今回は平成27年度 法規科目 A問題5、高圧電路又は特別高圧電路と低圧電路とを結合する変圧器に施す接地工事(電気設備技術基準の解釈第24条)に関する空欄補充問題です。混触時に低圧側の電位上昇を抑えるB種接地の施設箇所が問われます。
押さえるのは「結合変圧器にはB種接地」「低圧使用電圧300V以下なら低圧側1端子でも可」「非接地なら金属製混触防止板に接地」。高低圧の混触対策がテーマです。
平成27年度 法規科目 A問題5:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成27年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題5
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成27年度 A問題5
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく、高圧電路又は特別高圧電路と低圧電路とを結合する変圧器に施す接地工事に関する記述の一部である。上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく、高圧電路又は特別高圧電路と低圧電路とを結合する変圧器(鉄道若しくは軌道の信号用変圧器又は電気炉若しくは電気ボイラーその他の常に電路の一部を大地から絶縁せずに使用する負荷に電気を供給する専用の変圧器を除く。)に施す接地工事に関する記述の一部である。
高圧電路又は特別高圧電路と低圧電路とを結合する変圧器には、次のいずれかの箇所に(ア)接地工事を施すこと。
a.低圧側の中性点
b.低圧電路の使用電圧が(イ)V以下の場合において、接地工事を低圧側の中性点に施し難いときは、(ウ)の1端子
c.低圧電路が非接地である場合においては、高圧巻線又は特別高圧巻線と低圧巻線との間に設けた金属製の(エ)
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) B種 150 低圧側 混触防止板 (2) A種 150 低圧側 接地板 (3) A種 300 高圧側又は特別高圧側 混触防止板 (4) B種 300 高圧側又は特別高圧側 接地板 (5) B種 300 低圧側 混触防止板

答えは(5):B種・300V・低圧側・混触防止板
平成30年度 A問題5はB種接地の抵抗値(150/300/600÷I)を扱っています。本記事は施設箇所のほうを主軸にします。
★3つの選択肢はどう使い分けるか
| 箇所 | 使う場面 |
| ★a 低圧側の中性点 | ★★原則。三相4線式・単相3線式など中性点がある場合 |
| ★b 低圧側の1端子 | ★★中性点がない、又は施し難い(使用電圧300V以下に限る) |
| ★c 混触防止板 | ★★低圧電路が非接地である場合 |
aが原則、bとcは事情に応じた代替です——「次のいずれかの箇所に」という書き方がそれを示します。
単相2線式には中性点がありません——だからbが用意されているのです。
★なぜ「低圧側」の1端子なのか
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 低圧側の1端子 | ★★低圧側の1端子 | ★高圧側又は特別高圧側の1端子 | ★★守るのは低圧側の電位 |
| B種の目的=低圧側の電位上昇を抑える | ★★B種の目的=低圧側の電位上昇を抑える | ★高圧側を接地する意味はない | ★★接地の目的から決まる |
B種接地は、混触時に低圧側の電位が上がるのを抑えるものです——だから低圧側に施します。
高圧側に施しても、低圧側の電位は下がりません——目的を考えれば選択肢を切れます。
「高圧側又は特別高圧側」というダミーは、目的の理解を試しています。
★300Vという条件の意味
中性点接地なら対地電圧は使用電圧の半分(単相3線式)
対地電圧が高くなりすぎない範囲に限る
中性点に接地すれば、対地電圧は使用電圧の半分になります——単相3線式200Vなら対地100V。
1端子に接地すると、反対の端子の対地電圧は200Vのまま——危険度が上がります。
だから使用電圧300V以下に限って認める——「150V」というダミーとの違いはここです。
★混触防止板とは何か
