今回は令和7年度下期 法規科目 B問題13、支線に生じる引張荷重を求める計算と、亜鉛めっき鋼より線の必要素線直径を求める問題です。支線計算の王道で、毎年のように出題される頻出パターンです。
解法の核は「柱脚まわりのモーメントつり合い」。電線の水平張力がつくる倒れモーメントを、支線の水平分力が支えます。支線張力は水平分力÷(水平距離/支線長)で求まります。
答えは(a)25.4kN・(b)2.6mm
平成21年度 B問題12・令和3年度 B問題11が同系統です。本問は電線が2条あります。
令和7年度下期 法規科目 B問題13:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題13
電験3種 法規科目 【電気施設管理】 令和7年度下期 B問題13
図のように高圧架空電線と低圧架空電線を併架するA種鉄筋コンクリート柱がある。この電線路の引留箇所において下記の条件で支線を設けるものとする。
(問題文と図は上の画像を参照してください。高圧9kN@10m・低圧4kN@8m、支線は8mから水平6m・支線長10m。)
(ア) 高低圧電線間の離隔距離を2mとし、高圧電線の取り付け高さを10m、低圧電線と支線の取り付け高さをそれぞれ8mとする。
(イ) 高圧電線の水平張力は9kN、低圧電線の水平張力は4kNとし、これらの全荷重を支線で支えるものとする。
(a) 支線に生じる引張荷重[kN]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)13.0 (2)15.3 (3)19.1 (4)25.4 (5)38.1 kN
(b) 「電気設備技術基準の解釈」によれば、支線に亜鉛めっき鋼より線(素線の引張強さ1.23kN/mm²)を使用し、素線本数を7本とする場合、最も小さい素線直径[mm]として適切な値を、次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、支線の安全率を1.5とし、素線のより合わせによる引張荷重の減少係数は無視するものとする。
(1)2.0 (2)2.3 (3)2.6 (4)2.9 (5)3.5 mm


★★(a)倒れモーメントを合計する
取付高さが違うので、力を単純に足してはいけません——モーメントで足す。
9+4=13kNとするのは誤り——選択肢(1)13.0がその誤答です。
高い位置の力ほど、倒す効果が大きい——腕が長いからです。
★★支線の水平分力を求める
★支えモーメント=倒れモーメント
支線の取付高さは8m——低圧電線と同じ高さです。
だから8で割る——10で割ると誤り。
水平分力15.25kNは、電線の合計13kNより大きい——高圧が10mにあるからです。
★支線張力に換算する
√(6²+8²)=10
(a)の答え
水平6m・高さ8mなので支線長10m——3:4:5の三角形です。
水平分力15.25kNを支えるのに25.4kNの張力が必要——10/6=1.67倍。
支線が立っているほど、必要な張力が大きくなります。
★★(b)素線の直径を求める
必要な引張強さ
直近上位は2.6mm
条数ではなく「直径」を求める点が本問の特徴です——7本と決まっている。
断面積から直径に戻すのに √(4A/π) を使います——A=πd²/4の逆。
2.37mmなので、市販品の2.6mmを選びます——切り上げです。
★支線の4本の型を整理する
| 問題 | 特徴 | 解き方 |
| ★平成21年度 | ★★取付高さが違う(10mと8m) | ★★モーメントで釣り合わせる |
| ★令和3年度 | ★★取付高さが同じ(8mと8m) | ★★水平力=電線張力 |
| ★平成27年度 | ★★支線+弛度の総合 | ★★安全率の向きに注意 |
| ★令和7年度下期(本問) | ★★★電線が2条ある | ★★モーメントを足す |
4つとも骨格は同じ「モーメントのつり合い」です。
違うのは、腕が相殺されるか・電線が何条あるか——条件を確認します。
毎年のように出題される最頻出テーマです。
★解釈61条の支線の規定
| 項目 | 基準 |
| ★安全率 | ★★2.5以上 |
| ★許容引張荷重の最低 | ★★10.7kN |
| ★素線の条数 | ★★3条以上 |
| ★素線の直径 | ★★2mm以上(引張強さ0.69kN/mm²以上) |
本問の2.6mmは2mm以上を満たします——条文の要件もクリア。
安全率は問題文の1.5を使いますが、条文の原則は2.5です。
計算結果が条文の基準を満たすかも確認するのが実務です。
併架とは
同じ支持物に高圧と低圧の電線を架けることです——解釈80条。
離隔距離は原則0.5m以上——本問は2mと十分。
低圧を下に、高圧を上に架設する——本問も10mと8mです。
計算の手順をまとめる
| 手順 | やること | 落とし穴 |
| ★① | ★★各電線の(張力×高さ)を足す | ★★★力を単純に足さない |
| ★② | ★★支線の取付高さで割る=水平分力 | ★★支線の高さを使う |
| ★③ | ★★×(支線長/水平距離)=支線張力 | ★★— |
| ★④ | ★★×安全率÷引張強さ÷本数=素線断面積 | ★★— |
| ★⑤ | ★★d=√(4A/π)で直径に戻す | ★★切り上げ |
①が本問の核心——2条の電線をモーメントで合成します。
引留支持物とは
電線路の末端や分岐点で、電線を引き留める支持物です。
片側にしか電線がないので張力が釣り合わず、支線で支えます——本問の場面。
直線部分の途中なら両側の張力が釣り合うので支線は不要です。
⏱️ 本番での進め方
① 電線が複数なら(張力×高さ)を足す——力を足さない。
② 支線の取付高さで割って水平分力を出す。
③ 支線張力=水平分力×(支線長/水平距離)。
④ 素線直径はd=√(4A/π)で断面積から戻す。
💡 覚え方
2条の電線を支える支線の計算=①各電線の(水平張力×取付高さ)を足して倒れモーメントを求める ②支線の取付高さで割って水平分力T_hを出す ③支線張力=T_h×(支線長/水平距離) ④必要な引張強さ=支線張力×安全率 ⑤素線1本の断面積から直径d=√(4A/π)を求めて切り上げる。
⚠️ よくある間違い
電線の張力を単純に足さない——取付高さが違うのでモーメントで合成する。割るのは支線の取付高さ——電線の高さではない。
まとめ
| 倒れモーメント | 9×10+4×8=122 kN·m |
| 支線水平分力 | 122/8=15.25 kN |
| (a)支線張力 | 15.25÷0.6≒25.4 kN →(4) |
| 必要破断荷重 | 1.5×25.4≒38.1 kN |
| 素線1本の断面 | 38.1/1.23/7≒4.43 mm² |
| (b)最小直径 | √(4×4.43/π)≒2.37→2.6 →(3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・支線の張力計算(技術基準の計算):【法規】令和3年度 B問題11
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