電気設備技術基準の解釈51【電験3種 法規】電動機過負荷保護は自動的・取扱者・20A・0.2kW=(1) 平成30年度 A問題8 完全解説

電験3種 法規科目 電気設備技術基準の解釈 平成30年度 A問題8 過負荷保護の省略条件が再出題!20Aと0.2kW

今回は平成30年度 法規科目 A問題8電動機の過負荷保護装置の施設(電気設備技術基準の解釈第153条)に関する空欄補充問題です。屋内電動機の過負荷保護と、保護装置を省略できる例外規定が問われます。

覚える数値は「単相で配線用遮断器20A以下・出力0.2kW以下なら過負荷保護を省略可」。原則は焼損過電流を自動的に阻止・警報、例外は取扱者が常時監視できる場合等です。

目次

平成30年度 法規科目 A問題8:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 平成30年度 A問題8 問題文
平成30年度 法規科目 A問題8 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成30年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題8

電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成30年度 A問題8

 次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく電動機の過負荷保護装置の施設に関する記述である。上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく電動機の過負荷保護装置の施設に関する記述である。屋内に施設する電動機には、電動機が焼損するおそれがある過電流を生じた場合に(ア)これを阻止し、又はこれを警報する装置を設けること。ただし、次のいずれかに該当する場合はこの限りでない。

a 電動機を運転中、常時、(イ)が監視できる位置に施設する場合

b 電動機の構造上又は負荷の性質上、その電動機の巻線に当該電動機を焼損する過電流を生じるおそれがない場合

c 電動機が単相のものであって、その電源側電路に施設する配線用遮断器の定格電流が(ウ)A以下の場合

d 電動機の出力が(エ)kW以下の場合

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)自動的に取扱者200.2
(2)遅滞なく取扱者202
(3)自動的に取扱者300.2
(4)遅滞なく電気係員302
(5)自動的に電気係員300.2
答え(ア)自動的に・(イ)取扱者・(ウ)20・(エ)0.2 = (1)

答えは(1):自動的に・取扱者・20A・0.2kW

電気設備技術基準の解釈 第153条(電動機の過負荷保護装置の施設)

屋内に施設する電動機には、電動機が焼損するおそれがある過電流を生じた場合に自動的にこれを阻止し、又はこれを警報する装置を設けること。ただし、次のいずれかに該当する場合はこの限りでない。/一 電動機を運転中、常時、取扱者が監視できる位置に施設する場合/二 電動機の構造上又は負荷の性質上、その電動機の巻線に当該電動機を焼損する過電流を生じるおそれがない場合/三 電動機が単相のものであって、その電源側電路に施設する配線用遮断器の定格電流が20A以下の場合/四 電動機の出力が0.2kW以下の場合

電技65条を受けた解釈。原則+4つの例外という構造です。

電技65条が「屋内の電動機は保護する」と枠を示し、153条が具体的な例外を並べます

★電動機が焼損する仕組み

W = I^2 R t
巻線に発生する熱量
電流の2乗に比例するので、過負荷では急激に発熱する
$$T = T_0 + \dfrac{W}{C}$$
巻線の温度上昇(Cは熱容量)
冷却が追いつかなければ、絶縁の耐熱温度を超えて焼損する

電動機の巻線は、絶縁物で覆われた銅線です——温度が上がりすぎれば絶縁が壊れます

過負荷は、じわじわと温度を上げていきます——短絡のように一瞬で壊れるのとは違うのです。

だから時間の要素を含んだ保護が必要になります。

★「自動的に」と「遅滞なく」

条文の言葉ダミー語違い
自動的に阻止し、又は警報する★★自動的に阻止し、又は警報する★遅滞なく阻止する★★人の判断を介さないのが要件
取扱者★★取扱者★電気係員★★条文の用語は取扱者

