今回は平成30年度 法規科目 A問題7、架空電線路の支持物の昇塔防止(電気設備技術基準の解釈第53条)に関する空欄補充問題です。取扱者が使う足場金具の施設高さと、例外規定が問われます。
覚える数値は「足場金具等は地表上1.8m以上に施設」。第三者がよじ登れないようにするための規定で、例外(内部格納・昇塔防止装置・さくへい・立入りにくい場所)とセットで押さえます。
平成30年度 法規科目 A問題7:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成30年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題7
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成30年度 A問題7
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における架空電線路の支持物の昇塔防止に関する記述である。上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における架空電線路の支持物の昇塔防止に関する記述である。架空電線路の支持物に取扱者が昇降に使用する足場金具等を施設する場合は、地表上(ア)m以上に施設すること。ただし、次のいずれかに該当する場合はこの限りでない。
a 足場金具等が(イ)できる構造である場合
b 支持物に昇塔防止のための装置を施設する場合
c 支持物の周囲に取扱者以外の者が立ち入らないように、さく、へい等を施設する場合
d 支持物を山地等であって人が(ウ)立ち入るおそれがない場所に施設する場合
(ア) (イ) (ウ) (1) 2.0 内部に格納 頻繁に (2) 2.0 取り外し 頻繁に (3) 2.0 内部に格納 容易に (4) 1.8 取り外し 頻繁に (5) 1.8 内部に格納 容易に

答えは(5):1.8m・内部に格納・容易に
この記事は条文の語と数値そのものを固めます——例外の判定基準は平成24年度 A問題7で扱っています。
★1.8mはどこから来た数字か
日本人の成人男性の平均身長は約1.7m——手を伸ばさずに届く高さを少し超えています。
子どもなら、まず足がかりに手が届きません——この条文が守ろうとしている相手です。
「2.0m」ではなく1.8mという半端な数字——だからこそ空欄にされます。
★「内部に格納」と「取り外し」はどう違うか
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 内部に格納できる構造 | ★★内部に格納できる構造 | ★取り外しできる構造 | ★★格納は支持物に付いたまま、取り外しは別管理 |
| 使うときに引き出す | ★★使うときに引き出す | ★使うときに持ってきて付ける | ★★後者は紛失・付け忘れのおそれ |
取り外し式だと、金具をどこかに保管しなければなりません——紛失すれば保守ができなくなります。
格納式なら、必要なときにその場で引き出せます——安全と保守性を両立させる形です。
条文が「内部に格納」と書いている理由が、ここにあります。
★「容易に」の一語が果たす役割
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 人が容易に立ち入るおそれがない | ★★人が容易に立ち入るおそれがない | ★人が頻繁に立ち入らない | ★★難易度の話か、頻度の話か |
| 容易に | ★★容易に | ★頻繁に | ★★選択肢の定番ダミー |
「頻繁に」だと、たまに人が来る場所は除外されてしまいます——頻度が低くても、来られるなら危険です。
「容易に」は、そもそも入りにくい地形かどうかを問います——山地等という例示がそれを裏づけます。
法令の副詞は、意味を大きく変える——読み飛ばさないことです。
★接触防護措置の高さと並べて覚える
| 措置・規定 | 屋内 | 屋外 |
| ★簡易接触防護措置 | ★★1.8m以上 | ★★2m以上 |
| ★接触防護措置 | ★★2.3m以上 | ★★2.5m以上 |
| ★足場金具(昇塔防止) | ★★— | ★★1.8m以上 |
1.8/2.0/2.3/2.5という4つの数字が、解釈のあちこちで使われます。