1次巻線と2次巻線の間に入れる、金属製の板(または筒)です——巻線どうしが直接触れるのを防ぎます。
この板を接地しておけば、高圧側が板に触れた時点で地絡になります——低圧側には届きません。
低圧電路を非接地のまま使いたいときの手段——水中照明(187条)でも使われていました。
除外される変圧器
| 変圧器 | 理由 |
| ★鉄道・軌道の信号用変圧器 | ★★レールを帰線に使うため大地と絶縁できない |
| ★電気炉・電気ボイラー専用 | ★★常に電路の一部を大地から絶縁せずに使う |
そもそも大地から絶縁されていない負荷です——B種接地の前提が成り立ちません。
平成24年度 A問題5の解釈13条でも、電気炉や帰線が絶縁の例外に挙がっていました。条文どうしが呼応しています。
24条と17条の役割分担
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 解釈24条=どこに施すか | ★★解釈24条=どこに施すか | ★解釈17条=いくらにするか | ★★箇所と値で条文が分かれている |
| 低圧側中性点/1端子/混触防止板 | ★★低圧側中性点/1端子/混触防止板 | ★150/I・300/I・600/I | ★★セットで覚える |
24条で場所を決め、17条で抵抗値を決める——2つそろって初めてB種接地が完成します。
試験ではどちらも空欄補充で出ます——両方を押さえておく必要があります。
混触が起きるとどうなるか
| 段階 | 起きること |
| ★① 絶縁破壊 | ★★高圧巻線と低圧巻線が触れる |
| ★② 電位上昇 | ★★低圧側に6 600Vが侵入する |
| ★③ B種接地が働く | ★★地絡電流が流れ、電位上昇が抑えられる |
| ★④ 保護装置が動作 | ★★高圧側の地絡継電器が遮断する |
B種接地は、電位を抑えると同時に地絡電流の帰路もつくります。
だから保護装置が動作できる——2つの役割を同時に果たしているのです。
B種接地線の太さと施設
| 項目 | 基準 |
| ★接地線の太さ | ★★直径4mm以上の軟銅線(高圧と低圧を結合) |
| ★接地極 | ★★地下0.75m以上の深さに埋設 |
| ★接地線の防護 | ★★地表上0.6mまで合成樹脂管等で覆う |
B種は最も太い接地線が要求されます——混触時に大きな電流が流れるからです。
0.75mという埋設深さも問われます——凍結や乾燥の影響を避けるためです。
接地工事の省略ができる場合(機器の接地)
| 条件 | 省略の可否 |
| ★交流対地電圧150V以下の機械器具を乾燥した場所に施設 | ★★D種を省略できる |
| ★二重絶縁構造の機械器具 | ★★省略できる |
| ★絶縁変圧器(2次300V以下・容量3kVA以下)で非接地の電路 | ★★省略できる |
| ★0.5秒以内に動作する漏電遮断器を施設 | ★★省略できる |
接地は目的であって手段ではありません——別の方法で安全が確保できれば省略できます。
ただしB種接地は省略できません——混触という危険は他の手段で代替しにくいからです。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)はB種——混触対策の接地はB種。
② (イ)は300V——「150V」ではない。
③ (ウ)は低圧側——高圧側に施しても意味がない。
④ (エ)は混触防止板——「接地板」ではない。
💡 覚え方
解釈24条=高圧又は特別高圧と低圧を結合する変圧器には、①低圧側の中性点 ②低圧電路の使用電圧が300V以下で中性点に施し難いときは低圧側の1端子 ③低圧電路が非接地の場合は高圧巻線と低圧巻線の間に設けた金属製の混触防止板——のいずれかにB種接地工事を施す。
⚠️ よくある間違い
(ア)は「A種」ではなくB種。(イ)は「150V」ではなく300V。(ウ)は「高圧側」ではなく低圧側。(エ)は「接地板」ではなく混触防止板。
まとめ
| (ア)接地種別 | B種接地工事 |
| a 原則 | 低圧側の中性点 |
| b(イ)(ウ) | 使用電圧300V以下→低圧側の1端子 |
| c(エ)非接地 | 金属製混触防止板に接地 |
| 除外 | 信号用・電気炉等の専用変圧器 |
| 答え | (5) |
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