今回は令和6年度下期 法規科目 B問題11、年間流況曲線から流込式水力発電所の溢水(放流)日数と年間可能発電電力量を求める問題です。令和7年度上期 B問11(電気施設管理-計算3)と同系統の頻出パターンです。
核心は「最大使用水量を超える流量は溢水(放流)」。流況曲線からQ=最大使用水量となる日を求め、それより手前は溢水・一定利用、以降は流量なりに利用します。
令和6年度下期 法規科目 B問題11:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和6年度下期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題11
電験3種 法規科目 【電気施設管理】 令和6年度下期 B問題11
最大使用水量15m³/s、有効落差20mの流込式水力発電所がある。
(問題文と年間流況曲線は上の画像を参照してください。d≧100でQ=−0.05d+25、水車効率90%・発電機効率95%。)
最大使用水量15m³/s、有効落差20mの流込式水力発電所がある。この発電所が利用している河川の流量Qが図のような年間流況曲線(日数dが100日以上の部分は、Q=−0.05d+25[m³/s]で表される。)であるとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし、水車及び発電機の効率はそれぞれ90%及び95%で、流量によって変化しないものとする。
(a) この発電所で年間に溢水が発生する日数の合計として、最も近いのは次のうちどれか。ただし、溢水とは河川流量を発電に利用しないで無効に放流することをいう。
(1)180 (2)190 (3)200 (4)210 (5)220 日
(b) この発電所の年間可能発電電力量[GW·h]の値として、最も近いのは次のうちどれか。
(1)19.3 (2)20.3 (3)21.4 (4)22.0 (5)22.5 GW·h


答えは(a)200日・(b)19.3GW·h
流込式水力の頻出パターンです——グラフの読み取りが要。
★★流況曲線とは
| 用語 | 意味 |
| ★流況曲線 | ★★1年の流量を大きい順に並べた曲線 |
| ★豊水量 | ★★95日目の流量 |
| ★平水量 | ★★185日目の流量 |
| ★低水量 | ★★275日目の流量 |
| ★渇水量 | ★★355日目の流量 |
横軸は「その流量以上の日が何日あるか」です——時系列ではありません。
だから左ほど流量が大きく、右ほど小さい——単調減少の曲線になります。
豊水・平水・低水・渇水の4つの日数も出題されます——95・185・275・355。
★★(a)溢水が発生する日数
(a)の答え=200日
d=200日目にちょうど流量が15m³/sになります——それより左は超過。
d<100の部分は式が与えられていませんが、さらに流量が大きいので溢水します。
だから0日目から200日目まで、200日間が溢水です。
★溢水とは何が無駄になるのか
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 最大使用水量以内 | ★★最大使用水量以内 | ★最大使用水量を超えた分 | ★★発電に使える/使えず放流するしかない |
| 水車の容量内 | ★★水車の容量内 | ★水車の容量を超える | ★★設備の制約 |
水車が処理できる水量には限りがあります——それが最大使用水量。
それを超える水は、発電に使えず放流されます——もったいないが仕方ないのです。
水車を大きくすれば溢水は減りますが、渇水期には遊んでしまいます——設計の折り合い。
★(b)出力係数を求める
有効落差20m
1m³/sあたりの出力を先に出しておくと計算が楽です——あとは流量を掛けるだけ。
167.6kW/(m³/s)という係数——これを使い回します。
★★年間の使用水量を積算する
| 期間 | 使用水量 | 水量の積算 |
| ★0〜200日 | ★★15m³/s一定(溢水期間) | ★★15×200=3000 |
| ★200〜365日 | ★★流量なり(15→6.75へ直線) | ★★(15+6.75)/2×165≒1794 |
| ★合計 | ★★— | ★★約4794 [m³/s·日] |
(b)の答え=19.3GW·h
溢水期間は最大使用水量15m³/s一定——それ以上使えないから。
200日以降は流量なりなので、台形の面積になります。
最後に24時間を掛けて[kW·h]に——日数×24=時間です。
★設備利用率を求めてみる
★非常に高い
87.7%は水力としては高い値です——流量が豊かな河川だから。
選択肢(4)の22.0GW·hはフル稼働の値——溢水を考えない誤答です。
太陽光の設備利用率は12〜15%程度——水力の安定性がわかります。
流込式(自流式)の特徴
| 項目 | 内容 |
| ★調整能力 | ★★なし(流量なりに発電) |
| ★役割 | ★★ベース供給力 |
| ★溢水 | ★★豊水期に発生する |
貯める設備がないので、来た水をそのまま使うしかありません。
だから豊水期には溢水が発生します——本問の200日。
調整池があれば溢水を減らせます——r4kamiki-q13との対比です。
計算の手順をまとめる
| 手順 | やること |
| ★① | ★★流況曲線の式でQ=最大使用水量となる日を求める |
| ★② | ★★それより手前が溢水日数 |
| ★③ | ★★1m³/sあたりの出力=9.8Hηを求める |
| ★④ | ★★溢水期間は最大一定、以降は流量なりで水量を積算 |
| ★⑤ | ★★出力係数×積算水量×24=年間電力量 |
④で面積を求めるのがポイント——長方形+台形です。
最大使用水量をどう決めるか
| 方針 | 結果 |
| ★大きくする | ★★溢水は減るが渇水期に設備が遊ぶ |
| ★小さくする | ★★設備利用率は上がるが溢水が増える |
流況曲線を見ながら、経済的に最適な点を選びます——設計の判断。
本問は200日も溢水しているので、水車を大きくする余地があるとも言えます。
⏱️ 本番での進め方
① 溢水=最大使用水量を超えた分を放流すること。
② 流況曲線は流量が大きい順に365日並べたもの。
③ 溢水期間は最大使用水量一定で発電する。
④ 1m³/sあたりの出力9.8Hηを先に出すと楽。
💡 覚え方
流況曲線の問題=①Q=最大使用水量となる日数を求め、それより手前が溢水日数 ②発電に使う水量は溢水期間は最大使用水量一定、以降は流量なり ③1m³/sあたりの出力=9.8×H×η ④年間電力量=出力係数×積算水量×24。流況曲線は流量が大きい順に並べた曲線で、豊水95日・平水185日・低水275日・渇水355日。
⚠️ よくある間違い
溢水期間も流量なりに計算しない——最大使用水量で頭打ちになる。フル稼働(22.0GW·h)と混同しない。
まとめ
| 溢水条件 | Q>15 → d<200 |
| (a)溢水日数 | 200日 →(3) |
| 総合効率 | 0.90×0.95=0.855 |
| 出力係数 | 9.8×20×0.855≒167.6 kW/(m³/s) |
| 区間1/区間2 | 12.07/7.22 GW·h |
| (b)合計 | ≒19.3 GW·h →(1) |
▼あわせて解きたい関連問題
・流込式水力の設備利用率(電気施設管理-計算3):【法規】令和7年度上期 B問題11
・太陽電池の日負荷曲線(電気施設管理-計算5):【法規】令和7年度上期 B問題13

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