今回は令和7年度上期 法規科目 A問題9、低圧屋内配線の金属ダクト工事(電気設備技術基準の解釈第162条)に関する空欄補充問題です。電線の占積率・ダクトの接続・接地工事の条件を条文どおり押さえます。
覚える数字は「電線20%・制御回路50%」。ダクトに収める電線の断面積総和はダクト内部断面積の20%以下(制御回路等のみなら50%以下)。接地は使用電圧300Vを境にD種/C種です。
令和7年度上期 法規科目 A問題9:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度上期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題9
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 令和7年度上期 A問題9
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく低圧屋内配線の金属ダクト工事に関する記述である。上記の記述中の空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
a)ダクトに収める絶縁電線の断面積(絶縁被覆の断面積を含む。)の総和は、ダクトの内部断面積の(ア)%以下であること。ただし、電光サイン装置、出退表示灯その他これらに類する装置又は制御回路等の配線のみを収める場合は、(イ)%以下とすることができる。
b)ダクト相互は、堅ろうに、かつ、(ウ)に完全に接続すること。
c)ダクトを造営材に取り付ける場合は、ダクトの支持点間の距離を3m(取扱者以外の者が出入りできないように措置した場所において、垂直に取り付ける場合は6m)以下とし、堅ろうに取り付けること。
d)低圧屋内配線の(エ)電圧が300V以下の場合は、ダクトにはD種接地工事を施すこと。
e)低圧屋内配線の(エ)電圧が300Vを超える場合は、ダクトにはC種接地工事を施すこと。ただし、(オ)防護措置を施す場合は、D種接地工事によることができる。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (オ) (1) 20 50 電気的 使用 接触 (2) 32 48 電気的 対地 簡易接触 (3) 32 48 機械的 使用 接触 (4) 32 48 機械的 使用 簡易接触 (5) 20 50 電気的 対地 簡易接触

答えは(1):20%・50%・電気的・使用・接触
多数の電線をまとめて収める工事——だから放熱と作業性が条文の関心事です。
★なぜ20%なのか
| 理由 | 内容 |
| ★放熱 | ★★電線が密集すると熱がこもり、絶縁が劣化する |
| ★作業性 | ★★増設・引き替えができる余裕を残す |
| ★点検 | ★★内部を目視で確認できる |
電線は電流を流すと発熱します——ぎっしり詰めれば熱の逃げ場がありません。
だから断面積の8割は空けておく——それが20%という数字の意味です。
★制御回路等が50%でよい理由
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 制御回路等のみ=50%以下 | ★★制御回路等のみ=50%以下 | ★動力・電灯回路=20%以下 | ★★流れる電流の大きさが違う |
| 電光サイン・出退表示灯・制御回路 | ★★電光サイン・出退表示灯・制御回路 | ★一般の低圧屋内配線 | ★★発熱が小さい |
制御回路に流れるのは信号レベルの電流です——発熱がほとんどありません。
だから詰めても熱の問題が起きない——50%まで認められます。
混在する場合は20%——条文は「〜のみを収める場合」と限定しています。
★「電気的に完全に接続」の意味
ダクトは接地されて、地絡電流の帰路になります——途中で電気的に切れていては役に立ちません。
ボルトで機械的につないでも、塗装が挟まれば導通しないことがあります。
だから「堅ろうに、かつ電気的に完全に」と両方を求める——「機械的に」というダミーは片方しか言っていません。
★接地は「使用電圧」で判定する
| 使用電圧 | 接地工事 | 緩和 |
| ★300V以下 | ★★D種 | ★★— |
| ★300V超 | ★★C種 | ★★接触防護措置を施せばD種でも可 |
「対地電圧」ではなく「使用電圧」——接地の種別を決めるのは使用電圧です。
300Vという境目は、C種とD種の分かれ目そのもの——金属ダクトに限った話ではありません。
支持点間3mと6m
| 条件 | 支持点間距離 |
| ★一般 | ★★3m以下 |
| ★取扱者以外が出入りできない場所で垂直に取り付ける | ★★6m以下 |
