注意——3600を掛ける/割る。
まとめ
| 貯水時間 | 360000/10=36000s=10 h |
| (a)終了時刻 | 32−x=10 → x=22時 →(4) |
| 発電時間 | 8〜22時=14 h |
| 総使用水量 | 360000+10×14×3600=864000 m³ |
| 水収支式 | (P/2000)×14400+8×3600+20×32400=864000 |
| (b)出力P | 7.2P=187200 → 26000 kW →(4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・調整池式水力の有効貯水量(電気施設管理-計算17):【法規】令和4年度上期 B問題13
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