今回は平成28年度 法規科目 A問題8、地中電線と他の地中電線等との接近又は交差(電気設備技術基準の解釈第125条)に関する空欄補充問題です。地中電線相互の離隔距離や、隔壁・被覆による対策が問われます。
覚える数値は「低圧と高圧の離隔0.15m・特別高圧との離隔0.3m」「隔壁は耐火性」。被覆対策は、片方だけなら強い不燃性(いずれか)、両方なら弱めの難燃性(それぞれ)という対応がポイントです。
平成28年度 法規科目 A問題8:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成28年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題8
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成28年度 A問題8
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における地中電線と他の地中電線等との接近又は交差に関する記述の一部である。上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における地中電線と他の地中電線等との接近又は交差に関する記述の一部である。低圧地中電線と高圧地中電線とが接近又は交差する場合、又は低圧若しくは高圧の地中電線と特別高圧地中電線とが接近又は交差する場合は、次の各号のいずれかによること。ただし、地中箱内についてはこの限りでない。
a 地中電線相互の離隔距離が、次に規定する値以上であること。①低圧地中電線と高圧地中電線との離隔距離は、(ア)m ②低圧又は高圧の地中電線と特別高圧地中電線との離隔距離は、(イ)m
b 地中電線相互の間に堅ろうな(ウ)の隔壁を設けること。
c (エ)の地中電線が、次のいずれかに該当するものであること。①不燃性の被覆を有すること。②堅ろうな不燃性の管に収められていること。
d (オ)の地中電線が、次のいずれかに該当するものであること。①自消性のある難燃性の被覆を有すること。②堅ろうな自消性のある難燃性の管に収められていること。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (オ) (1) 0.15 0.3 耐火性 いずれか それぞれ (2) 0.15 0.3 耐火性 それぞれ いずれか (3) 0.1 0.2 耐圧性 いずれか それぞれ (4) 0.1 0.2 耐圧性 それぞれ いずれか (5) 0.1 0.3 耐火性 いずれか それぞれ

答えは(1):0.15m・0.3m・耐火性・いずれか・それぞれ
令和5年度上期 A問題6は同一問題で、材料の燃えにくさのランクを主軸にしています。
この記事は、電線以外の埋設物との離隔に広げます。
★地中電線と地中弱電流電線等との離隔
| 組合せ | 離隔距離 |
| ★低圧・高圧の地中電線と地中弱電流電線等 | ★★0.3m以上 |
| ★特別高圧地中電線と地中弱電流電線等 | ★★0.6m以上 |
電線どうしの0.15m/0.3mより大きい値です——弱電流電線は誘導障害も受けるからです。
0.15/0.3/0.6と倍々に増える——覚えやすい並びです。
ここでも耐火性の隔壁を設ければ離隔は不要になります。
★ガス管等との離隔は1m
| 相手 | 離隔距離 | 理由 |
| ★可燃性・有毒ガスを内包する管 | ★★1m以上 | ★★漏えいすれば爆発・中毒の危険 |
| ★その他の管(水道管等) | ★★0.3m以上 | ★★損傷させないため |
ガス管が最も遠い1m——地中電線の事故が爆発を招くからです。
0.15/0.3/0.6/1という4つの値——相手ごとにまとめて覚えます。
★電食(電気腐食)という地中特有の問題
レールから土中へ、そして埋設金属体へ入る
アノードとなり、金属が溶け出す
電流が金属から土へ出るところで、金属が溶けます——これが電食です。
ガス管や水道管が穴だらけになる事故が知られています——直流き電の副作用です。
だから地中では、他の埋設物との関係が特に問題になるのです。
★地中箱内が除かれる理由
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 地中箱内 | ★★地中箱内 | ★地中箱以外の区間 | ★★接続のため近接せざるを得ない |
| 人が点検できる | ★★人が点検できる | ★埋設されて見えない | ★★管理のしやすさが違う |
地中箱(マンホール・ハンドホール)は、ケーブルを接続・引き入れする場所です。
構造上、電線どうしが近接します——だから125条の適用から外れます。
