今回は平成30年度 法規科目 B問題13、太陽電池発電所を連系した需要家の変圧器の損失電力量と全日効率を求める問題です。変圧器を実際に流れる電力の考え方がカギになります。
核心は「変圧器を流れるのは(需要家負荷−太陽電池発電)」。太陽電池は変圧器の負荷側にあるので、変圧器が配電線から取り込むのは差分だけ。鉄損は常時一定、銅損は負荷率の2乗に比例します。
答えは(a)11.8kW·h・(b)98.7%
分散型電源の普及を反映した現代的な出題です。
平成30年度 法規科目 B問題13:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成30年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題13
電験3種 法規科目 【電気施設管理】 平成30年度 B問題13
ある需要家では、定格容量300kV·A、鉄損430W、全負荷銅損2800Wの変圧器を介して受電し、変圧器の負荷側に出力150kWの太陽電池発電所を連系している。日負荷曲線(図2)と発電出力曲線(図3)から、次の(a)及び(b)に答えよ。
(図2・図3は上の画像を参照してください。負荷力率・運転力率とも100%。)
ある需要家では、図1に示すように定格容量300kV·A、定格電圧における鉄損430W及び全負荷銅損2800Wの変圧器を介して配電線路から定格電圧で受電し、需要家負荷に電力を供給している。この需要家には出力150kWの太陽電池発電所が設置され、図1に示す位置(変圧器の負荷側)で連系されている。ある日の需要家負荷の日負荷曲線が図2、太陽電池発電所の発電出力曲線が図3であるとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし、負荷力率100%、運転力率100%とし、鉄損・銅損以外の変圧器の損失及び需要家構内の線路損失は無視する。
(a) 変圧器の1日の損失電力量の値[kW·h]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)10.3 (2)11.8 (3)13.2 (4)16.3 (5)24.4 kW·h
(b) 変圧器の全日効率の値[%]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)97.5 (2)97.8 (3)98.7 (4)99.0 (5)99.4 %





★★変圧器を流れる電力を確定する
太陽電池は負荷側にあるから
太陽電池が発電した分だけ、配電線から取り込む量が減ります——自家消費。
だから変圧器の負担も減る——損失も減るのです。
負荷曲線の値をそのまま使うと誤り——必ず発電を引く。
★2時間ごとに差分を計算する
| 時間帯 | 負荷 | 発電 | 変圧器の電力 |
| ★0〜6時 | ★★20kW | ★★0 | ★★20kW |
| ★8〜10時 | ★★100kW程度 | ★★60kW程度 | ★★40kW |
| ★12時前後 | ★★200kW程度 | ★★120kW程度 | ★★80kW |
| ★18〜24時 | ★★20〜40kW | ★★0 | ★★20〜40kW |
2時間ごとの値を読み取り、差を取ります——P_t=20,20,20,40,40,60,80,80,20,40,20,20kW。
昼間は発電があるので、変圧器の負担が小さくなります。
力率100%なので[kW]=[kV·A]——換算不要です。
★★銅損を積算する
負荷率の2乗に比例
負荷率が小さいので銅損も小さい——最大でも80/300≒0.267。
0.267²=0.071なので、銅損は全負荷の7%程度——2乗で効く。
時間帯ごとに2乗してから足す——平均で計算してはいけません。
★鉄損を足す
(a)の答え
鉄損が10.3kW·hと圧倒的に大きい——銅損の7倍。
負荷率が低いので、鉄損が支配的になるのです。
選択肢(1)10.3は鉄損だけ——銅損を忘れた誤答です。
★★(b)出力電力量は何か
(b)の答え
出力は「変圧器を通った電力量」です——需要家負荷の総量ではない。
太陽電池から直接供給された分は、変圧器を通っていません——だから含めないのです。
ここが本問の最も紛らわしいところです。
★★連系位置で計算が変わる
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 変圧器の負荷側(本問) | ★★変圧器の負荷側(本問) | ★変圧器の電源側 | ★★変圧器を流れるのは差分/発電も変圧器を通る |
| 変圧器の負担が減る | ★★変圧器の負担が減る | ★変圧器の負担は変わらない | ★★損失も変わる |
図1で連系位置が示されています——必ず確認。
負荷側なら発電分だけ変圧器の負担が減ります——これが本問。
電源側なら、発電も変圧器を通ることになります——計算がまったく変わるのです。
★逆潮流は発生するか
★だから逆潮流はない
変圧器の電力P_tが常に正です——すべて自家消費。
もし発電が負荷を上回れば、系統へ逆潮流します——その場合も差分の絶対値で銅損を計算。
本問はその心配がない設定です。
太陽電池を連系する効果
| 効果 | 内容 |
| ★買電量の削減 | ★★自家消費した分だけ電気代が減る |
| ★変圧器損失の削減 | ★★負荷率が下がり銅損が減る(本問) |
| ★ピークカット | ★★昼のピーク時に発電するので契約電力を下げられる |
変圧器の損失まで減るのが副次的な効果です。
ただし鉄損は変わりません——電圧が加わっている限り。
だから全日効率は高くなるが、絶対的な損失削減は限定的です。
鉄損と銅損の割合が変わる
| 太陽電池なし | 太陽電池あり(本問) | |
| ★変圧器の負荷 | ★★大きい | ★★小さくなる |
| ★銅損 | ★★大きい | ★★★2乗で小さくなる |
| ★鉄損 | ★★一定 | ★★変わらない |
太陽電池を入れると銅損は大きく減りますが、鉄損は変わりません。
だから損失に占める鉄損の割合が増えます——本問では10.3対1.5。
軽負荷では鉄損が支配的——トップランナー変圧器が鉄損低減を重視する理由です。
力率100%という条件
負荷力率も運転力率も100%と指定されています——だから[kW]=[kV·A]。
力率が100%でなければ、皮相電力に換算してから負荷率を出します——銅損は電流で決まるから。
本問はその手間が省ける設定です。
⏱️ 本番での進め方
① 変圧器を流れるのは(負荷−発電)——連系位置を確認。
② 出力電力量も変圧器を通った分だけ。
③ 鉄損は24時間一定——負荷率に関係しない。
④ 銅損は時間帯ごとに2乗して積算する。
💡 覚え方
太陽電池を変圧器の負荷側に連系した場合=変圧器を流れる電力は(需要家負荷−太陽電池発電)の差分だけ。損失は鉄損(24時間一定)+銅損(全負荷銅損×負荷率²を時間帯ごとに積算)。全日効率=変圧器を通った出力電力量÷(出力+損失)。
⚠️ よくある間違い
需要家負荷をそのまま使わない——発電分を引く。出力電力量も変圧器を通った分だけ——太陽電池から直接供給された分は含めない。
まとめ
| 変圧器電力P_t | |負荷−発電|(20〜80kW) |
| 鉄損電力量 | 430×24=10.32 kW·h |
| 銅損電力量 | Σ2800×(P_t/300)²×2≒1.47 kW·h |
| (a)損失合計 | ≒11.8 kW·h →(2) |
| 出力電力量 | ΣP_t×2=920 kW·h |
| (b)全日効率 | 920/(920+11.8)≒98.7% →(3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・トップランナー変圧器更新の損失(電気施設管理-計算13):【法規】令和4年度下期 B問題12
・太陽電池の日負荷曲線(電気施設管理-計算5):【法規】令和7年度上期 B問題13

コメント