今回は令和7年度上期 法規科目 B問題11、年間流量曲線を使って流込式水力発電所の年間発電電力量と設備利用率を求める問題です。水力発電と施設管理の融合問題です。
ポイントは「使えるのは最大使用水量まで」。河川流量が最大使用水量を超える分は放流され発電に使えません。流量曲線を一定利用の区間と流量なりの区間に分けて電力量を積算します。
令和7年度上期 法規科目 B問題11:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度上期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題11
電験3種 法規科目 【電気施設管理】 令和7年度上期 B問題11
有効落差90m、最大使用水量が渇水量(1年のうち355日は確保できる水量)の2倍、水車及び発電機の総合効率80%の流込式水力発電所がある。
(問題文と年間流量曲線は上の画像を参照してください。d≧90でQ=−0.05d+25.5、水の密度1000kg/m³、g=9.8m/s²。)
有効落差90m、最大使用水量が渇水量(1年のうち355日は確保できる水量)の2倍、水車及び発電機の総合効率80%の流込式水力発電所がある。この発電所が利用している河川の流量Q[m³/s]が図のような年間流量曲線(日数dが90日以上の部分は、Q=−0.05d+25.5で表される。)であるとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし、水の密度を1000kg/m³、重力加速度を9.8m/s²とする。
(a) この発電所の年間可能発電電力量の値[GW·h]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)47.9 (2)72.8 (3)84.3 (4)94.5 (5)97.4 GW·h
(b) この発電所の設備利用率[%]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)50.0 (2)63.0 (3)69.5 (4)75.9 (5)88.0 %


答えは(a)84.3GW·h・(b)88.0%
令和6年度下期 B問題11が同系統です。そちらは溢水日数を求める型でした。
この記事は、渇水量の定義と設備利用率を主軸にします。
★★渇水量から最大使用水量を決める
1年のうち355日は確保できる
問題文の条件
渇水量の定義を知らないと、ここで止まります——355日です。
豊水95日・平水185日・低水275日・渇水355日——4つの日数を覚えます。
最大使用水量を渇水量の2倍に設計するのは実務的な考え方です。
★流況曲線の4つの基準流量
| 名称 | 日数 | 意味 |
| ★豊水量 | ★★95日 | ★★1年で95日はこれ以上ある |
| ★平水量 | ★★185日 | ★★1年の半分以上ある |
| ★低水量 | ★★275日 | ★★— |
| ★渇水量 | ★★355日 | ★★ほぼ1年中確保できる |
95・185・275・275…ではなく355——90日刻みで最後だけ80日です。
渇水量は「最低限これだけは流れる」という保証値——設計の基礎になります。
これらの用語は電力科目でも問われます。
★★溢水する日数を求める
200日目が切替点——それより手前は超過分を放流します。
d<90の部分は式が与えられていませんが、さらに流量が大きい——やはり頭打ちです。
★1m³/sあたりの出力
有効落差90m
ρgHη=9.8×90×0.8=705.6kW/(m³/s)——この係数を使い回します。
最大出力は705.6×15.5≒10937kW——約11MWです。
★★使用水量を積算する
| 期間 | 使用水量 | 積算[m³/s·日] |
| ★0〜200日 | ★★15.5m³/s一定 | ★★15.5×200=3100 |
| ★200〜365日 | ★★15.5→7.25へ直線 | ★★(15.5+7.25)/2×165≒1877 |
| ★合計 | ★★— | ★★約4977 |
(a)の答え=84.3GW·h
200日までは長方形、以降は台形——面積を足すだけです。
最後に24時間を掛けて[kW·h]にします。
★★(b)設備利用率
★選択肢に合わせて確認
設備利用率=実際の発電量÷フル稼働した場合の発電量です。
水力は設備利用率が高い——安定した電源だから。
選択肢の値に合わせて計算方法を確認します。
★設備利用率の比較
| 電源 | 設備利用率の目安 |
| ★流込式水力 | ★★60〜90% |
| ★原子力 | ★★70〜90% |
| ★風力 | ★★20〜30% |
| ★太陽光 | ★★12〜15% |
水力は再エネの中で最も安定しています——だからベース供給力。
太陽光は夜に発電できないので、原理的に上限が低いのです。
この比較は電力科目でも問われます。
最大使用水量の決め方
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 大きくする | ★★大きくする | ★小さくする | ★★溢水は減るが渇水期に設備が遊ぶ/設備利用率は上がるが溢水が増える |
| 設備費が高い | ★★設備費が高い | ★設備費が安い | ★★経済性の判断 |
本問は渇水量の2倍に設定——バランスのとれた設計です。
流況曲線を見ながら最適点を選びます——発電計画の基本。
計算の手順をまとめる
| 手順 | やること |
| ★① | ★★渇水量=Q(355)を求める |
| ★② | ★★最大使用水量を決める |
| ★③ | ★★流量=最大使用水量となる日を求める |
| ★④ | ★★1m³/sあたりの出力=ρgHη |
| ★⑤ | ★★使用水量を積算して×24 |
①の渇水量の定義が出発点——355日を覚えておきます。
⏱️ 本番での進め方
① 渇水量=355日目の流量——豊水95・平水185・低水275。
② P=ρgQHη(ρ=1000、g=9.8)。
③ 最大使用水量を超える流量は放流される。
④ 設備利用率=年間電力量÷(最大出力×24×365)。
💡 覚え方
流込式水力の年間電力量=①渇水量=流況曲線の355日目の流量 ②最大使用水量を決める ③流量が最大使用水量となる日を求め、それより手前は最大使用水量一定、以降は流量なり ④1m³/sあたりの出力=ρgHη ⑤使用水量を積算して×24。豊水95日・平水185日・低水275日・渇水355日。
⚠️ よくある間違い
渇水量は355日目——275日(低水量)と混同しない。最大使用水量を超える分は使えない——放流される。
まとめ
| 最大使用水量 | 2×Q(355)=2×7.75=15.5 m³/s |
| 1m³/s当り出力 | 9.8×90×0.8=705.6 kW |
| 区間1(0〜200日) | 15.5一定 → 52.50 GW·h |
| 区間2(200〜365日) | 平均11.375 → 31.78 GW·h |
| (a)合計 | ≒84.3 GW·h →(3) |
| (b)設備利用率 | 84.3/95.8≒88.0% →(5) |
▼あわせて解きたい関連問題
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