電気設備技術基準の解釈12【電験3種 法規】電動機過負荷保護は自動阻止・過電流15A配線用20A・0.2kW=(3) 令和6年度下期 A問題9 完全解説

電験3種 法規科目 電気設備技術基準の解釈 令和6年度下期 A問題9 過負荷保護を省略できる条件!20Aと0.2kW

今回は令和6年度下期 法規科目 A問題9電動機の過負荷保護装置の施設(電気設備技術基準の解釈第153条)に関する空欄補充問題です。屋内の電動機を焼損から守る過負荷保護と、その保護を省略できる4つの例外条件が問われます。

骨格は「焼損のおそれがある過電流で自動的に阻止又は警報」。省略できるのは、取扱者が常時監視/焼損の過電流を生じない/単相で過電流遮断器15A(配線用20A)以下/出力0.2kW以下の4パターンです。

目次

令和6年度下期 法規科目 A問題9:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 令和6年度下期 A問題9 問題文
令和6年度下期 法規科目 A問題9 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和6年度下期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題9

電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 令和6年度下期 A問題9

 次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における電動機の過負荷保護装置の施設に関する記述である。上記の記述中の空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

 屋内に施設する電動機には、電動機が焼損するおそれがある過電流を生じた場合に(ア)これを阻止し、又はこれを警報する装置を設けること。ただし、次のいずれかに該当する場合はこの限りでない。

a)電動機を運転中、常時、(イ)が監視できる位置に施設する場合

b)電動機の構造上又は負荷の性質上、その電動機の巻線に当該電動機を焼損する過電流を生じるおそれがない場合

c)電動機が単相のものであって、その電源側電路に施設する(ウ)遮断器の定格電流が15A((エ)遮断器にあっては、20A)以下の場合

d)電動機の出力が(オ)kW以下の場合

(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)
(1)自動的に取扱者配線用過電流0.2
(2)遅滞なく取扱者配線用過電流2
(3)自動的に取扱者過電流配線用0.2
(4)遅滞なく管理者配線用過電流2
(5)自動的に管理者過電流配線用2
答え(ア)自動的に・(イ)取扱者・(ウ)過電流・(エ)配線用・(オ)0.2 = (3)

答えは(3):自動的に・取扱者・過電流・配線用・0.2

電気設備技術基準の解釈 第153条(電動機の過負荷保護装置の施設)

屋内に施設する電動機には、電動機が焼損するおそれがある過電流を生じた場合に自動的にこれを阻止し、又はこれを警報する装置を設けること。ただし、次のいずれかに該当する場合はこの限りでない。/a 電動機を運転中、常時、取扱者が監視できる位置に施設する場合/b 電動機の構造上又は負荷の性質上、その電動機の巻線に当該電動機を焼損する過電流を生じるおそれがない場合/c 電動機が単相のものであって、その電源側電路に施設する過電流遮断器の定格電流が15A(配線用遮断器にあっては、20A)以下の場合/d 電動機の出力が0.2kW以下の場合

★c号には15Aと20Aの2つの数値が入ります。

平成30年度 A問題8も同じ153条ですが、そちらの問題文はc号を「配線用遮断器20A以下」とだけ書いています——本問は括弧書きまで含んだ完全版です。

★15Aと20Aの2つの数値

電源側の装置省略できる定格電流
★過電流遮断器(ヒューズ等)★★15A以下
★配線用遮断器★★20A以下

配線用遮断器のほうが大きな定格まで認められます——動作特性が精密だからです。

ヒューズは1.6倍で60分以内、配線用遮断器は1.25倍で60分以内——遮断器のほうが早く動くのです。

だから同じ保護効果を、より大きな定格で得られる——15Aと20Aの差の理由です。

★4つの例外を貫く考え方

例外省略できる理由
★a 取扱者が常時監視★★人が見ていれば止められる
★b 焼損する過電流を生じない★★守るべき異常が起きない
★c 単相で15A(配線用20A)以下★★遮断器が実質的に保護している
★d 出力0.2kW以下★★焼損しても危険が小さい

「守る必要がない」「別のもので守れている」の2種類です——a・cは後者、b・dは前者

例外の理由を整理すると、記憶が定着します

★なぜ単相に限るのか

$$P = VI\cos\theta \quad (\text{単相})$$
単相電動機の入力
20Aで200Vなら約4kW(力率1として)
$$P = \sqrt{3} VI\cos\theta \quad (\text{三相})$$
三相電動機の入力
同じ20Aでも√3倍の電力が扱える