垂直なら自重が長手方向にかかるので、たわみません——だから倍の6mまで認められます。
ライティングダクトの2mと混同しないこと——金属ダクト・バスダクトは3mです。
金属ダクト工事の他の要件
| 項目 | 基準 |
| ★ダクトの板厚 | ★★1.2mm以上の鉄板等 |
| ★ダクトの終端部 | ★★閉そくすること |
| ★内部の点検 | ★★ダクトの内部にじんあいが侵入し難いようにする |
| ★施設場所 | ★★展開した場所・点検できる隠蔽場所(乾燥した場所) |
板厚1.2mm以上という数値も問われます——機械的強度を確保するためです。
乾燥した場所に限られる——ライティングダクトと同じ制限です。
バスダクト工事との違い
| 金属ダクト | バスダクト | |
| ★中身 | ★★絶縁電線を収める | ★★導体(銅・アルミの板)そのもの |
| ★用途 | ★★多数の回路をまとめる | ★★大電流を1回路で送る |
| ★占積率 | ★★20%以下 | ★★規定なし |
| ★支持点間 | ★★3m以下 | ★★3m以下 |
バスダクトは導体そのものを収めた製品です——電線を通すのではありません。
だから占積率の規定がない——製品として完成しているからです。
ダクト工事の使い分け
| 工事 | 典型的な用途 |
| ★金属ダクト | ★★配電盤から各所へ多数の回路を送る |
| ★バスダクト | ★★受変電設備から主幹へ大電流を送る |
| ★ライティングダクト | ★★照明器具を任意の位置に接続する |
| ★フロアダクト | ★★床下から机の位置に電源を取り出す |
「ダクト」と名の付く工事は4種類——用途も数値も違います。
どのダクトの話かを最初に確かめる——数値の混同を防ぐ最良の方法です。
金属管工事の要件
| 項目 | 基準 |
| ★電線 | ★★絶縁電線(OWを除く)・より線又は直径3.2mm以下の単線 |
| ★管内接続 | ★★禁止 |
| ★管の厚さ | ★★コンクリートに埋め込む場合1.2mm以上 |
| ★接地 | ★★300V以下はD種、300V超はC種 |
接地の判定は金属ダクトと同じ300V境界です——低圧の金属体に共通のルール。
D種は対地電圧150V以下で乾燥した場所なら省略可——緩和条件もセットで覚えます。
合成樹脂管工事の要件
| 項目 | 基準 |
| ★管相互の接続 | ★★差込み深さは管の外径の1.2倍以上(接着剤を使用する場合0.8倍以上) |
| ★支持点間 | ★★1.5m以下 |
| ★管内接続 | ★★禁止 |
| ★金属製ボックス | ★★D種接地工事(300V超はC種) |
1.2倍・0.8倍・1.5mという数値が問われます——金属管にはない、合成樹脂管固有の規定です。
樹脂は熱で伸縮するので、支持間隔が短い——金属ダクトの3mと比べると半分以下です。
工事ごとの支持点間距離を並べる
| 工事 | 支持点間距離 |
| ★合成樹脂管工事 | ★★1.5m以下 |
| ★ライティングダクト工事 | ★★2m以下 |
| ★金属ダクト・バスダクト工事 | ★★3m以下(垂直・立入不可で6m以下) |
| ★高圧屋内配線のがいし引き | ★★6m以下(造営材の面に沿う場合2m以下) |
1.5/2/3/6という並び——まとめて表で覚えるのが確実です。
どの工事の話かを最初に確かめる——数値の混同を防ぐ最良の方法です。
⏱️ 本番での進め方
① 占積率は20%(制御回路等のみなら50%)。
② ダクト相互は電気的に完全に接続——接地の連続性のため。
③ 接地の判定は使用電圧——300V以下D種・超C種。
④ 支持点間は3m(垂直で立入不可なら6m)。
💡 覚え方
解釈162条 金属ダクト工事=①電線の断面積の総和はダクト内部断面積の20%以下(電光サイン・出退表示灯・制御回路等のみなら50%以下)②ダクト相互は堅ろうかつ電気的に完全に接続 ③支持点間3m以下(取扱者以外が出入りできない場所で垂直なら6m以下)④使用電圧300V以下はD種、300V超はC種(接触防護措置を施せばD種でも可)。
⚠️ よくある間違い
(ア)(イ)は「32%」「48%」ではなく20%・50%。(ウ)は「機械的」ではなく電気的——「堅ろうに」が機械的な要求を担っている。(エ)は「対地」ではなく使用電圧。(オ)は「簡易接触」ではなく接触防護措置。
まとめ
| (ア)電線占積率 | 20%以下 |
| (イ)制御回路等のみ | 50%以下 |
| (ウ)ダクト相互 | 電気的に完全接続 |
| (エ)接地判定 | 使用電圧(300V境界) |
| 接地 | 300V以下D種・超C種 |
| (オ)緩和/答え | 接触防護措置でD種/(1) |
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