今回は令和6年度上期 法規科目 A問題9、配線器具の施設(電気設備技術基準の解釈第150条)に関する空欄補充問題です。低圧用配線器具(スイッチ・コンセント等)の施設で守るべき基本事項が問われます。
骨格は3つ。①充電部分を露出させない(取扱者以外立入禁止の場所は除く)、②接続点に張力を加えない、③屋外で損傷を受けるおそれがあれば防護装置。感電防止と接続部の機械的保護がテーマです。
令和6年度上期 法規科目 A問題9:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和6年度上期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題9
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 令和6年度上期 A問題9
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における配線器具の施設に関する記述の一部である。上記の記述中の空白箇所(ア)〜(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における配線器具の施設に関する記述の一部である。低圧用の配線器具は、次により施設すること。
a)(ア)ように施設すること。ただし、取扱者以外の者が出入りできないように措置した場所に施設する場合は、この限りでない。
b)湿気の多い場所又は水気のある場所に施設する場合は、防湿装置を施すこと。
c)配線器具に電線を接続する場合は、ねじ止めその他これと同等以上の効力のある方法により、堅ろうに、かつ、電気的に完全に接続するとともに、接続点に(イ)が加わらないようにすること。
d)屋外において電気機械器具に施設する開閉器、接続器、点滅器その他の器具は、(ウ)おそれがある場合には、これに堅ろうな防護装置を施すこと。
(ア) (イ) (ウ) (1) 充電部分が露出しない 張力 感電の (2) 取扱者以外の者が容易に開けることができない 異常電圧 損傷を受ける (3) 取扱者以外の者が容易に開けることができない 張力 感電の (4) 充電部分が露出しない 張力 損傷を受ける (5) 取扱者以外の者が容易に開けることができない 異常電圧 感電の

答えは(4):充電部分が露出しない・張力・損傷を受ける
感電防止(a)・湿気(b)・接続(c)・機械的損傷(d)——4つの危険に順に備える構造です。
★配線器具とは何か
| 器具 | 役割 |
| ★点滅器(スイッチ) | ★★電路を開閉する |
| ★接続器(コンセント・プラグ) | ★★電線を着脱できるように接続する |
| ★開閉器 | ★★電路を開閉する(点滅器より大容量) |
| ★遮断器 | ★★過電流を自動的に遮断する |
いずれも人が日常的に触る機器です——だから充電部の露出が最も大きな危険になります。
電気用品安全法の適用を受ける製品を使うのが前提です。
★なぜ接続点に張力を加えてはいけないのか
| 段階 | 起きること |
| ★① 張力がかかる | ★★ねじが緩む・素線が抜け始める |
| ★② 接触面積が減る | ★★接触抵抗が増加する |
| ★③ 発熱 | ★★P=I²Rで発熱量が増える |
| ★④ さらに悪化 | ★★熱で酸化が進み、抵抗がさらに増える |
接続部の火災は、この悪循環で起きます——いったん始まると加速度的に進むのです。
だから張力を接続点にかけない——器具側のコードストッパで受けるのが実務です。
★「異常電圧」はここでは使わない
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 接続点に張力が加わらないように | ★★接続点に張力が加わらないように | ★接続点に異常電圧が加わらないように | ★★機械的な話であって電気的な話ではない |
| cは接続の確実さ | ★★cは接続の確実さ | ★異常電圧は避雷器等の話 | ★★条文の場面が違う |
cは「どう接続するか」を定めた規定です——ねじ止め・堅ろうに・電気的に完全に、と続きます。
その流れで来るのは、機械的な力=張力——文脈で判断できます。
★屋外の器具に防護装置が要る理由
| 危険 | 内容 |
| ★物理的衝撃 | ★★車両・作業機械・飛来物が当たる |
| ★雨・雪 | ★★水が浸入して絶縁が低下する |
