今回は平成24年度 法規科目 A問題7、架空電線路の支持物の昇塔防止(電気設備技術基準の解釈第53条)に関する問題です。足場金具等を地表上1.8m未満に施設できる例外条件のうち、不適切なものを選びます。
覚える例外は「①足場金具が内部に格納できる構造②昇塔防止装置③周囲にさく・へい④山地等で人が容易に立ち入らない場所」の4つ。監視装置はこの例外に含まれない点がポイントです。
答えは(1):監視装置は例外に含まれない
この記事は、4つの例外を貫く一本の物差しを扱います——条文の丸暗記より、はるかに強い武器になります。
平成30年度 A問題7は同じ53条の空欄補充版です。
平成24年度 法規科目 A問題7:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成24年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題7
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成24年度 A問題7
次の記述は、架空電線路の支持物に、取扱者が昇降に使用する足場金具等を地表上1.8m未満に施設することができる場合に関するものである。「電気設備技術基準の解釈」に基づき、不適切なものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
次の記述は、架空電線路の支持物に、取扱者が昇降に使用する足場金具等を地表上1.8m未満に施設することができる場合として、「電気設備技術基準の解釈」に基づき、不適切なものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)監視装置を施設する場合
(2)足場金具等が内部に格納できる構造である場合
(3)支持物に昇塔防止のための装置を施設する場合
(4)支持物の周囲に取扱者以外の者が立ち入らないように、さく、へい等を施設する場合
(5)支持物を山地等であって人が容易に立ち入るおそれがない場所に施設する場合

★4つの例外を貫く物差し
| 例外 | 何によって登れなくするか |
| ★内部に格納できる構造 | ★★足がかりそのものを消す |
| ★昇塔防止装置 | ★★登ろうとしても物理的に阻む |
| ★さく、へい等 | ★★支持物に近づけない |
| ★山地等で立ち入るおそれがない | ★★そもそも人が来ない |
すべて「登れない状態を物理的につくる」手段です——監視はこの物差しに乗りません。
カメラで見ていても、登ろうとする人は登れてしまう——事故が起きてから気づくだけです。
★なぜ監視では足りないのか
昇塔防止の目的は、第三者——とくに子ども——の感電死亡事故を防ぐことです。
高圧・特別高圧の電線に近づけば、触れなくても感電します——登り切る前に決着がついてしまうのです。
駆けつける時間があるという前提が成り立たない——だから監視は例外にできないのです。
★「監視装置」が認められる条文もある
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 昇塔防止(53条)=監視は不可 | ★★昇塔防止(53条)=監視は不可 | ★発電所等の立入防止(38条)=監視は不可 | ★★どちらも物理的な遮断が要る |
| 物理的に防ぐ規定 | ★★物理的に防ぐ規定 | ★異常を知らせる規定 | ★★監視は後者でしか使えない |
監視装置が出てくるのは、無人変電所の遠隔監視など——「異常を知る」ための規定です。
「防ぐ」規定に「知る」手段を持ち込んだのが、この設問の仕掛けです。
もっともらしい選択肢ほど、目的に立ち返って判定します。
★1.8mという高さの意味
| 数値 | 使われる場面 |
| ★1.8m | ★★足場金具の下限/簡易接触防護措置(屋内) |
| ★2.0m | ★★簡易接触防護措置(屋外) |
| ★2.3m | ★★接触防護措置(屋内) |
| ★2.5m | ★★接触防護措置(屋外) |
1.8mは、背伸びしても手が届きにくい高さです——大人の身長を少し超える程度。
選択肢では「2.0m」というダミーがよく置かれます——1.8mという半端な数字ごと覚えます。
「不適切なものを選べ」の解き方
まず条文の列挙を思い出し、選択肢と1対1で照合します——4つ当てはまれば、残りが答えです。
本問は例外が4つ、選択肢が5つ——数が一致しているので照合しやすい作りです。
列挙型の条文は「個数」も一緒に覚える——解答の速さが変わります。
