今回は令和6年度下期 法規科目 A問題6、地中電線と他の地中電線等との接近又は交差(電気設備技術基準の解釈第125条)に関する問題です。高圧地中電線と特別高圧地中電線とが接近・交差するとき、離隔距離を0m以上(=接触してもよい)で施設できる条件のうち、不適切なものを選びます。
押さえる骨格は3つ。①耐火性の隔壁を設ける、②いずれか一方が不燃性被覆/堅ろうな不燃性管、③それぞれ(両方)が自消性難燃性被覆/堅ろうな自消性難燃性管。これに当てはまらない「埋設標識」が不適切です。
令和6年度下期 法規科目 A問題6:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和6年度下期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題6
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 令和6年度下期 A問題6
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく地中電線と他の地中電線等との接近又は交差に関する記述である。高圧地中電線と特別高圧地中電線とが接近又は交差する場合において、次に該当する場合、地中電線相互の離隔距離を0m以上で施設することができるとされているが、その条件として不適切なものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)それぞれの地中電線が自消性のある難燃性の被覆を有する場合
(2)それぞれの地中電線が堅ろうな自消性のある難燃性の管に収められる場合
(3)いずれかの地中電線が不燃性の被覆を有する場合
(4)地中電線相互の間に危険を表示する埋設標識を設ける場合
(5)いずれかの地中電線が堅ろうな不燃性の管に収められる場合

答えは(4):埋設標識は延焼防止の手当てではない
埋設標識は掘削事故を防ぐためのもの——延焼とは関係がありません。
★条件の「性質」で判定する
| 条件 | 何を防ぐか | 0m離隔の条件か |
| ★耐火性の隔壁 | ★★延焼 | ★★該当する |
| ★不燃性の被覆・管 | ★★延焼 | ★★該当する |
| ★自消性のある難燃性の被覆・管 | ★★延焼 | ★★該当する |
| ★埋設標識 | ★★掘削事故 | ★★該当しない |
125条が離隔を求めるのは、1条の事故が隣に燃え移るのを防ぐためです——だから緩和の条件も延焼防止に限られます。
埋設標識は120条の規定——別の条文の内容を持ち込んだ引っかけです。
「何を防ぐための規定か」を問えば、判定できます。
★「いずれか」と「それぞれ」の使い分け
| 被覆・管の性質 | 必要な範囲 | 燃えにくさ |
| ★不燃性 | ★★いずれかの地中電線 | ★★燃えない |
| ★自消性のある難燃性 | ★★それぞれの地中電線 | ★★着火しても自ら消える |
不燃性は「そもそも燃えない」ので、片方だけで延焼が止まります。
自消性のある難燃性は一段落ちるので、両方に求めます——性能が高いほど要求範囲が狭いのです。
設問(1)(2)は「それぞれ」+自消性難燃性で条文どおり——(3)(5)は「いずれか」+不燃性で条文どおりです。
★離隔距離の原則
| 組合せ | 離隔距離 |
| ★低圧地中電線と高圧地中電線 | ★★0.15m以上 |
| ★低圧又は高圧と特別高圧 | ★★0.3m以上 |
| ★上記の緩和条件を満たす場合 | ★★0m以上(接触してもよい) |
本問は「高圧と特別高圧」なので、原則は0.3m以上です——それを0mまで縮める条件を問うています。
0mとは「接触してもよい」ということ——それだけ強い手当てが要るのです。
★埋設標識は何のためにあるのか
地中電線路は目に見えません——他の工事業者が掘削するときの唯一の手がかりです。
管路式では、おおむね2mの間隔で物件の名称・管理者名・電圧を表示します——解釈120条。
役に立つ設備ですが、火が燃え移るのは防げません——だから125条の条件にはならないのです。
材料の燃えにくさのランク
| 区分 | 意味 |
| ★耐火性 | ★★火にさらされても一定時間、形と機能を保つ |
| ★不燃性 | ★★燃焼しない(金属・コンクリート等) |
