電気設備技術基準の解釈3【電験3種 法規】IEC取り入れは接地工事で整合・非接地式で2Ω=(5) 令和7年度下期 A問題7 完全解説

電験3種 法規科目 電気設備技術基準の解釈 令和7年度下期 A問題7 国際規格を取り入れた条文!接地の整合がテーマ

今回は令和7年度下期 法規科目 A問題7国際規格IEC60364の取り入れ(電気設備技術基準の解釈第218条)に関する空欄補充問題です。従来方式とIEC関連規定の混用条件を条文どおりに押さえます。

ポイントは「原則は混用禁止、例外の条件」。事業者設備との整合は接地工事、混用が許される例外は変圧器が非接地式高圧電路に接続され、低圧回路の接地抵抗値が2Ω以下のときです。

目次

答えは(5):接地工事・非接地式・2Ω

電気設備技術基準の解釈 第218条(IEC 60364規格の適用)

a IEC関連規定により施設する場合において、一般送配電事業者等の電気設備と直接に接続する場合は、これらの事業者の低圧の電気の供給に係る設備の接地工事の施設と整合がとれていること。/b 同一の電気使用場所においては、IEC関連規定と従来方式とを混用して低圧の電気設備を施設しないこと。ただし次のいずれかに該当する場合を除く。/①変圧器が非接地式高圧電路に接続されている場合において、当該変圧器の低圧回路に施す接地抵抗値が2Ω以下であるとき/②第18条第1項(工作物の金属体を利用した接地工事)の規定により接地工事を施すとき

国際規格を国内の解釈に取り込むための、特別な章です。

解釈は第3条〜第217条が従来方式、第218条以降がIEC関連規定という構造になっています。

令和7年度下期 法規科目 A問題7:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 令和7年度下期 A問題7 問題文
令和7年度下期 法規科目 A問題7 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題7

電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 令和7年度下期 A問題7

 次の文章は、電気設備の技術基準の解釈に基づく国際規格(IEC60364)の取り入れに関する記述である。上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

次の文章は、電気設備の技術基準の解釈に基づく国際規格の取り入れに関する記述である。需要場所に施設する低圧で使用する電気設備を、「電気設備技術基準の解釈」の第3条から第217条までの規定(従来方式)によらず、IEC60364規格の規定(IEC関連規定)により施設する場合は次により施設すること。

a)IEC関連規定により施設する場合において、一般送配電事業者等の電気設備と直接に接続する場合は、これらの事業者の低圧の電気の供給に係る設備の(ア)の施設と整合がとれていること。

b)同一の電気使用場所においては、IEC関連規定と従来方式とを混用して低圧の電気設備を施設しないこと。ただし、次のいずれかに該当する場合はこの限りでない。

① 変圧器(IEC関連規定に基づき施設する設備と従来方式に基づき施設する設備が異なる変圧器に接続されている場合はそれぞれの変圧器)が(イ)高圧電路に接続されている場合において、当該変圧器の低圧回路に施す接地抵抗値が(ウ)Ω以下であるとき

② 「電気設備技術基準の解釈」第18条第1項(工作物の金属体を利用した接地工事)の規定により、IEC関連規定に基づき施設する設備及び従来方式に基づき施設する設備の接地工事を施すとき

(ア)(イ)(ウ)
(1)接地工事接地式0.2
(2)地絡保護接地式10
(3)接地工事非接地式0.2
(4)地絡保護非接地式2
(5)接地工事非接地式2
答え(ア)接地工事・(イ)非接地式・(ウ)2 = (5)

★IEC 60364とは

国際電気標準会議(IEC)が定めた、建築電気設備の国際規格です。

欧州を中心に世界で広く採用されています——日本の技術基準とは接地の考え方が違うのです。

外資系の工場や、輸出向け設備で必要になる場面がある——だから解釈に取り込まれました

★接地方式の違いが混用を難しくする

方式内容
★TN方式★★電源側で接地し、機器の外箱を保護導体で電源の接地点に接続
★TT方式★★電源側と機器側をそれぞれ独立に接地(日本の従来方式に近い)
★IT方式★★電源側は非接地または高インピーダンス接地

TN方式では、地絡電流が保護導体を通って大きく流れます——過電流遮断器で切る設計です。

日本の従来方式は、地絡電流が小さいので漏電遮断器で切ります——設計思想が根本から違うのです。

だから混ぜると保護が成立しなくなる——原則として混用禁止なのです。

★2Ωという厳しい値

V = I_g R
地絡時に接地点に生じる電位
接地抵抗Rが小さいほど、電位上昇は小さくなる
R \leq 2\,\Omega
混用を認める条件
接地抵抗を十分に小さくすれば、方式が違っても電位差が生じにくい

D種の100Ω、B種の150/Iと比べても、2Ωは桁違いに小さい——それだけ厳しい条件です。

接地抵抗を小さくすれば、どちらの方式でも電位がほぼ大地と同じになります

だから混用しても危険が生じにくい——数値の根拠がここにあります

★なぜ「非接地式」高圧電路が条件なのか

条文の言葉ダミー語違い
非接地式高圧電路★★非接地式高圧電路★接地式高圧電路★★地絡電流が小さい/大きい
日本の高圧配電の標準★★日本の高圧配電の標準★海外に多い方式★★だから国内では条件として書ける