支持物によじ登る事故は実際に起きている
鉄塔や電柱によじ登った第三者の感電事故は、過去に何件も発生しています。
多くは子どもや、酒に酔った人によるもの——「登ろうとする人はいない」という前提は成り立たないのです。
だから物理的に防ぐしかない——条文の厳しさには理由があります。
昇塔防止装置の実物
| 装置 | 形 |
| ★忍び返し | ★★とげ状の金具を放射状に取り付ける |
| ★ステップボルトのカバー | ★★足場金具を筒状の覆いで囲う |
| ★可動式ステップ | ★★使うときだけ引き出す構造にする |
鉄塔の下部に円錐状の金具が付いているのを見たことがある方も多いはずです。
あれが条文の「昇塔防止のための装置」——身近な景色と条文が結びつきます。
「山地等」の読み方
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 容易に立ち入るおそれがない | ★★容易に立ち入るおそれがない | ★人が立ち入らない | ★★絶対に来ないことまでは求めない |
| 山地等 | ★★山地等 | ★私有地 | ★★地形として入りにくいこと |
「容易に」という語が入っているのがポイントです——誰も来ないことまでは要求していません。
柵で囲えない山中の鉄塔まで規制すると、実務が回りません——合理性を保つための例外です。
取扱者は登る必要がある
足場金具は、そもそも保守作業のために必要なものです——なくすわけにはいきません。
だから「地表上1.8m以上」という高さで折り合いをつけます——取扱者ははしごを使えば登れるのです。
禁止ではなく、条件をつけて両立させる——技術基準らしい解き方です。
発電所等への立入の防止(解釈第38条)
| 対象 | 求められること |
| ★高圧又は特別高圧の機械器具等を施設する | ★★構内に取扱者以外が立ち入らないよう措置する |
| ★さく、へい等 | ★★適当なものを設ける |
| ★出入口 | ★★立入りを禁止する旨を表示し、施錠装置を施設して施錠する |
ここでも求められるのは物理的な遮断と表示です——監視で代替する規定はありません。
昇塔防止と発想は同じ——「第三者を近づけない」が電気設備の安全の基本です。
表示と物理的防護の役割分担
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| さく・へい・施錠=物理的に防ぐ | ★★さく・へい・施錠=物理的に防ぐ | ★表示=知らせる | ★★表示だけでは防げない |
| 危険である旨の表示 | ★★危険である旨の表示 | ★立入りを禁止する旨の表示 | ★★電気さくと発電所等で語が違う |
条文はたいてい、両方を求めます——物理的に防いだうえで、表示もするのです。
「表示があるから防護は不要」という選択肢は誤り——これも監視装置と同じ型の引っかけです。
架空電線の高さ(解釈第68条)
| 場所 | 低高圧の高さ |
| ★道路を横断する場合 | ★★路面上6m以上 |
| ★鉄道・軌道を横断する場合 | ★★レール面上5.5m以上 |
| ★横断歩道橋の上 | ★★低圧3m以上・高圧3.5m以上 |
| ★上記以外 | ★★地表上5m以上 |
支持物に登れなくするだけでなく、電線そのものも人の届かない高さに置きます。
6m・5.5m・5mという並びは頻出——昇塔防止の1.8mと合わせて覚えます。
⏱️ 本番での進め方
① 例外は4つ——格納・昇塔防止装置・さくへい・山地等。
② 監視装置は例外にない——登ることを物理的に防げないから。
③ 判定の物差しは「物理的に登れなくなるか」。
④ 高さは1.8m——2.0mではない。
💡 覚え方
解釈53条=足場金具等は地表上1.8m以上。例外は①内部に格納できる構造 ②昇塔防止装置 ③周囲にさく・へい等 ④山地等で人が容易に立ち入るおそれがない場所——の4つ。監視装置は含まれない。
⚠️ よくある間違い
監視装置は例外に含まれない——「見張れば安全」という発想は、物理的に防ぐ規定には通らない。例外は4つで固定——数ごと覚える。
まとめ
| 原則 | 足場金具等は地表上1.8m以上 |
| (1)監視装置 | 例外にない→不適切 |
| (2)内部格納 | 例外→適切 |
| (3)昇塔防止装置 | 例外→適切 |
| (4)さく・へい/(5)山地等 | 例外→適切/答え(1) |
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