| ★紫外線 | ★★樹脂が劣化してひび割れる |
| ★いたずら | ★★第三者が操作する |
屋外は屋内にない危険が加わります——だから堅ろうな防護装置です。
「感電のおそれがある場合」ではなく「損傷を受けるおそれがある場合」——dは機械的保護の規定です。
ただし書き——取扱者以外が出入りできない場所
電気室やキュービクルの中なら、充電部が露出していてもよい——知識のある人しか入らないからです。
そのかわり、施錠等で出入りを制限します——解釈38条の立入防止と連動します。
「守る相手が誰か」で規制が変わる——電気設備の安全規定に共通する考え方です。
防湿装置が要る場所
| 場所 | 例 |
| ★湿気の多い場所 | ★★水蒸気が充満する場所、地下室 |
| ★水気のある場所 | ★★水を扱う場所、雨にさらされる場所 |
| ★乾燥した場所 | ★★上記以外(防湿装置は不要) |
湿気と水気は解釈で区別されています——水気のほうが厳しいのです。
浴室のコンセントに防水カバーが付いているのは、この規定——身近な例で覚えられます。
コンセントの極性と接地極
| 部分 | 内容 |
| ★接地側極(W) | ★★穴が長いほう。B種接地された中性線側 |
| ★非接地側極 | ★★穴が短いほう。対地電圧100V |
| ★接地極 | ★★機器の外箱を接地する第3の極 |
穴の長さが違うのは、極性を間違えないためです——スイッチは非接地側に入れます。
接地側にスイッチを入れると、切っても充電されたまま——危険な誤配線です。
配線器具まわりの火災
| 現象 | 原因 |
| ★トラッキング | ★★プラグの刃の間にほこりと湿気がたまる |
| ★接触不良による発熱 | ★★ねじの緩み・素線の抜け |
| ★半断線 | ★★コードの折り曲げで内部の素線が切れる |
| ★たこ足配線 | ★★定格を超える電流で発熱 |
どれも身近な事故です——条文はこれらを防ぐために書かれています。
「堅ろうに、かつ電気的に完全に接続」の一文が、接触不良を防ぐ核心です。
点滅器の施設(解釈151条)
| 要件 | 内容 |
| ★開閉の位置 | ★★電路の各極に施設する(多線式の中性線等を除く) |
| ★接地側極 | ★★接地側電線に点滅器を施設しない |
| ★湿気の多い場所 | ★★防湿装置を施す |
接地側にスイッチを入れると、切っても機器側が充電されたままになります。
電球を交換しようとして感電する——だから非接地側に入れるのが鉄則です。
低圧屋内配線の使用電線
| 場所・用途 | 電線 |
| ★一般の低圧屋内配線 | ★★直径1.6mm以上の軟銅線又は同等以上のもの |
| ★屋外用ビニル絶縁電線(OW) | ★★屋内配線には使用できない |
| ★引込用ビニル絶縁電線(DV) | ★★屋内配線には使用できない |
1.6mmという最小の太さは、機械的強度から決まります——細すぎると施工中に切れるからです。
OWとDVは屋外専用——絶縁被覆の厚さが屋内用より薄いのです。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)は充電部分が露出しない——感電防止が第一。
② (イ)は張力——「異常電圧」ではない。cは機械的な話。
③ (ウ)は損傷を受ける——「感電の」ではない。dは機械的保護。
④ ただし書きは取扱者以外の者が出入りできない場所。
💡 覚え方
解釈150条 低圧用配線器具=①充電部分が露出しないように施設(取扱者以外が出入りできない場所を除く)②湿気の多い場所・水気のある場所は防湿装置 ③ねじ止め等で堅ろうかつ電気的に完全に接続し、接続点に張力が加わらないようにする ④屋外の器具は損傷を受けるおそれがあれば堅ろうな防護装置。
⚠️ よくある間違い
(ア)は「取扱者以外の者が容易に開けることができない」ではなく充電部分が露出しない。(イ)は「異常電圧」ではなく張力。(ウ)は「感電の」ではなく損傷を受ける。
まとめ
| (ア) | 充電部分が露出しない |
| 例外 | 取扱者以外立入禁止の措置場所 |
| 湿気・水気 | 防湿装置を施す |
| (イ)接続点 | 張力が加わらないように |
| (ウ)屋外器具 | 損傷を受けるおそれ→防護装置 |
| 答え | (4) |
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