そのかわり、地中箱には120条の構造要件がかかります。
管路を共用する場合
| 方式 | 可否 |
| ★同一の管に低圧と高圧を収める | ★★原則不可(離隔が確保できない) |
| ★別々の管に収めて並べる | ★★不燃性の管なら離隔0m可 |
| ★共同溝で仕切って敷設 | ★★耐火性の隔壁があれば可 |
都市部では管路の用地が限られます——だから離隔0mにできる条件が用意されているのです。
c号・d号は、この実務の必要から生まれた規定です。
なぜ地中で延焼が問題になるのか
地中は放熱が悪く、熱がこもります——いったん燃え出すと温度が上がりやすいのです。
短絡事故のアークは数千℃——隣接するケーブルのシースを一瞬で貫きます。
1条の事故が複数条の停電に広がる——だから離隔か、燃えない材料が要るのです。
材料の燃えにくさのランク
| 区分 | 意味 | 要求される範囲 |
| ★不燃性 | ★★燃焼しない | ★★いずれか一方でよい |
| ★自消性のある難燃性 | ★★着火しても炎を離せば自ら消える | ★★それぞれ(両方)必要 |
| ★耐火性 | ★★火にさらされても形と機能を保つ | ★★隔壁に要求される |
性能が高いほど要求範囲が狭くなる——この対応を理解すれば取り違えません。
「耐圧性」という語は条文にありません——選択肢のダミーです。
同じ問題が繰り返し出ている
| 年度 | 問われ方 | 正解番号 |
| ★平成28年度 問8 | ★★5空欄(本問) | ★★(1) |
| ★令和5年度上期 問6 | ★★同一の5空欄 | ★★(1) |
7年を経て、まったく同じ形で再出題されました——正解番号も同じです。
0.15・0.3・耐火性・いずれか・それぞれ——この5つを唱えれば解けます。
地中電線路の施設方式(120条)
| 方式 | 主な条件 |
| ★管路式 | ★★重量物の圧力に耐える管・おおむね2m間隔で表示 |
| ★暗きょ式 | ★★耐燃措置又は自動消火設備 |
| ★直接埋設式 | ★★土冠1.2m/0.6m以上・トラフ等で防護 |
125条(離隔)と120条(施設方式)は別の観点です——どの方式でも離隔の規定はかかります。
2つをセットで押さえると、地中電線路の全体像がつかめます。
地中ケーブルの劣化
| 原因 | 起きること |
| ★水トリー | ★★水分が絶縁体に樹枝状に侵入する |
| ★電気トリー | ★★部分放電で絶縁体が樹枝状に破壊される |
| ★熱劣化 | ★★長年の通電で絶縁体が固くなる |
| ★外傷 | ★★掘削や重量物で被覆が傷つく |
地中は湿気が多く、水トリーが進みやすい環境です——CVケーブルで最も問題になる劣化。
絶縁が破れれば地絡事故になり、隣接ケーブルへ波及します——だから離隔と隔壁が要るのです。
地中電線路の点検
| 点検 | 内容 |
| ★マンホールの内部点検 | ★★接続部の変色・浸水・異臭を確かめる |
| ★ケーブルの絶縁診断 | ★★直流漏れ電流・部分放電・誘電正接で劣化を判定 |
| ★埋設表示の確認 | ★★掘削工事から守る表示が健全か |
地中は目視できないので、点検の機会が限られます——入れる場所では確実に見るのが大切です。
絶縁抵抗だけでは内部の水トリーを見つけられません——複数の方法を組み合わせます。
⏱️ 本番での進め方
① 離隔は低圧・高圧で0.15m、特別高圧が絡むと0.3m。
② 隔壁は耐火性——「耐圧性」ではない。
③ 不燃性は「いずれか」、自消性難燃性は「それぞれ」。
④ 弱電流電線等は0.3m/0.6m、ガス管等は1m。
💡 覚え方
解釈125条=地中電線相互の離隔は低圧と高圧で0.15m以上、特別高圧が絡むと0.3m以上。堅ろうな耐火性の隔壁を設ければ離隔不要。いずれかの地中電線が不燃性の被覆・管なら0m、それぞれの地中電線が自消性のある難燃性の被覆・管なら0m。地中弱電流電線等とは0.3m(特別高圧は0.6m)、ガス管等とは1m。
⚠️ よくある間違い
(ウ)は「耐圧性」ではなく耐火性。「いずれか」(不燃性)と「それぞれ」(自消性難燃性)を取り違えない。
まとめ
| (ア)低圧-高圧離隔 | 0.15m以上 |
| (イ)特別高圧との離隔 | 0.3m以上 |
| (ウ)隔壁 | 耐火性 |
| (エ)いずれか | 不燃性の被覆/管 |
| (オ)それぞれ | 自消性のある難燃性の被覆/管 |
| 答え | (1) |
▼あわせて解きたい関連問題
・高圧架空引込線の施設(電気設備技術基準の解釈61):【法規】平成28年度 A問題7
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