「遅滞なく」は人が動く場合の言い回しです——装置の要件としては「自動的に」

「電気係員」という語は解釈にありません——条文の用語をそのまま覚えるのが確実です。

ただし例外一号では人(取扱者)の監視が認められます——常時見ていれば止められるからです。

★20Aと0.2kWという2つの数字

例外条件理由
★三号★★単相で配線用遮断器20A以下★★遮断器が実質的に保護している
★四号★★出力0.2kW以下★★焼損しても危険が小さい

0.2kW=200Wは、電技65条と同じ数字です——省令と解釈で一致しています

20Aは「30A」というダミーが定番——配線用遮断器の定格でよくある値だからです。

三号は「単相のもの」に限られる——三相には適用されません

★なぜ単相だけ緩和されるのか

単相の小型電動機は、拘束されても電流がそれほど大きくなりません——始動電流も小さい

だから配線用遮断器の特性で、実質的に保護できます——20A以下という条件がそれを担保します。

三相は始動電流が定格の数倍になる——遮断器だけでは守れないのです。

過負荷保護装置の種類

装置原理
★サーマルリレー(熱動継電器)★★バイメタルが電流の熱で曲がって接点を開く
★電子式保護継電器★★電流を演算し、時間特性で判定する
★埋込みサーミスタ★★巻線の温度を直接測る
★モータブレーカ★★電動機用に特性を調整した配線用遮断器

電磁開閉器(マグネットスイッチ)は、電磁接触器とサーマルリレーを組み合わせたものです。

現場でいちばんよく見る形——機械科目とも重なります

始動電流という難しさ

時点電流
★始動時(全電圧始動)★★定格の5〜7倍
★定格運転時★★定格電流
★過負荷時★★定格の1.1〜2倍程度

始動時の大電流で動作してしまっては、電動機が回せません——短時間なら許すという特性が必要です。

過負荷は長く続くので、時間をかけて検出します——この差を使い分けるのが保護の要です。

電技65条と解釈153条の関係

条文の言葉ダミー語違い
電技65条=屋内の電動機を保護する(枠)★★電技65条=屋内の電動機を保護する(枠)★解釈153条=例外4つを具体化(手段)★★省令と解釈の役割分担
0.2kW以下を除く★★0.2kW以下を除く★同じ0.2kW★★数値は一致している

平成30年度 A問題4は電技63〜65条を工事例で問う問題です。

省令が原則、解釈が例外の詳細——両方をセットで押さえると迷いません

「屋内に施設する」という限定

条文は屋内の電動機を対象にしています——火災になったときの被害が大きいからです。

屋外の電動機には、この条文は直接適用されません——ただし実務では当然保護します

主語と場所の限定を読み飛ばさない——選択肢はそこを書き換えます

「阻止し、又は警報する」の意味

必ずしも電路を切る必要はありません——警報を出すだけでもよいのです。

大型の設備では、突然止まるほうが危険なことがあります——だから選択肢を残しています

「又は」という接続詞が意味を持つ場面です。

電動機の始動方式

方式始動電流適用
★全電圧始動(直入れ)★★定格の5〜7倍★★小容量(〜5kW程度)
★スターデルタ始動★★直入れの1/3★★中容量(5〜15kW程度)
★リアクトル始動★★電圧に比例して減少★★中〜大容量
★インバータ始動★★定格程度まで抑えられる★★用途を選ばない

始動電流を抑えれば、保護装置の誤動作も減ります——始動方式と保護は表裏一体です。

スターデルタは電流も トルクも1/3——機械科目の定番テーマです。

欠相(単相運転)という危険

三相のうち1相が切れると、残り2相で運転を続けます——これが欠相運転です。

残った相に大きな電流が流れ、巻線が焼損します——過負荷保護がなければ気づけません

だからサーマルリレーには欠相保護機能付きの製品があります——条文の趣旨を製品が実現しているのです。

⏱️ 本番での進め方
① (ア)は自動的に——「遅滞なく」ではない。
② (イ)は取扱者——「電気係員」ではない。
③ (ウ)は20A——30Aではない。単相に限る。
④ (エ)は0.2kW——2kWではない。電技65条と同じ値。

💡 覚え方
解釈153条=屋内に施設する電動機は、焼損するおそれがある過電流を生じた場合に自動的に阻止し、又は警報する装置を設ける。例外は①運転中常時取扱者が監視できる位置 ②構造上・負荷の性質上焼損過電流を生じるおそれがない ③単相で電源側の配線用遮断器が20A以下 ④出力0.2kW以下——の4つ。

⚠️ よくある間違い
(ア)は「遅滞なく」ではなく自動的に(イ)は「電気係員」ではなく取扱者(ウ)は「30A」ではなく20A(単相に限る)。(エ)は「2kW」ではなく0.2kW

まとめ

原則焼損過電流を自動的に阻止・警報
例外a取扱者が常時監視できる位置
例外b焼損過電流を生じない構造・負荷
例外c単相で配線用遮断器20A以下
例外d電動機の出力0.2kW以下
答え(1)

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