今回は令和3年度 法規科目 B問題13、複数需要家の総需要電力量と、不等率を使った変電所の総合負荷率を求める問題です。需要率・負荷率・不等率の3つを一度に使う総まとめ問題です。
ポイントは各率の定義。最大需要=設備容量×需要率、需要電力量=最大需要×負荷率×時間、合成最大需要=各最大需要の和÷不等率——ここで不等率が効いてきます。
令和3年度 法規科目 B問題13:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和3年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題13
電験3種 法規科目 【電気施設管理】 令和3年度 B問題13
需要家A〜Cにのみ電力を供給している変電所がある。各需要家の設備容量・需要率・負荷率と、A〜Cの不等率(1.25)を表に示す。次の(a)及び(b)の問に答えよ。
(表は上の画像を参照してください。A:800kW/55%/50%、B:500kW/60%/70%、C:600kW/70%/60%。)
需要家A〜Cにのみ電力を供給している変電所がある。各需要家の設備容量と、ある1日(0〜24時)の需要率、負荷率及び需要家A〜Cの不等率を表に示す値とする(A:設備容量800kW・需要率55%・負荷率50%、B:500kW・60%・70%、C:600kW・70%・60%、不等率1.25)。表の記載に基づき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
(a) 3需要家A〜Cの1日の需要電力量を合計した総需要電力量の値[kW·h]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)10480 (2)16370 (3)20460 (4)26650 (5)27840 kW·h
(b) 変電所から見た総合負荷率の値[%]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、送電損失、需要家受電設備損失は無視するものとする。
(1)42 (2)59 (3)62 (4)73 (5)80 %



答えは(a)16370kW·h・(b)73%
平成20年度 B問題12が同系統です。そちらは力率の換算から始まります。
この記事は、電力量の集計を主軸にします。
★★(a)需要家ごとに計算する
| 需要家 | 設備容量 | 需要率 | 最大需要 | 負荷率 | 電力量 |
| ★A | ★★800kW | ★★55% | ★★440kW | ★★50% | ★★5280kW·h |
| ★B | ★★500kW | ★★60% | ★★300kW | ★★70% | ★★5040kW·h |
| ★C | ★★600kW | ★★70% | ★★420kW | ★★60% | ★★6048kW·h |
設備容量×需要率×負荷率×24
(a)の答え
設備容量×需要率×負荷率×24で一気に計算できます——1本の式にまとめられる。
電力量は単純に足してよい——時刻に関係しないからです。
不等率は(a)では使いません——電力量の合計には関係ないのです。
★★なぜ電力量は単純に足せるのか
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 電力量[kW·h] | ★★電力量[kW·h] | ★最大需要電力[kW] | ★★1日の総量/ある瞬間の値 |
| 単純に足せる | ★★単純に足せる | ★不等率が必要 | ★★時刻に依存するかどうか |
電力量は「1日で使った総量」なので、時刻は関係ありません——だから足すだけ。
最大需要は「同時に最大になるか」が問題——だから不等率が要るのです。
この違いが(a)と(b)の解き方を分けます。
★(b)合成最大需要電力を求める
ピークがずれる効果
不等率1.25で割ると928kW——総和1160kWより小さい。
掛けると1450kWとなり、明らかにおかしい——向きの検算ができます。
変電所の設備はこの928kWに合わせて設計します。
★総合負荷率を求める
(b)の答え≒73%
分母は合成最大928kW——各最大の和1160kWではありません。
1160で割ると58.8%となり、選択肢(2)59%——用意された誤答です。
「変電所から見た」なので、変電所が経験する最大で割るのです。
★★誤答選択肢を解剖する
| 選択肢 | 値 | どこから来たか |
| ★(1)42% | ★★682/1620 | ★★総設備容量1900で割った類 |
| ★(2)59% | ★★682/1160 | ★★★不等率で割り忘れた |
| ★(3)62% | ★★— | ★★撹乱用 |
| ★(4)73% | ★★682/928 | ★★正しい |
| ★(5)80% | ★★— | ★★撹乱用 |
(2)59%が最も紛らわしい誤答です——不等率を使い忘れた場合。
(b)で不等率が効いてくる——(a)では使わないので忘れやすいのです。
問題の設計が巧妙です。
★3つの率の役割分担
| 率 | 何を求めるときに使うか |
| ★需要率 | ★★設備容量から最大需要電力を出す |
| ★負荷率 | ★★最大需要から平均需要(→電力量)を出す |
| ★不等率 | ★★★各最大の和から合成最大を出す |
3つとも使う場面が違います——順番に適用する。
需要率→負荷率→不等率という流れ——個別から全体へです。
この順序を覚えておくと、複雑な問題でも迷いません。
設備容量の合計との比較
設備容量1900kWに対し、変電所が経験する最大は928kWです——約半分。
需要率と不等率の両方が効いて、設備を小さくできるのです。
これが電力設備の設計の考え方です。
計算の手順をまとめる
| 手順 | やること | 落とし穴 |
| ★① | ★★各需要家の最大需要=設備容量×需要率 | ★★— |
| ★② | ★★電力量=最大需要×負荷率×24 | ★★単純に足せる |
| ★③ | ★★合成最大=各最大の和÷不等率 | ★★★割る(掛けない) |
| ★④ | ★★総合負荷率=総電力量/24÷合成最大 | ★★★分母は合成最大 |
③と④で不等率が効いてきます——(a)だけ解いて満足しないこと。
変電所の設備をどう決めるか
| 段階 | 値 |
| ★各需要家の最大需要の和 | ★★1160kW |
| ★合成最大需要電力 | ★★928kW |
| ★節約できる容量 | ★★232kW分 |
不等率を見込めば、変電所を232kW分小さくできます——投資の節約。
ただし見込みすぎると容量不足になるので、実績に基づく値を使います。
⏱️ 本番での進め方
① 電力量=設備容量×需要率×負荷率×24で一気に。
② 電力量は単純に足せる——時刻に依存しない。
③ 合成最大=各最大の和÷不等率。
④ 総合負荷率の分母は合成最大——各最大の和ではない。
💡 覚え方
需要率・負荷率・不等率の総合問題=①各需要家の最大需要電力=設備容量×需要率 ②需要電力量=最大需要×負荷率×24(単純に足せる)③合成最大需要電力=各最大需要の総和÷不等率 ④総合負荷率=合成平均需要電力÷合成最大需要電力。
⚠️ よくある間違い
総合負荷率の分母に「各最大の和」を使わない——不等率で割った合成最大を使う。電力量の計算に不等率は不要。
まとめ
| A最大/電力量 | 440kW/5280kW·h |
| B最大/電力量 | 300kW/5040kW·h |
| C最大/電力量 | 420kW/6048kW·h |
| (a)総需要電力量 | 16368≒16370 kW·h →(2) |
| 合成最大需要 | 1160/1.25=928 kW |
| (b)総合負荷率 | (16368/24)/928≒73% →(4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・需要率から変圧器台数(電気施設管理-計算16):【法規】令和4年度上期 B問題12
・需要率・不等率・負荷率の式(電気施設管理21):【法規】平成18年度 A問題10

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