今回は平成23年度 法規科目 B問題11、単相変圧器の全日効率と日負荷率を求める計算問題です。鉄損と銅損の積算方法、そして負荷率の考え方を組み合わせる基本問題です。
核心は「鉄損は24時間一定、銅損は負荷率の2乗に比例」。負荷率は皮相電力/定格容量で求め、各時間帯の銅損を積算します。全日効率=出力/(出力+損失)です。
平成23年度 法規科目 B問題11:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成23年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題11
電験3種 法規科目 【電気施設管理】 平成23年度 B問題11
定格容量30kV·A、鉄損90W、全負荷銅損550Wの単相変圧器がある。ある1日の負荷は、24kW(力率80%)4時間、15kW(力率90%)8時間、10kW(力率100%)6時間、無負荷6時間であった。次の(a)及び(b)に答えよ。
ある需要家設備において定格容量30kV·A、鉄損90W及び全負荷銅損550Wの単相変圧器が設置してある。ある1日の負荷は、24kW(力率80%)で4時間、15kW(力率90%)で8時間、10kW(力率100%)で6時間、無負荷で6時間であった。この日の変圧器に関して、次の(a)及び(b)に答えよ。
(a) この変圧器の全日効率[%]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)から一つ選べ。
(1)97.4 (2)97.6 (3)97.8 (4)98.0 (5)98.2 %
(b) この変圧器の日負荷率[%]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)から一つ選べ。
(1)38 (2)48 (3)61 (4)69 (5)77 %

答えは(a)97.8%・(b)48%
平成19年度 B問題12が同系統です。そちらは力率100%で換算が不要でした。
この記事は、皮相電力への換算を主軸にします。
★★なぜ皮相電力に換算するのか
有効電力ではない
だから負荷率は皮相で計算する
巻線を流れる電流は、力率に関係なく皮相電力で決まります——I=S/V。
だから銅損の計算には皮相電力を使う——[kW]のままでは誤りです。
これが本問と平成19年度の違い——あちらは力率100%で換算不要でした。
★★各時間帯を皮相電力に換算する
| 負荷 | 力率 | 皮相電力 | 負荷率 |
| ★24kW | ★★0.80 | ★★30kV·A | ★★1.00 |
| ★15kW | ★★0.90 | ★★16.7kV·A | ★★0.556 |
| ★10kW | ★★1.00 | ★★10kV·A | ★★0.333 |
| ★無負荷 | ★★— | ★★0 | ★★0 |
24kW÷0.80=30kV·Aで、定格容量30kV·Aちょうど——負荷率1.00です。
24kWのまま負荷率を計算すると24/30=0.8となり誤り——銅損が0.64倍になってしまいます。
力率が低いほど、同じ[kW]でも負荷率が高くなるのです。
★(a)銅損電力量を積算する
無負荷の6時間は0
無負荷の時間は銅損ゼロ——電流が流れないからです。
しかし鉄損は無負荷でも生じます——ここが2つの損失の決定的な違い。
★鉄損を足して全日効率
★無負荷の6時間も含む
★こちらは[kW]
(a)の答え
出力電力量は有効電力[kW]で計算します——仕事をするのは有効電力だから。
銅損は皮相、出力は有効——使い分けが本問の核心です。
無負荷の6時間は出力ゼロだが鉄損は発生——効率を下げる要因です。
★★(b)日負荷率を求める
★有効電力の最大値
(b)の答え
負荷率は有効電力[kW]で計算します——皮相ではありません。
最大は24kW(30kV·Aではない)——単位を確認します。
48%は低い値——無負荷の時間が6時間もあるからです。
★[kW]と[kV·A]の使い分け(本問の要)
| 計算 | 使う単位 | 理由 |
| ★銅損(負荷率) | ★★[kV·A] | ★★★電流で決まる |
| ★出力電力量 | ★★[kW] | ★★仕事をするのは有効電力 |
| ★日負荷率 | ★★[kW] | ★★需要の指標 |
1つの問題の中で、単位を使い分ける必要があります——ここが難所。
「何が原因でその量が決まるか」で判断します——銅損は電流、出力は仕事。
鉄損と銅損の性質
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 鉄損(無負荷損) | ★★鉄損(無負荷損) | ★銅損(負荷損) | ★★電圧で決まり24時間一定/負荷率の2乗に比例 |
| 無負荷でも発生 | ★★無負荷でも発生 | ★無負荷ならゼロ | ★★本問の6時間で差が出る |
無負荷の時間があると、鉄損だけが積み上がります——効率が下がる。
だから使わない変圧器は開放しておくのが省エネ——稼働台数の調整につながります。
最大効率の条件
約40.5%
本問の変圧器は負荷率40.5%で最高効率になります。
実際の負荷(0〜100%)はその前後に分布しています。
鉄損が小さい設計なので、軽負荷でも効率がよいのです。
⏱️ 本番での進め方
① 負荷が[kW]と力率ならまず皮相電力に換算する。
② 銅損の負荷率は皮相電力÷定格容量。
③ 出力電力量と日負荷率は有効電力[kW]で計算。
④ 無負荷でも鉄損は発生する。
💡 覚え方
変圧器の全日効率(負荷が[kW]と力率で与えられる場合)=①各時間帯の負荷を皮相電力S=P/cosθに換算 ②負荷率=S/定格容量 ③銅損=全負荷銅損×負荷率²を時間帯ごとに積算 ④鉄損は24時間一定 ⑤全日効率=出力電力量[kW·h]÷(出力+損失)。日負荷率は有効電力で計算。
⚠️ よくある間違い
[kW]のまま負荷率を計算しない——銅損は皮相電力で決まるので必ず換算する。無負荷でも鉄損は発生する。
まとめ
| 出力電力量 | 24×4+15×8+10×6=276 kWh |
| 鉄損電力量 | 90×24=2.16 kWh |
| 銅損電力量 | Σ550×負荷率²×時間≒3.92 kWh |
| (a)全日効率 | 276/(276+6.08)≒97.8% →(3) |
| 最大/平均需要 | 24kW/11.5kW |
| (b)日負荷率 | 11.5/24≒48% →(2) |
▼あわせて解きたい関連問題
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