| ★自消性のある難燃性 | ★★着火しても炎を離せば自ら消える |
隔壁には耐火性、被覆・管には不燃性又は自消性難燃性——場面で使い分けられています。
「耐圧性」という語は条文にありません——他の設問ではダミーとして登場します。
なぜ地中で延焼が問題になるのか
地中は放熱が悪く、熱がこもります——いったん燃え出すと温度が上がりやすいのです。
短絡事故のアークは数千℃——隣接するケーブルのシースを一瞬で貫きます。
1条の事故が複数条の停電に広がる——これを防ぐのが125条です。
125条は3年度で問われている
| 年度 | 問われ方 | 正解番号 |
| ★平成28年度 問8 | ★★5空欄(0.15・0.3・耐火性・いずれか・それぞれ) | ★★(1) |
| ★令和5年度上期 問6 | ★★平成28年度と同一 | ★★(1) |
| ★令和6年度下期 問6(本問) | ★★不適切な条件を選ぶ | ★★(4) |
空欄補充で2回、正誤判定で1回——条文を丸ごと覚えれば、どちらの型でも解けます。
令和5年度上期 A問題6、平成28年度 A問題8も参照してください。
地中電線と他の埋設物
| 相手 | 離隔距離 |
| ★地中弱電流電線等(低高圧) | ★★0.3m以上 |
| ★地中弱電流電線等(特別高圧) | ★★0.6m以上 |
| ★ガス管等 | ★★1m以上 |
0.15/0.3/0.6/1という4つの値——相手ごとにまとめて覚えます。
ガス管が最も遠い1m——爆発の危険があるからです。
地中電線路の3つの施設方式(120条)
| 方式 | 主な条件 |
| ★管路式 | ★★重量物の圧力に耐える管・おおむね2m間隔で表示 |
| ★暗きょ式 | ★★耐燃措置又は自動消火設備 |
| ★直接埋設式 | ★★土冠1.2m/0.6m以上・トラフ等で防護 |
120条は施設方式、125条は離隔——別の観点の規定です。
埋設標識は120条の話——だから125条の緩和条件にはならないのです。
地中箱の施設
| 要件 | 内容 |
| ★構造 | ★★車両その他の重量物の圧力に耐える構造 |
| ★排水 | ★★水が滞留しないよう排水設備を設ける |
| ★ふた | ★★取扱者以外の者が容易に開けられないこと |
| ★換気 | ★★爆発性ガスが滞留するおそれがある場所には換気装置 |
125条は「地中箱内を除く」としています——接続のため近接せざるを得ないからです。
そのかわり、地中箱には構造の要件がかかります。
地中ケーブルの劣化と診断
| 項目 | 内容 |
| ★水トリー | ★★水分が絶縁体に樹枝状に侵入する |
| ★絶縁診断 | ★★直流漏れ電流・部分放電・誘電正接(tanδ) |
| ★事故点探査 | ★★マーレーループ法・パルスレーダ法・音響法 |
地中は湿気が多く、水トリーが進みやすい環境です——CVケーブルで最も問題になる劣化。
絶縁が破れれば地絡事故になり、隣接ケーブルへ波及します——だから離隔と隔壁が要るのです。
⏱️ 本番での進め方
① 0m離隔の条件は耐火性の隔壁/いずれか不燃性/それぞれ自消性難燃性の3系統。
② 埋設標識は掘削事故の防止——延焼防止ではないので条件にならない。
③ 原則の離隔は低圧・高圧0.15m、特別高圧が絡むと0.3m。
④ 「何を防ぐための規定か」で判定する。
💡 覚え方
解釈125条=地中電線相互の離隔を0m以上にできるのは①堅ろうな耐火性の隔壁を設ける ②いずれかの地中電線が不燃性の被覆又は堅ろうな不燃性の管 ③それぞれの地中電線が自消性のある難燃性の被覆又は堅ろうな自消性のある難燃性の管——のいずれか。埋設標識は含まれない。
⚠️ よくある間違い
埋設標識は0m離隔の条件ではない——掘削事故の防止(120条)であって延焼防止ではない。「いずれか」(不燃性)と「それぞれ」(自消性難燃性)を取り違えない。
まとめ
| 原則の離隔 | 低圧と高圧0.15m/特別高圧絡み0.3m |
| 0m条件① | 堅ろうな耐火性の隔壁 |
| 0m条件② | いずれか:不燃性被覆/堅ろうな不燃性管 |
| 0m条件③ | それぞれ:自消性難燃性被覆/堅ろうな自消性難燃性管 |
| 不適切 | (4)危険表示の埋設標識=条件外 |
| 答え | (4) |
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