今回は令和7年度下期 法規科目 A問題6、高圧屋側電線路の施設(電気設備技術基準の解釈第111条)に関する空欄補充問題です。屋側電線路の施設条件を条文どおりに押さえられるかが問われます。
覚えるのは3点。①展開した場所に施設、②電線はケーブル、③ケーブルの支持点間距離は2m以下(垂直に取り付ける場合は6m以下)。低圧の屋側電線路より厳しい条件です。
令和7年度下期 法規科目 A問題6:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題6
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 令和7年度下期 A問題6
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における、高圧屋側電線路を施設する場合の記述の一部である。上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における、高圧屋側電線路を施設する場合の記述の一部である。高圧屋側電線路は、次により施設すること。
a)(ア)場所に施設すること。
b)電線は、(イ)であること。
c)(イ)には、接触防護措置を施すこと。
d)(イ)を造営材の側面又は下面に沿って取り付ける場合は、(イ)の支持点間の距離を(ウ)m(垂直に取り付ける場合は、(エ)m)以下とし、かつ、その被覆を損傷しないように取り付けること。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 点検できる隠蔽 ケーブル 1.5 5 (2) 展開した ケーブル 2 6 (3) 展開した 絶縁電線 2.5 6 (4) 点検できる隠蔽 絶縁電線 1.5 4 (5) 展開した ケーブル 2 10

答えは(2):展開した場所・ケーブル・2m・6m
屋側電線路とは、建物の外壁に沿わせる電線路のことです——屋外だが架空ではない、という位置づけです。
★低圧屋側電線路と比べる
| 低圧(110条) | 高圧(111条) | |
| ★場所 | ★★展開した場所/点検できる隠蔽場所 | ★★展開した場所のみ |
| ★電線 | ★★がいし引き・合成樹脂管・金属管・ケーブル等 | ★★ケーブルのみ |
| ★接触防護 | ★★工事種別による | ★★必ず施す |
電圧が上がるほど選択肢が狭まる——これは解釈全体を貫く考え方です。
高圧は「見える場所にケーブルで」しか認められません——隠れた場所で事故が起きたら気づけないからです。
★「展開した場所」とは何か
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 展開した場所 | ★★展開した場所 | ★点検できる隠蔽場所 | ★★外から見える/点検口を開ければ見える |
| 点検できる隠蔽場所 | ★★点検できる隠蔽場所 | ★点検できない隠蔽場所 | ★★天井裏など/壁の中など |
展開した場所=ふだんから電線が見えている場所です——外壁に露出した配管やケーブルがこれにあたります。
点検できる隠蔽場所は、点検口から入れる天井裏など——高圧ではここも認められません。
3段階の区別は、解釈のあちこちで使われます——ここで正確に覚えておくと後が楽です。
★支持点間2mと垂直6mの違い
| 取り付け方 | 支持点間距離 | 理由 |
| ★側面・下面に沿う(水平) | ★★2m以下 | ★★自重でたわみ、被覆が伸びる |
| ★垂直に取り付ける | ★★6m以下 | ★★自重が長手方向にかかり、たわまない |
水平に張ると、ケーブルは中央で垂れ下がります——被覆が引っ張られ、支持点に応力が集中します。
垂直なら自重は真下に向かうだけ——だから3倍の6mまで緩和されます。
数字の理由がわかれば、2mと6mを逆にする間違いは起きません。
★接触防護措置とは
| 方法 | 内容 |
| ★高さで防ぐ | ★★屋内2.3m以上/屋外2.5m以上に施設する |
| ★覆いで防ぐ | ★★人が接近しても触れないよう、さく・へい・防護具を設ける |
「簡易接触防護措置」はこれより低く、屋内1.8m以上/屋外2m以上です。
接触防護と簡易接触防護の高さの違いは頻出——2.3/2.5と1.8/2.0を対で覚えます。
屋側・屋内・架空・地中——電線路の4分類
| 種類 | どこを通るか |
| ★架空電線路 | ★★支持物で空中に張る |
