今回は令和3年度 法規科目 B問題11、引留支持物の支線に生じる引張荷重と必要な素線条数を求める問題です。支線計算の基本形で、令和7年度下期 B問13(電気施設管理-計算2)と同系統です。
今回は電線と支線の取付高さが同じ8mなので、モーメントの腕が等しく相殺され、支線の水平分力=電線の水平張力とシンプルになります。あとは角度で支線張力に換算します。
令和3年度 法規科目 B問題11:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和3年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題11
電験3種 法規科目 【電気施設管理】 令和3年度 B問題11
図のように既設の高圧架空電線路から、高圧架空電線を高低差なく径間30m延長する。新設支持物を引留支持物とするため支線を電線路の延長方向4mの地点に設ける。電線と支線の取付け高さはともに8m。
(図は上の画像を参照してください。電線の水平張力15kN。)
図のように既設の高圧架空電線路から、高圧架空電線を高低差なく径間30m延長することにした。新設支持物にA種鉄筋コンクリート柱を使用し、引留支持物とするため支線を電線路の延長方向4mの地点に図のように設ける。電線と支線の支持物への取付け高さはともに8mであるとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
(a) 電線の水平張力が15kNであり、その張力を支線で全て支えるものとしたとき、支線に生じる引張荷重の値[kN]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)7 (2)15 (3)30 (4)34 (5)67 kN
(b) 支線の安全率を1.5とした場合、支線の最少素線条数として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、支線の素線には、直径2.9mmの亜鉛めっき鋼より線(引張強さ1.23kN/mm²)を使用し、素線のより合わせによる引張荷重の減少係数は無視するものとする。
(1)3 (2)5 (3)7 (4)9 (5)19 条



答えは(a)34kN・(b)7条
平成21年度 B問題12は取付高さが違う場合です。対比すると理解が深まります。
★★高さが同じなら腕が相殺される
電線8m、支線8mで同じ
支線の水平分力=電線の水平張力
両方とも高さ8mなので、8が両辺で約分されます——だから水平力がそのまま等しい。
これは「水平力の釣り合い」と同じ結果です——特別な場合。
高さが違えば約分できず、モーメントで計算する必要があります——平成21年度がその例。
★★2つのパターンを対比する
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 取付高さが同じ(本問) | ★★取付高さが同じ(本問) | ★取付高さが違う(h21-q12) | ★★水平分力=電線張力/モーメントで釣り合わせる |
| 約分できる | ★★約分できる | ★約分できない | ★★腕の長さが等しいかどうか |
「高さが同じ」と書かれていたら、水平力の釣り合いでよい——計算が楽になる。
問題文の「電線と支線の取付け高さはともに8m」が決め手です。
逆に高さが違えば、必ずモーメントで考える——水平力の等置は誤りになります。
★(a)支線張力に換算する
三平方の定理
★水平距離÷支線長
(a)の答え
支線は斜めなので、水平方向に効くのは一部だけです——だから張力は水平力より大きい。
15kNを支えるのに34kNの張力が必要——2倍以上です。
支線を寝かせるほど(水平距離を長くするほど)効率がよくなります。
★支線の角度と効率
| 水平距離 | 支線長 | 必要な張力 |
| ★4m(本問) | ★★8.94m | ★★34kN |
| ★6m | ★★10.0m | ★★25kN |
| ★8m | ★★11.3m | ★★21kN |
水平距離が長いほど、必要な張力は小さくなります——効率がよい。
ただし用地が必要になります——現場の制約との折り合い。
本問の4mは短めなので、大きな張力が要るのです。
★★(b)素線の条数を求める
必要な引張強さ
(b)の答え
減少係数を無視するという条件です——問題文で指定。
6.28条なので7条——より線は3・7・19という構成だから7条は自然です。
6条では足りません——必ず切り上げる。
★安全率は掛ける
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 必要な引張強さ | ★★必要な引張強さ | ★許容引張荷重 | ★★張力×安全率/引張強さ÷安全率 |
| 素線を選ぶとき | ★★素線を選ぶとき | ★電線の弛度を計算するとき | ★★向きが逆に見えるが同じこと |
安全率=引張強さ÷実際の張力という定義です。
張力から必要な強さを求めるなら掛ける——強さから許容張力を求めるなら割る。
定義から導けば、掛けるか割るかは迷いません。
解釈61条の支線の規定
| 項目 | 基準 |
| ★安全率 | ★★2.5以上 |
| ★許容引張荷重の最低 | ★★10.7kN |
| ★素線の条数 | ★★3条以上 |
| ★素線の直径 | ★★2mm以上(引張強さ0.69kN/mm²以上) |
条文の原則は安全率2.5ですが、本問は1.5と指定されています——問題文に従う。
2.5/10.7/3条/2mmという4つの数値はセットで覚えます。
引留支持物とは
電線路の末端で、電線を引き留める支持物です。
片側にしか電線がないので、その張力を支線で支える必要があります——本問の場面。
途中の支持物なら両側の張力が釣り合うので支線は不要——直線部分です。
計算の手順をまとめる
| 手順 | やること | 落とし穴 |
| ★① | ★★取付高さが同じか確認する | ★★★違えばモーメント |
| ★② | ★★支線長を三平方で求める | ★★— |
| ★③ | ★★水平力÷(水平距離/支線長)=支線張力 | ★★比の向き |
| ★④ | ★★×安全率=必要な引張強さ | ★★掛ける |
| ★⑤ | ★★÷素線1本の強さ、切り上げ | ★★切り上げ |
①の確認が最初にすべきこと——問題によって計算が変わるからです。
支線を設ける場所
支線は電線と反対側に設けます——引っ張られる向きと逆に支えるから。
本問では「電線路の延長方向4mの地点」——延長する側とは反対に張るのです。
図の向きを読み違えないことも大切です。
⏱️ 本番での進め方
① 取付高さが同じなら水平分力=電線の水平張力。
② 高さが違えばモーメントで釣り合わせる。
③ 支線張力=水平力×(支線長/水平距離)。
④ 必要な引張強さ=支線張力×安全率、条数は切り上げ。
💡 覚え方
支線の計算=①根元まわりのモーメントの釣り合いで考える ②電線と支線の取付高さが同じなら腕が相殺され「支線の水平分力=電線の水平張力」 ③支線張力=水平分力×(支線長/水平距離) ④必要な引張強さ=支線張力×安全率 ⑤条数=必要な強さ÷素線1本の引張強さ(切り上げ)。
⚠️ よくある間違い
取付高さが違う場合は水平力を等置してはいけない——モーメントで釣り合わせる。安全率は掛ける(必要な強さを求めるとき)。
まとめ
| 水平分力T_h | 15kN(取付高さ同じで相殺) |
| 支線長 | √(8²+4²)=√80≒8.94 m |
| (a)支線張力 | 15×8.94/4≒33.5→34 kN →(4) |
| 必要破断荷重 | 1.5×33.5≒50.3 kN |
| 素線1本 | 1.23×(π×2.9²/4)≒8.12 kN |
| (b)条数 | 50.3/8.12≒6.19→7条 →(3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・支線の引張荷重と素線直径(電気施設管理-計算2):【法規】令和7年度下期 B問題13
・支線の張力計算(技術基準の計算):【法規】技術基準の計算

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