単相の小型電動機は、拘束されても電流がそれほど増えません——始動電流も三相ほど大きくないのです。

だから遮断器の特性だけで実質的に保護できます——三相には適用されない理由です。

★「取扱者」であって「管理者」ではない

条文の言葉ダミー語違い
取扱者★★取扱者★管理者★★現場で機器を扱う人/組織上の責任者
常時、監視できる位置★★常時、監視できる位置★定期的に見回る★★常時が条件

管理者は現場にいるとは限りません——条文が求めるのは、その場で見ている人です。

「常時」という語も重要——ときどき見るのでは足りません

解釈の用語は「取扱者」で統一されています——立入防止(38条)でも同じ語です。

電技65条との対応

電技65条解釈153条
★内容★★屋内の電動機の過負荷保護(枠)★★例外4つの具体化(手段)
★出力の除外★★0.2kW以下を除く★★0.2kW以下(d号)

省令が原則を示し、解釈が例外を並べる——法規科目の基本構造です。

0.2kWという数値は両方に共通——整合がとれています

サーマルリレーの選定

項目考え方
★整定値★★電動機の定格電流に合わせる
★始動時間★★始動電流で動作しないこと
★周囲温度★★盤内の温度で特性が変わる(温度補償形もある)
★欠相保護★★1相断線時に確実に動作する形式を選ぶ

整定が高すぎれば守れず、低すぎれば始動で落ちます——両立点を探すのが選定です。

欠相保護付きを選ぶのが実務の常識——単相運転で焼損する事故が多いからです。

「阻止し、又は警報する」

必ずしも電路を切る必要はありません——警報を出すだけでもよいのです。

連続運転が必要な設備では、突然止まるほうが危険——だから選択肢を残しています

「又は」という接続詞が意味を持つ場面です。

条文の版が違う

年度c号の書かれ方
★平成30年度 問8★★配線用遮断器の定格電流が20A以下
★令和6年度下期 問9★★過電流遮断器15A(配線用遮断器20A)以下

令和6年度版のほうが、括弧書きまで含んだ完全な形です。

15Aと20Aの両方を覚えておけば、どちらの形でも答えられます——数値は多いほうに合わせて覚えるのが安全です。

電動機の始動方式と保護

方式始動電流適用
★全電圧始動(直入れ)★★定格の5〜7倍★★小容量(〜5kW程度)
★スターデルタ始動★★直入れの1/3★★中容量(5〜15kW程度)
★リアクトル始動★★電圧に比例して減少★★中〜大容量
★インバータ始動★★定格程度まで抑えられる★★用途を選ばない

始動電流が小さいほど、保護装置の整定が楽になります——始動方式と保護は表裏一体です。

スターデルタは電流もトルクも1/3——機械科目の定番テーマです。

欠相(単相運転)という危険

三相のうち1相が切れると、残り2相で運転を続けます——これが欠相運転です。

残った相に大きな電流が流れ、巻線が焼損します——過負荷保護がなければ気づけません

ヒューズは1相だけ溶断することがあります——配線用遮断器なら3相同時に切れるのが利点です。

⏱️ 本番での進め方
① (ア)は自動的に——「遅滞なく」ではない。
② (イ)は取扱者——「管理者」ではない。
③ (ウ)(エ)は過電流遮断器15A・配線用遮断器20A
④ (オ)は0.2kW——2kWではない。

💡 覚え方
解釈153条=屋内に施設する電動機は、焼損するおそれがある過電流を生じた場合に自動的に阻止し、又は警報する装置を設ける。例外は①運転中常時取扱者が監視できる位置 ②焼損する過電流を生じるおそれがない ③単相で電源側の過電流遮断器が15A(配線用遮断器は20A)以下 ④出力0.2kW以下。

⚠️ よくある間違い
(ア)は「遅滞なく」ではなく自動的に(イ)は「管理者」ではなく取扱者15A(過電流遮断器)と20A(配線用遮断器)を取り違えない(オ)は「2kW」ではなく0.2kW

まとめ

(ア)自動的に(阻止・警報)
(イ)常時監視取扱者
(ウ)/(エ)過電流遮断器15A/配線用遮断器20A
(オ)出力0.2kW以下
省略の他条件焼損過電流を生じない構造・負荷
答え(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・低圧屋内配線 金属ダクト工事(電気設備技術基準の解釈9):【法規】令和7年度上期 A問題9
・再閉路時の事故防止(電気設備技術基準の解釈11):【法規】令和6年度下期 A問題7

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次