| ★地中電線路 | ★★地中に埋設する |
| ★屋側電線路 | ★★造営物の外壁に沿わせる |
| ★屋上電線路 | ★★造営物の屋上に施設する |
それぞれに条文が用意されています——問題文の1行目でどれの話かを見極めるのが第一歩です。
屋側と屋上は混同しやすい——「側」は壁、「上」は屋根と押さえます。
なぜ高圧はケーブルに限られるのか
高圧絶縁電線は、被覆はあっても遮へい層がありません——表面には電位が現れます。
ケーブルは遮へい層を接地するので、外側は大地電位になります——触れても感電しない構造です。
建物の壁沿いは人が近づく場所——だからケーブルでなければ許されないのです。
高圧ケーブルの構造
| 層 | 役割 |
| ★導体 | ★★電流を流す |
| ★内部半導電層 | ★★導体表面の電界集中をならす |
| ★絶縁体(架橋ポリエチレン) | ★★電圧を保つ |
| ★外部半導電層・遮へい層 | ★★電界を内側に閉じ込め、接地する |
| ★シース | ★★機械的・化学的に守る |
遮へい層があるから、外に電界が漏れません——これが絶縁電線との決定的な違いです。
屋側電線路が使われる場面
受電設備が建物の裏手にあり、引込点から離れている場合などに使います。
敷地内で建物から建物へ渡す場合も屋側+架空——工場やビルでよく見られます。
外壁に沿うので、雨・紫外線・鳥害にさらされます——支持と被覆の保護が条文で重視される理由です。
「被覆を損傷しないように」の意味
支持具で強く締めすぎると、被覆が食い込んで傷みます——そこから水が入れば水トリーの起点になります。
だから専用のサドルやクリートを使い、曲げ半径も規定以上に保ちます。
条文の末尾に付いた一言にも、実務上の意味があります。
低圧屋側電線路の工事種別
| 工事 | 施設できる場所 |
| ★がいし引き工事 | ★★展開した場所に限る |
| ★合成樹脂管工事 | ★★展開した場所・点検できる隠蔽場所 |
| ★金属管工事 | ★★木造以外の造営物に施設する場合 |
| ★ケーブル工事 | ★★制限なし |
低圧は工事の種類が豊富で、それぞれに条件がつきます——高圧がケーブル一択なのと対照的です。
木造かどうかで金属管が使えるかが変わる——雷や地絡時に金属管が発熱するためです。
屋上電線路との違い
| 屋側電線路 | 屋上電線路 | |
| ★場所 | ★★造営物の外壁 | ★★造営物の屋上 |
| ★高圧の電線 | ★★ケーブル | ★★ケーブル |
| ★造営材との離隔 | ★★接触防護措置 | ★★造営材から1m以上(高圧) |
「側」は壁、「上」は屋根——問題文の1語で条文が変わります。
屋上は人が歩く可能性があるので、離隔がより重視されます。
引込線と連接引込線
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 引込線 | ★★引込線 | ★連接引込線 | ★★電柱から1軒目/1軒目から2軒目へ渡す |
| 架空引込線 | ★★架空引込線 | ★引込口配線 | ★★屋外/引込口から屋内へ |
連接引込線は、需要場所の引込線から分岐して他の需要場所に至る電線です。
高圧・特別高圧では連接引込線は施設できません——責任分界が曖昧になるからです。
屋側電線路と引込線は、どちらも建物まわりの電線——定義の違いを押さえておきます。
⏱️ 本番での進め方
① 高圧屋側は展開した場所のみ——隠蔽場所は不可。
② 電線はケーブルのみ——絶縁電線は不可。
③ 支持点間は水平2m・垂直6m——たわみで考えれば逆にならない。
④ 接触防護措置が必須。
💡 覚え方
解釈111条=高圧屋側電線路は①展開した場所に施設 ②電線はケーブル ③接触防護措置を施す ④造営材の側面・下面に沿う場合の支持点間距離は2m以下(垂直は6m以下)で被覆を損傷しないように取り付ける。
⚠️ よくある間違い
「点検できる隠蔽場所」は不可——高圧は展開した場所のみ。「絶縁電線」は不可——ケーブルのみ。2mと6mを逆にしない——垂直のほうが緩い。
まとめ
| (ア) | 展開した(場所) |
| (イ) | ケーブル |
| 接触防護 | ケーブルに施す |
| (ウ)支持点間 | 2m以下(側面・下面) |
| (エ)垂直 | 6m以下 |
| 答え | (2) |
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