足場金具の1.8mは、簡易接触防護措置(屋内)と同じ値——ひとまとめに覚えると効率的です。
支持物の種類
| 支持物 | 主な用途 |
| ★鉄塔 | ★★送電線(特別高圧) |
| ★鉄柱・鉄筋コンクリート柱 | ★★配電線・小規模な送電線 |
| ★木柱 | ★★現在はほとんど使われない |
条文は「支持物」と包括的に書いています——種類を問わず昇塔防止が要るのです。
身近な電柱にも、地上付近には足場ボルトがありません——この条文が効いているのです。
なぜ「取扱者が昇降に使用する」と限定するのか
足場金具は保守作業のためのもの——条文はその前提を明示しています。
装飾や標識の取付金具は対象外——登るためのものではないからです。
ただし結果的に足がかりになるものは、別途配慮が要るのが実務です。
この条文が置かれている場所
| 条 | 内容 |
| ★第49条 | ★★電線路に係る用語の定義 |
| ★第51条 | ★★電線路の支持物の昇塔防止に関する周辺規定 |
| ★第53条 | ★★架空電線路の支持物の昇塔防止(本条) |
| ★第58条 | ★★架空電線路の強度検討に用いる荷重 |
50条台は架空電線路の支持物に関する規定が並びます——まとめて眺めると位置づけが見えます。
再出題のされ方
| 年度 | 問われ方 | 正解番号 |
| ★平成24年度 問7 | ★★例外に当たらないものを選ぶ | ★★(1) |
| ★平成30年度 問7 | ★★空欄補充(本問) | ★★(5) |
同じ条文でも、問い方が変われば必要な力が変わります——空欄補充は語の正確さ、正誤判定は趣旨の理解。
両方を押さえて初めて、どちらの形でも解けます。
覚えるべき語を絞る
この条文で空欄になるのは、ほぼ決まっています——「1.8」「内部に格納」「容易に」の3つ。
例外b・cは語が具体的すぎて空欄にしにくい——「昇塔防止のための装置」「さく、へい等」。
出題されやすい語を見抜くのも、法規科目の技術です。
支持物の強度に関する規定
| 種別 | 安全率 |
| ★木柱 | ★★1.3以上(高圧・特別高圧は2.0以上) |
| ★鉄柱・鉄筋コンクリート柱 | ★★風圧荷重に耐えること |
| ★支線 | ★★安全率2.5以上・引張荷重10.7kN以上 |
支持物は倒れないことが第一——昇塔防止はその次の話です。
支線の安全率2.5・素線3条以上・直径2.6mm以上——数値がまとめて問われます。
風圧荷重の3種類
| 種類 | 適用する時期・場所 |
| ★甲種風圧荷重 | ★★高温季(構成材の垂直投影面積1m²あたりの圧力) |
| ★乙種風圧荷重 | ★★低温季で氷雪の多い地方(甲種の0.5倍+着氷) |
| ★丙種風圧荷重 | ★★低温季で氷雪の少ない地方(甲種の0.5倍) |
季節と地方で使い分けます——夏は台風、冬は着氷という日本の気候を反映しています。
支持物の設計を左右する重要な区分——B問題の計算でも使われます。
この規定が守る相手
電気設備の安全規定は、取扱者と第三者を分けて考えます——取扱者は知識があり、装備もあるからです。
第三者は危険を知らずに近づきます——子どもが鉄塔に登る、というのが典型です。
だから足場金具の高さも、第三者を基準に決まります——取扱者ははしごを使えばよいのです。
⏱️ 本番での進め方
① 高さは1.8m——2.0mではない。
② 「内部に格納」——「取り外し」ではない。
③ 「容易に」——「頻繁に」ではない。
④ 1.8/2.0/2.3/2.5は接触防護措置とセットで覚える。
💡 覚え方
解釈53条=取扱者が昇降に使用する足場金具等は地表上1.8m以上に施設。例外はa内部に格納できる構造 b昇塔防止装置 c周囲にさく・へい等 d山地等で人が容易に立ち入るおそれがない場所。
⚠️ よくある間違い
(ア)は「2.0m」ではなく1.8m。(イ)は「取り外し」ではなく内部に格納。(ウ)は「頻繁に」ではなく容易に。
まとめ
| (ア)足場金具の高さ | 地表上1.8m以上 |
| 例外a | 内部に格納できる構造 |
| 例外b | 昇塔防止装置を施設 |
| 例外c | 周囲にさく・へい |
| 例外d | 山地等で人が容易に立入りない場所 |
| 答え | (5) |
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