非接地式なら、高圧側の地絡電流が数A程度に収まります——低圧側への影響も小さいのです。

接地式だと大電流が流れ、2Ωでも電位上昇が大きくなります——条件として成立しないのです。

「接地式」というダミーは、ここを狙っています

(ア)が「接地工事」である理由

事業者の設備と直接つながるのは、接地系統です——接地の考え方が食い違えば、保護協調が崩れます

「地絡保護」も関係はしますが、整合をとる対象は接地工事の施設です。

条文の主語・目的語を正確に読む——この設問でも効きます

解釈第18条——工作物の金属体を利用した接地

方法内容
★鉄骨・鉄筋を接地極に使う★★建物の構造体そのものを利用する
★条件★★大地との間の電気抵抗値が2Ω以下
★利点★★極めて低い接地抵抗が得られる

ここでも2Ωという値が出てきます——例外②が18条を引用している理由です。

ビルの鉄筋は大地と広く接しているので、抵抗が非常に低い——共用接地の考え方です。

なぜ混用を禁じるのか

同じ建物の中に、2つの保護思想が混在すると危険です——作業者がどちらの方式か判断できません

異なる接地系統の間に電位差が生じることもあります——それ自体が感電の原因です。

だから原則禁止、例外は厳しい条件付き——条文の構造がそれを表しています

218条以降の構成

内容
★第218条★★IEC 60364規格の適用(本条)
★第219条★★IEC 61936-1規格の適用
★第220条以降★★分散型電源の系統連系設備

解釈の末尾には、国際規格と分散型電源が置かれています——比較的新しい分野です。

新しい条文は出題されやすい——令和7年度下期の出題もその流れです。

国際規格を取り入れる意味

日本の技術基準は、性能規定化(何を守るかだけを定める)の方向に進んできました

手段を限定しなければ、国際規格による設計も認められます——218条はその受け皿です。

グローバル化に対応した制度設計——法規科目でも問われる時代背景です。

⏱️ 本番での進め方
① (ア)は接地工事——「地絡保護」ではない。
② (イ)は非接地式——地絡電流が小さいことが前提。
③ (ウ)は——0.2Ωや10Ωではない。18条と同じ値。
④ 原則は混用禁止、例外は2つ。

💡 覚え方
解釈218条=IEC 60364規格により低圧の電気設備を施設する場合、①一般送配電事業者等の設備と直接接続するときは、その接地工事の施設と整合をとる ②同一の電気使用場所ではIEC関連規定と従来方式を混用しない。ただし変圧器が非接地式高圧電路に接続され低圧回路の接地抵抗値が2Ω以下、又は18条1項により接地工事を施すときは混用できる。

⚠️ よくある間違い
(ア)は「地絡保護」ではなく接地工事(イ)は「接地式」ではなく非接地式(ウ)は「0.2」「10」ではなく2Ω。

ポイント解説:接地工事で整合・混用は非接地式2Ω

(ア)接地工事:IEC関連規定で施設した設備を一般送配電事業者等の設備と直接接続する場合、事業者側の低圧供給設備の接地工事と整合がとれている必要があります。接地方式が食い違うと保護協調が崩れるためです。「地絡保護」ではなく接地工事

(イ)非接地式・(ウ)2:原則としてIEC関連規定と従来方式は同一の電気使用場所で混用禁止です。ただし例外①として、変圧器が非接地式(中性点非接地式)高圧電路に接続され、その低圧回路の接地抵抗値が2Ω以下であれば混用が認められます。接地抵抗を十分小さく(2Ω以下)することで、混用による危険を抑えられるからです。

まとめ:(ア)接地工事・(イ)非接地式・(ウ)2で(5)。IEC取り入れは、接地の整合混用時の厳しい接地抵抗(2Ω以下)がキーワードです。

問題の解説

STEP1 (ア)

事業者設備との整合=接地工事の施設

STEP2 (イ)

混用の例外=変圧器が非接地式高圧電路に接続

STEP3 (ウ)

低圧回路の接地抵抗値が2Ω以下 →(5)

答え:(5)

💡 覚え方
IEC60364取り入れ(解釈第218条)=低圧設備を従来方式(解釈3〜217条)ではなくIEC関連規定で施設できる。事業者設備とは接地工事で整合同一場所での従来方式との混用は原則禁止、例外は変圧器が非接地式高圧電路に接続され低圧回路の接地抵抗2Ω以下、又は工作物の金属体を利用した共用接地のとき。

⚠️ よくある間違い
(ア)は接地工事(地絡保護ではない)。(イ)は非接地式高圧電路。(ウ)は2Ω以下(10Ωや0.2Ωではない)——混用時の厳しい接地抵抗値。原則は混用禁止で、これは例外条件。

まとめ

(ア)接地工事(事業者設備と整合)
原則IEC規定と従来方式の混用禁止
(イ)例外変圧器が非接地式高圧電路に接続
(ウ)低圧回路の接地抵抗2Ω以下
別の例外工作物金属体利用の共用接地
答え(5)

▼あわせて解きたい関連問題
・電気設備の接地(電気設備技術基準の解釈1):【法規】令和7年度下期 A問題4
・高圧屋側電線路(電気設備技術基準の解釈2):【法規】令和7年度下期 A問題6

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